モーリシャス貨物船座礁 石灰質の影響でサンゴ被害拡大おそれ

モーリシャス貨物船座礁 石灰質の影響でサンゴ被害拡大おそれ
モーリシャスの沖合で日本の貨物船が座礁し生態系への影響が懸念されている問題で、現地で潜水調査を行った国立環境研究所の専門家は、当初懸念されていた重油によるサンゴへの影響は現時点ではほとんど見られない一方で、現場に残されている船の一部がサンゴを削ることで発生している石灰質の拡散の影響が大きくなるおそれがあると指摘しています。
サンゴの研究を長年続けてきた国立環境研究所生物・生態系環境研究センターの山野博哉センター長は、先月20日から28日まで、日本政府の専門家としてモーリシャスに派遣され、事故のあった海域の16か所で潜水調査を行いました。

その結果、当初懸念されていた、流出した重油がサンゴに覆いかぶさるなどの状況はなく、死んでいるサンゴは見られなかったということです。

一方で、座礁した貨物船の北側1.5キロほどの間の海域の3か所では海水の濁りがひどく、透明度は3メートルほどと、20メートルほどとされる通常のサンゴ礁に比べて低かったということです。
これは、現場に残された貨物船の船尾の部分や、油の拡散を防ぐフェンスのチェーンが、波を受けて動いてサンゴを削り、サンゴの骨格を形づくる石灰質が砕けて海中を漂っているためとみられ、サンゴに雪のように降り積もり、窒息したり、光合成ができなくなったりして死んだとみられるサンゴも一部で確認したということです。

現場の海域では、去年と4年前に、海水温の上昇でサンゴが弱る白化現象が発生していて、今後、石灰質の影響が追い打ちをかける形で被害が拡大するおそれがあるということです。

山野センター長は「過去に、座礁した船がサンゴを削り続けて濁りがこれほど幅広い範囲で生じた例は聞いたことがなく、砕けた石灰質がサンゴに与える影響を長期的に監視することが必要だ」と指摘しています。