米FDA局長 新型コロナのワクチン 臨床試験終了前に緊急許可も

米FDA局長 新型コロナのワクチン 臨床試験終了前に緊急許可も
アメリカで、新型コロナウイルスのワクチンの承認を担うFDA=食品医薬品局のハーン局長は、ワクチン開発の最終段階となる第3段階の臨床試験が終了する前に緊急での使用を許可する可能性があると、メディアとのインタビューで明らかにしました。
アメリカFDAのハーン局長は、イギリスの新聞「フィナンシャルタイムズ」とのインタビューで、新型コロナウイルスのワクチンについて、開発の最終段階となる第3段階の臨床試験が終わる前でも、効果が危険性を上回ると判断すれば、正式な承認の前に緊急での使用を許可する制度を利用して接種ができるようにする可能性があると述べました。

ハーン局長は「緊急使用の許可を申請するかどうかは開発者しだいだ」としています。

通常、ワクチンは、安全性と効果について国の専門機関などの承認を得て接種が可能になりますが、トランプ大統領は8月、ツイッターに、FDA内部の何者かがワクチンや治療薬の試験で人を確保するのを難しくしているなどと書き込み、大統領選挙の後まで結果がわかるのを遅らせようとしていると主張しました。

ハーン局長はインタビューで、緊急での許可をする場合、「科学的な判断に基づくもので、政治的なものではない」と、政権からの圧力を否定していますが、臨床試験が終わっていないワクチンが一般の人に広く接種されることになれば、極めて異例の事態で、ワクチンの専門家からはハーン局長の方針への批判も起きています。