コロナ影響で解雇・雇い止め 全国で5万人超 見込み含め 厚労省

コロナ影響で解雇・雇い止め 全国で5万人超 見込み含め 厚労省
新型コロナウイルスの影響で仕事を失った人が、見込みも含めて全国で5万人を超えたことが、厚生労働省がハローワークなどを通じて行った調査で分かりました。仕事を失った人は実際にはさらに多いとみられ、厚生労働省は再就職に向けた支援を進める方針です。
厚生労働省は、新型コロナウイルスの感染拡大で業績が悪化した企業などから、解雇されたり、契約を更新されない「雇い止め」にされたりしたケースについて、全国の労働局とハローワークを通じて調査しています。

それによりますと、ことし1月末から8月31日までに解雇や「雇い止め」で仕事を失った人は、見込みも含めて5万326人となり、5万人を超えたことが分かりました。

ハローワークなどで把握できた人数であるため、仕事を失った人は実際にはさらに多いとみられます。

新型コロナウイルスの影響で仕事を失った人は、ことし5月22日に1万人を超えたあと、7月1日に3万人、7月29日に4万人を超え、その後も増え続けています。

厚生労働省は、「雇用調整助成金」などを積極的に活用し、企業に雇用を維持するよう呼びかけるとともに、再就職に向けた支援を進める方針です。

求人減少で厳しい再就職

新型コロナウイルスの影響で仕事を失った人からは、再就職が難しく生活の見通しがたたないという声が聞かれます。

神奈川県に住む60代の女性は、おととしからバス会社でパート従業員として働いていましたが、ことし7月、契約を更新されずに「雇い止め」で仕事を失いました。

女性は1日に5時間から6時間、学校前のバスの停留所で学生などの定期券を確認したり、営業所で事務作業を行ったりしていました。

1か月の収入はおよそ10万円で食費や光熱費などにあててきました。

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で学校が長期間、休校になったことなどから、ことし3月から仕事はなくなり休業を余儀なくされました。

女性によると、会社から休業手当は全く払われなかったということです。

さらに、雇用保険に加入していなかったため、仕事を失った後も失業手当を受け取ることができず、およそ半年間、貯金を取り崩して生活しています。

社会福祉協議会で国の貸付金を20万円借りて、当面の生活費を確保できました。

また、フードバンクからインスタント食品などの支援を受け、食費などの出費をできるだけ抑えながら生活しています。

女性は今後の生活の見通しを立てたいと、ハローワークに登録するなど再就職の活動を始めています。

31日は横浜市内のハローワークに行き、端末を使って希望する事務などの業種で、自宅から通うことができる地域で、パートの仕事を探しましたが、条件にあう求人はゼロでした。

女性は神奈川県内のすべての地域で業種を問わずに、パートの仕事を探した結果、条件にあう求人は2件ありましたが、いずれも自宅から遠く通勤が難しいことから、応募をあきらめました。

神奈川県のことし7月の有効求人倍率は0.79倍で、全国で2番目に低くなっています。

女性は新聞の折り込みチラシなどで、介護関係の求人募集を見つけることが多いため、応募しようと思っていますが、年齢や体力を考えると再就職しても続けられるかどうか不安に感じています。

女性は「新たな仕事が見つかるのであれば違う場所に引っ越すことも可能だと、ハローワークに登録していますが、それでも仕事は見つかりません。再就職できない状況がいつまで続くのか、あと1か月か2か月は我慢することはできますが、その先を考えると苦しく厳しいです」と話しています。