台風・大雨・地震に備える 「在宅避難」に必要なものは?

台風・大雨・地震に備える 「在宅避難」に必要なものは?
きょうは防災の日。新型コロナウイルスの影響で、災害時、安全が確保されている場合は自宅にとどまる「在宅避難」への関心が高まっています。でも、電気もガスも水道もない自宅にとどまるにはどんな備えが必要なの?それを身をもって確かめる「おうち防災訓練」が注目されています。

(ネットワーク報道部 記者 加藤陽平 鮎合真介)

警察官親子6人で “24時間おうち防災訓練”

先月、ツイッターへのこんな投稿が話題となりました。
「家族6人(本人、妻、10歳、8歳、6歳、2歳)で、電気・ガス・水道を使わずに24時間生活してみました」

投稿したのは、警視庁警備部災害対策課です。

今回、この課に所属する40代の警部補が、午前8時から翌日の午前8時までの24時間、自宅のマンションで災害の発生を想定して生活し、気づいた点をまとめたとしています。
一家6人の生活で見つかった課題の1つはトイレでした。風呂の残り湯はトイレのために1日で大半を使ってしまい、非常用簡易トイレも準備しておく必要があるとしています。

また、トイレの水を毎回流せず、換気扇も回せないのでにおいがこもりやすいとして、芳香剤や消臭スプレーも必要だとしています。
また、妻からは、「紙コップや紙皿は大量に準備しておかないとあっという間になくなる」「災害時はゴミも大量に出ると思うのでゴミ袋のストックも確認しておきたい」といった感想が出たといいます。

参加した子どもたちの感想も書き込まれています。
長女(10)「夜になると、できることが少なくなるので、明るいうちにやっておく」
次女(8)「ライトを首にかけておけば、探さなくて済むと思う」
長男(6)「おやつ(非常食の羊かん)が美味しかった」
一方、投稿では、今回は涼しい日を選んで実施したとしていて、「もし同じようなことをする場合は、気温や健康状態には十分留意し、体調に変化があった場合は直ちに中断するなど、決して無理をしないようにしてください」と書き添えています。

この投稿を読んだ人たちからは、「実体験をするのが一番重要だと感じました」「ゴミ袋は盲点でした。次の買い物の時にうちも災害時のシミュレーションしてみます」といった反響が次々と寄せられました。

「おうちキャンプ」で楽しく備える

大変そうに見える「おうち防災訓練」を子どもと一緒に楽しくできるようひと工夫している人に話を聞きました。

危機管理教育研究所の代表、国崎信江さんです。
国崎さんが、自宅にとどまる「在宅避難」への備えとして、おすすめするのが「おうちキャンプ」を取り入れた訓練です。

国崎さんの一押しのアイテムはテントで、家の中でテントを張る「非日常感」は、子どもの興味を引くのに効果ばつぐんだといいます。

家の中でのテントは、防災上も重要で、地震などで天井の一部が落ちてきたときの備えにもなり、子どもと一緒にテントの中でランタンの明かりで過ごします。

子どもと楽しむには食事も重要で、ここにもひと工夫があります。

よく作るメニューは、冷蔵庫の中で平らにして凍らせておいたごはんとお肉を、カセットコンロで調理した「ライスバーガー」です。

子どもたちにとって、いつもと違う特別なメニューなのと同時に、停電が長引くといたんでしまう冷蔵庫の食材を使って簡単に料理を作る練習にもなるといいます。
おうちキャンプを取り入れた防災訓練を始めてからすでに4年、いまも年に3回ほど行う形で続いているのは、必ずしも時期にこだわらず、家族の都合にあわせて「気が向いた時やってみる」気軽さがポイントだそうです。

この防災訓練を繰り返す中で、「在宅避難」に必要なものが分かってきたといいます。
・ヘッドライト:両手を自由にできる。懐中電灯では手がふさがってしまう。
・ランタン:しっかり部屋を明るくできるので多めにあるとよい。
・カセットコンロのボンベ:調理や熱湯が必要な場合など1日で1本消費する。多めに備蓄する。
国崎信江さん
「新型コロナウイルスの影響で家にいる時間が増えたと思うので、ぜひ試してほしいです。ただ、必ず安全に配慮してください。残暑が厳しい中で停電を想定して行う必要はありませんし、カセットコンロを使う際にはしっかり換気してください」

日用品を活用して「節水」「防臭」

おうちでの防災訓練には、身近な日用品も役立つかもしれません。

旭化成ホームプロダクツは、「#家でも防災訓練してますか」と題して、防災の日に向けて、家庭用ラップの災害時の使い方を紹介するウェブサイトを開設し、活用法を掲載しています。
比較的知られている、水道が使えない時に食器にラップを敷いて食事をするという使い方。
また、災害時、ゴミの収集が遅くなる際のにおい対策として、生ゴミや紙おむつなどをラップで包むことでにおいが抑えられるとしています。

ほかにも、ラップを手に巻いて、使い捨ての手袋がわりにするという使い方などを紹介しています。

会社の担当者は、「新型コロナウイルスの影響で例年通りに自治体の防災訓練を行うのが難しいので、身近な日用品でできる自宅での防災訓練のポイントをまとめている」と話しています。

「在宅避難」に備える訓練 新たな定番に

自宅にとどまる「在宅避難」。新型コロナウイルスへの感染が懸念される中、浸水のおそれがない場所、土砂災害の危険のない場所、頑丈なマンションの上層階に住んでいる人にとっては選択肢の1つとなっています。

在宅避難に備えたおうちでの防災訓練の重要性について、専門家に話を聞きました。
防災システム研究所 山村武彦所長
「新型コロナウイルス感染への懸念で、避難所に多くの人が入れなかったり、避難するのを自らやめるケースが増えている。ハザードマップなどを確認し、自宅が安全だという前提だが、これからは在宅避難がさらに重要になると考えている」
特に、心がけて欲しいのは実践的な訓練だといいます。
「1日だけでなく、可能なら2泊3日で試してみると、何が困難か身につまされるはずだ。例えば、夜間の生活では、懐中電灯の明かりだけでは足りず、ランタンが必要だとか、夏場は暑くて窓を開けることになるので、蚊取り線香が必要だとか気づきが生まれる。おすすめは、せっかくなら家族それぞれが時系列でメモを取ること。感じたことをしっかり記録できるので効果的だ」
「新型コロナウイルスの影響で、従来の防災訓練が中止になるケースもあるが、在宅避難の訓練を新たな定番として多くの人に実施してほしい」