“Go Toトラベル” 東京については来月判断へ 西村経済再生相

“Go Toトラベル” 東京については来月判断へ 西村経済再生相
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観光需要の喚起策「Go Toトラベル」について、西村経済再生担当大臣は、衆議院内閣委員会で、対象外としている東京発着の旅行も加えるかどうか、来月、政府の分科会を開いて感染状況を分析したうえで判断する考えを示しました。
新型コロナウイルス対策などをめぐって、衆議院内閣委員会の閉会中審査が開かれ、西村経済再生担当大臣は、東京の感染状況について、引き続き警戒感を持って注視していく考えを示す一方、先月末をピークに低下傾向にあるとみられるという専門家の分析を説明しました。

そのうえで、東京発着の旅行などを対象外としている観光需要の喚起策「Go Toトラベル」について「来月、分科会を開いて専門家に感染状況などを分析してもらい、判断したい」と述べ、東京発着の旅行を対象に加えるかどうか、来月、新型コロナウイルス対策を検討する政府の分科会を開いて、感染状況を分析したうえで判断する考えを示しました。

また、現金10万円の一律給付について、西村大臣は、ほぼすべての世帯に、総額でおよそ12兆6000億円が給付されたとしたうえで「消費税率を5%下げるのと同等のマクロの経済効果があり、定額なので所得の低い方により大きな恩恵がある」と述べました。

一方、安倍総理大臣の体調について、西村大臣は「先週、先々週には少し疲れた感じにも見えたが、きのうはふだんと変わりない様子で、さまざまな指示もいただいた。引き続き、健康、体調管理をしっかりし、先頭に立ってリーダーシップを発揮していただければと考えている」と述べました。

菅官房長官「追加されれば効果は大きい」

菅官房長官は記者会見で「7月にスタートする際に、東京都は感染状況を踏まえて除外したが、専門家で作る政府の分科会の提言では、感染が落ち着いてきた際は、実施しても差し支えないとされている。東京都の取り扱いについては、感染状況を見ながら専門家の意見も伺ったうえで判断したい」と述べました。

そのうえで、東京発着の旅行を対象に加えた場合の経済効果について「東京都は人口も多く、追加された際には、ホテルや旅館にとってプラスの効果は大きいのではないか」と述べました。

共産 穀田国対委員長「コロナ感染症対策に全力を」

共産党の穀田国会対策委員長は記者会見で「東京を加える、加えないという話よりも、いまこの事業自体をやるべきなのかということだ。どの程度の経済効果があるのかも確かではなく、かえって感染者が広がるおそれもある。いまは新型コロナウイルスの感染症対策に全力を挙げることが大事だ」と述べました。

社民 福島党首「東京追加は避けるべき」

社民党の福島党首は記者会見で「東京は感染の拡大が収まっておらず、重症者も増えている状況だ。『Go Toトラベル』を東京発着の旅行についても認めることになれば、全国に感染を広げる可能性があり、避けるべきだ。そもそも全国でのキャンペーン自体もやめるべきだ」と述べました。

東京都 小池知事「どのような形になるか見ていきたい」

東京都の小池知事は、都庁で記者団に対し「政府のプロジェクトであり、どのような形になるのかを見ていきたい。まずは東京都として感染拡大防止に努めているところで、各事業所や都民に協力をお願いしている。引き続き、理解を賜りたいと考えている」と述べました。

神奈川県 黒岩知事「東京から来られればありがたい」

神奈川県の黒岩知事は記者会見で「当初、東京が対象外となったのは、感染者が圧倒的に多かったことが背景にあった。ただ、東京の感染拡大がピークを過ぎたのではないかと分析する専門家もいる」と述べました。

そのうえで黒岩知事は「東京の感染者数がある程度少なくなれば、『Go Toトラベル』に参加することも視野に入ってくると思うし、受け入れる側としては、東京から観光客が来られるようになるとありがたいと思う」と述べました。

埼玉県大野知事「東京発着の旅行は慎重に考えるべき」

埼玉県の大野知事は記者会見で「東京の感染者数が少なくなっているとはいえ、全国的には突出して多い。現時点で東京発着の旅行は慎重に考えるべきだ」と述べ、否定的な考えを示しました。

また、すでに実施している「Go Toトラベル」について、「公的な支援はありがたいが、時期尚早だったと思っている」と述べました。

日本医師会 中川会長「徹底した感染防止対策を」

日本医師会の中川会長は記者会見で「日本医師会としては、経済との両立ではなく、感染収束に向けた努力を中心にすべきだと申し上げてきた。政府が悩み苦しんで出した方針なら、いい悪いではなく、もしそうなった場合には徹底した感染防止対策を、国民一人一人にしていただきたい。こまめな手洗いや消毒、3密を避けることを続ければ、県境を越えたり都内で移動したりするのは、そんなに変わらないのではないか」と述べました。

街の声 歓迎の一方で不安も

東京 新宿では、歓迎する声が上がる一方、感染を広げるおそれがあるのではと、キャンペーンの利用に慎重な声も聞かれました。

埼玉県に住む男性は「サービス業や旅行業の関係では、消費がないと困ってしまう人が出てくるし、よいことだと思います」と歓迎していました。

一方、都内に住む会社員の男性は「これまで東京発着が対象とならなかったのは、都民として悲しかったですが、感染状況からしかたないと思い、夏休みもどこにも出かけませんでした。東京発着が加えられることはありがたいですが、旅行先で嫌がられるのではないか、迷惑をかけるのではないかという不安があります」と話していました。

また、都内に住む主婦は「小さな子どもがいるので、コロナが広がってから仙台の実家に一時帰省していましたが、きりがないので東京に戻ってきました。その後、年配の祖母がいる実家からは『帰ってきて欲しくない』と言われてお盆は帰省しませんでした。コロナをうつされたくないし、うつしたくもないので、東京発着の旅行が認められても利用しないと思います」と話していました。