新型コロナ第2波の流行 感染状況の最新データが明らかに

新型コロナ第2波の流行 感染状況の最新データが明らかに
新型コロナウイルス対策について厚生労働省に助言する専門家の会合が開かれ、これまでに亡くなった人や重症になった人たちの分析などが報告されました。第1波の流行と比べて現在の流行では、亡くなった人の数は少ないものの高齢の人の致死率はほとんど変わっていないということです。
24日開かれた会合では、現在の感染状況について流行はピークに達してはいるものの、このあと減少するかどうかは現時点では分からず、感染の再拡大への警戒が必要な状況だと評価しました。

また、国立感染症研究所から、第1波の流行と現在の第2波の流行のそれぞれの致死率が報告されました。

その結果、ことし5月までの第1波の際の致死率は6%だったのに対して、6月以降は4.7%と低下傾向になっていました。

ただ年代別に見てみますと、50代、60代の致死率は第1波が2.8%、第2波が3.1%。また70代以上の致死率は、第1波の際が25.1%、第2波が25.9%とほとんど変わっていなかったということです。

また、ことし3月までの516人分の患者データから人工呼吸器を装着したり、死亡したりするリスクと関係のある要因を分析したところ、男性は女性に比べてリスクが2.8倍になっていたほか、
基礎疾患については
▽高尿酸血症が3.2倍
▽慢性肺疾患が2.7倍
▽糖尿病が2.5倍
▽脂質異常症が2.1倍になっていたということです。

専門家会合の脇田隆字座長は「これから重症化リスクの高い人が多くいる病院や施設などでの感染が増えてくると考えられるので、医療体制などの充実に取り組む必要がある。今後もさらにデータの分析を進めていきたい」と話しています。

“引き続き警戒が必要な状況”

24日開かれた会合では現在の流行状況についての評価が報告されました。
この中では1人の感染者から平均何人に感染が広がるかを示す「実効再生産数」と呼ばれる数値を示し、各地でこの実効再生産数が流行が収束に向かう目安となる「1」を下回っているとしました。

そのうえで、今回の流行は全国的にはピークに達しているものの、地域によっては感染者数の減少傾向が続くかどうかが分からない地域もあることなどから、このあと高止まりしたり、再び感染者数が増えたりする可能性があるとして、引き続き警戒が必要な状況だとしました。

また、大阪府や沖縄県、愛知県、福岡県などでは重症者の数が増加する傾向が続いていて、医療体制や検査体制をさらに充実させる対策に取り組むべきだとしています。

感染状況を示す最新データ

24日の会合では、都道府県ごとの感染状況を示す最新のデータも明らかにされました。
これまでに政府の分科会は、感染状況を示す4つのステージのうち、
▽感染者の急増への対策が求められる「ステージ3」、
▽そして爆発的な感染拡大への備えが必要な「ステージ4」について具体的な指標を示していますが、どの都道府県が該当するかを見ていきます。

1 病床のひっ迫具合

まず、今月18日時点での病床のひっ迫具合です。
▽「ステージ4」の指標となる「最大確保できる病床数の使用率が2分の1(50%)以上」などとなっている都道府県は、今月5日の時点ではありませんでしたが、今回、沖縄県が該当しました。

また、▽「ステージ3」の指標となっている「最大確保できる病床数の使用率が5分の1(20%)以上」、
もしくは
▽「現時点で確保している病床数の使用率が4分の1(25%)以上」などとなったのは、沖縄県を除くと15の都府県です。

具体的には茨城県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、石川県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、徳島県、福岡県、熊本県となっています。

ステージ3と4に該当する都道府県の数を合わせると、今月5日の時点に比べて2つ減りました。

分科会ではこうした指標はあくまで目安であり、国や都道府県は、機械的に判断するのではなく、地域の状況などを踏まえて、総合的に判断する必要があるとしています。

2 療養者数

「療養者数」は、医療機関に入院している人と、自宅や宿泊施設で療養している人などを合わせた人数です。

今月18日の時点で、療養者数が
「ステージ3」の指標となる「人口10万人あたり15人以上」だったのは
東京都(24.0人)と愛知県(16.4人)、大阪府(19.3人)、それに福岡県(18.1人)でした。

さらに、「ステージ4」の「人口10万人あたり25人以上」に該当したのは、沖縄県で、53.8人となっています。

3 PCR検査の陽性率

PCR検査の陽性率です。
今月16日までの1週間の平均でステージ3と4の指標となる10%を上回ったのは、5つの県でした。

具体的には、石川県が13.2%、愛知県が10.9%、滋賀県が15.4%、徳島県が15.2%、沖縄県が10.3%となっています。

今月2日までの1週間では大阪府と愛知県が該当していました。また、今月16日までの全国の陽性率の平均は5.9%で4週続けて6%前後で推移しています。

4 新規感染者数

「新規感染者数」です。
「ステージ4」の指標となる「人口10万人あたりの1週間の感染者数が25人以上」に該当したのは沖縄県で、今月20日までの1週間に27.6人の感染が確認されました。

沖縄県は今月5日までの1週間でも該当していましたが、今回は2.61人減っています。
一方、「ステージ3」の指標の「人口10万人あたりの1週間の感染者数が15人以上」には今月5日までの1週間では東京都と福岡県が該当していましたが、今回、当てはまる都道府県はありませんでした。

5 感染者数の比較

感染者数の直近1週間と前の週との比較です。
1週間に感染が確認された人の数が前の週を上回ると、ステージ3と4の指標に該当します。
今月20日までの1週間を見ると
▽岩手県(1.50)、
▽宮城県(1.25)、
▽福島県(2.38)、
▽群馬県(2.02)、
▽千葉県(1.09)、
▽神奈川県(1.17)、
▽新潟県(1.29)、
▽富山県(1.09)、
▽石川県(1.37)、
▽山梨県(2.17)、
▽京都府(1.32)、
▽奈良県(1.93)、
▽和歌山県(1.88)、
▽山口県(1.12)、
▽徳島県(1.59)、
▽香川県(2.50)、
▽高知県(22.00)、
▽熊本県(1.29)、
▽大分県(2.41)、
▽宮崎県(1.09)、
▽鹿児島県(15.75)の21府県が当てはまりました。

今月5日までの1週間では35の都道府県が指標に該当していました。

6 感染経路が不明な割合

感染経路が不明な人の割合が今月14日までの1週間の平均でステージ3と4の指標となる「50%以上」だったのは
▽岩手県(100%)、
▽宮城県(67%)、
▽福島県(71%)、
▽群馬県(54%)、
▽千葉県(53%)、
▽東京都(63%)、
▽神奈川県(51%)、
▽長野県(80%)、
▽愛知県(52%)、
▽京都府(52%)、
▽大阪府(56%)、
▽香川県(75%)、
▽福岡県(53%)、
▽鹿児島県(50%)、
▽沖縄県(58%)の15の都府県です。

先月31日までの1週間に比べると、該当する都道府県の数は1つ減っています。

一方、全国で今月14日までの1週間に感染経路が不明だった人の割合は52%で依然として高い水準で推移しています。