冷却スプレーで爆発!? 夏こそ注意を

冷却スプレーで爆発!? 夏こそ注意を
街なかで信号待ちをしていたトラックが突然、爆発。フロントガラスは粉々に吹き飛び、近くに止まっていた車などにも被害が及びました。
厳しい暑さが続くこの時期、利用することが多い冷却スプレー。使い方を誤ると爆発の危険もあること、知ってください。
(広島放送局 木村祥太 牧裕美子/ネットワーク報道部 目見田健 井手上洋子 野田綾)

トラックが爆発 冷却スプレーのガスに引火か

フロントガラスが粉々に吹き飛び、運転席も壊れ、ドアも大きく曲がったトラック。広島県福山市で今月19日、信号待ちをしていたトラックが突然、爆発しました。

原因の発端は、厳しい暑さの中で、ほてった体を冷やそうと使った冷却スプレーとみられています。

20代の運転手は「車内で冷却スプレーを体に吹きかけたあと、たばこを吸うためにライターに火をつけた」と話していて、顔に軽いやけどを負いました。

警察は、冷却スプレーの缶に含まれる可燃性のガスが引火して爆発したとみています。

密室で使う時は特に注意を

密室でスプレーを使う時は、特に注意が必要だと話すのは、千葉市消防局です。消防局では、今回の事故と近い状態を実験していました。
実験では、可燃性ガスを含んだスプレーを密閉された空間に20秒噴射。そして、この中にある点火装置で火花を起こすと、大きな爆発音とともに一気に炎があがりました。

スプレーに含まれている可燃性のガスは空気より重く、室内などにとどまりやすいものもあるほか、においに気付きにくいため、うっかり火をつけてしまうと爆発する危険があるといいます。
千葉市消防局
「密閉された空間でスプレーを使ったあと、火を使うのは非常に危険です。もし車内などでスプレーを使う場合は、換気を十分行うなど注意してほしい」

密室だけじゃない 車外でも破裂

注意が必要なのは、密閉された空間だけではないことを知ってほしいという男性もいます。
「ダンプの荷台に置いてあった蜂の殺虫スプレーが爆発しました」
今月15日に破裂したスプレー缶の写真をSNS上に投稿した男性に話を聞きました。

岐阜県に住む造園業の50代の男性は、この日の午前8時半ごろ、蜂の殺虫スプレーや雨がっぱなどを入れたプラスチック製のケースをトラックの荷台に置いて仕事に出ました。昼休憩のためトラックに戻ったところ、突然、「バーン」という大きな破裂音が聞こえたと言います。

最初は何が起こったのかわからなかったという男性。よく見ると、荷台で殺虫スプレーが破裂して中の液体が飛び散り、その衝撃でプラスチック製のケースも大きく割れていました。

20年近く造園業を営む男性にとって、初めての経験だと言います。
岐阜県の男性
「夏の時期は特に車内が高温になるため危険だと認識していましたが、車の外でもスプレー缶が破裂し、とても驚きました。ここ最近、各地で猛暑日が続いているからかもしれません。けが人は出ませんでしたが、仕事でスプレー缶を使う機会が多いので怖いです」

あっという間に“全身に火が”

高温になった場所でも破裂の危険があるスプレー缶。使い方を誤ると、着ている服に引火するおそれもあります。
国民生活センターが行った実験の画像です。

マネキン人形に着せた服に10秒間、冷却スプレーを吹きつけます。

袖口にライターを近づけると、一瞬で服全体に燃え広がり、3分ほどですべて燃えてしまいました。
冷却用や殺虫用などさまざまな種類があるスプレー缶。噴射ボタンを押すと、中に入っている液体とガスが混ざったものが一気に放出され、細かい霧や泡になるのが特徴で、多くのスプレー缶は可燃性のガスが入っています。
国民生活センター
「吹きつけられた可燃性のガスが衣類の表面付近で徐々に気化し、ライターの火が近づくと、容易に引火して、一瞬で全体に炎が広がります」

8月が最多 スプレー缶の事故

実はこのスプレー缶の事故、夏の時期に増え、月別で見ると8月が最も多くなることがわかっています。
ことし3月末までの5年間に消費者庁に寄せられたスプレー缶の事故は合わせて304件。

このうち、事故の発生日がわかっている220件の内訳を見ると、6月から8月は合わせて87件と全体の4割近くに上っていて、月別では、8月が32件と最も多くなっています。

車内に置いていただけで…

この中には、車内に置いていただけで破裂してしまったというケースもあります。

消費者庁には、
▽スプレータイプのタイヤワックスを購入し、車内に置いてから2日後、缶が破裂し、中の液体が飛び散っていたといったもののほか、
▽車のダッシュボードに入れていた冷却スプレーが爆発した、
▽カーエアコン用の消臭スプレーが破裂した、
などの報告が寄せられています。

使い方と保管方法に注意を

消費者庁は、夏の時期は気温が上がって高温にさらされる環境になりやすいうえ、日焼け止めスプレーや制汗スプレー、それに虫よけスプレーなど、スプレー缶を使う機会が多くなるため、事故が増加しているとみています。そのうえで、夏の時期は特に気をつけてほしいと注意を呼びかけています。
消費者庁
「可燃性のガスが含まれているスプレーは、蚊取り線香のような小さな火でも引火するおそれがあるので、火の気のないところで使うようにしてください。また、車のダッシュボードは、真夏だけでなく、春や秋でも日が差すと65度を超えることがあります。直射日光の当たる場所など、40度以上になる場所は、破裂する危険もあるので、置かないでください」

独自の工夫をする人も

「エアコンが壊れた車に乗っていた人間の知恵だけど、高温になった車内は霧吹きで数回水を吹くだけでかなり温度下がる」
スプレー缶に頼らずに、高温になる車内の危険な暑さから身を守ろうと、SNS上では、さまざまな工夫も見られます。

潜む危険 知ってほしかった

取材の最後に、トラックの荷台のスプレー缶が破裂した写真を投稿した男性に投稿の理由を尋ねると、身近に潜む危険を知ってほしかったと話しました。
岐阜県の男性
「もしスプレー缶が破裂してけがをしたらと考えると怖くなります。使い方や保管の方法を間違えると、事故につながるかもしれない。その危険を知ってほしい」