“1時間半のハワイ気分” 大型旅客機で遊覧飛行 背景には…

“1時間半のハワイ気分” 大型旅客機で遊覧飛行 背景には…
新型コロナウイルスの影響で海外旅行に行くことができない家族連れなどに、ハワイに行った気分を味わってもらおうと、成田空港では世界最大級の旅客機で遊覧飛行が行われました。
全日空が企画した遊覧飛行は定員の150倍余りの応募が寄せられ、新型コロナウイルスの影響で国際線の利用者が大幅に減少している成田空港は22日、家族連れなどで久しぶりににぎわいました。

アロハシャツを着た子どもたちが、ウミガメのデザインが施された総2階建ての世界最大級の旅客機エアバスA380型機に乗り込みました。

成田を出発して成田に到着するおよそ1時間半の遊覧飛行では、ハワイの雰囲気を演出する音楽や映像が流れたほか、記念品が当たる抽せん会も行われ、乗客はリゾート気分を楽しんでいました。

ハワイ便を強化するため全日空が導入したエアバスA380型機は、新型コロナウイルスの影響でことし3月以降、乗客を乗せて運航していないということで、こうした出番を失った旅客機の整備や活用方法が課題となっています。

遊覧飛行にフラダンス用の衣装で参加した61歳の女性は搭乗前「家族でよく海外旅行に出かけますが、今は新型コロナで難しい状況になっているので、きょうは思い切りハワイの気分を味わいたいです」と話していました。

どうしてこの企画が? 背景には整備上の理由も

今回の遊覧飛行が企画された背景には、旅客機の整備上の理由もあります。

成田空港の国際線は新型コロナウイルスの感染拡大で大幅な運休や減便が続き、およそ200ある駐機スペースに、運航する機会を失った旅客機が所狭しと並んだ状態で留め置かれています。

航空会社は定期的に整備を行って性能を維持する必要があるため、やむをえず乗客を乗せずに飛行させることもあるということです。

このため全日空では、旅客機を貨物を運ぶ専用機に転用するなどしてきましたが、利用者から「旅客機が飛行できるなら、旅行気分だけでも味わいたい」という声が寄せられたことから、今回の遊覧飛行を企画したということです。

全日空の整備士の佐藤圭さんは「エアバスA380型機の場合、一定期間飛行しなければ、22本あるすべてのタイヤの交換が必要となるなど、大きなコストがかかってしまいます。今回の遊覧飛行は航空機を楽しんでもらえるいい機会になったと思うので、うれしいです」と話していました。

成田空港の国際線は 利用者98%減少

国際線の空の便は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う各国の水際対策の影響で、大幅な運休や減便が長期間にわたって続いています。

21日、東京出入国在留管理局が発表したお盆休みを含む今月7日から16日までの成田空港の国際線の利用者数はおよそ2万1800人にとどまり、去年の同じ時期と比べて98%減少しました。

国際線を利用する観光客はほとんどいなかったということで、成田空港で去年のお盆休みに3万人余りが出国した人気のハワイ便は、ことしは運航されませんでした。

例年ならば夏休みを海外で過ごす家族連れでにぎわう国際線ターミナルは、閑散とした状況が続いています。