「Go Toトラベル」観光バス業界は厳しい状況も

「Go Toトラベル」観光バス業界は厳しい状況も
「Go Toトラベル」事業の対象から東京が外されたことにより、都内で観光に携わる企業は厳しい状況が続いています。

売り上げ9割以上減も

その一つ、東京 大田区に本社がある老舗バス会社の「はとバス」は、主力の観光バスツアーを新型コロナウイルスによる緊急事態宣言を受けて4月からおよそ2か月間休止にしました。

6月にツアーを再開しましたが、先月に入り、東京で再び感染者が増え、『Go Toトラベル』事業の対象から東京が外されたこともあって、利用者はほとんど伸びず、先月の売り上げは1100万円と去年の6億3000万円と比べてわずか2%と大きく落ち込みました。

観光バス事業の売り上げは、3月以降、5か月連続で、9割以上減少する深刻な状態になっています。

本社の駐車場では、およそ110台ある観光バスがほとんど稼働していない状態が続いていて、会社では、所有する135台のバスのうち21台のナンバープレートを外すことにしました。

少しでも車両の整備費や保険などの経費を抑えるためで、このうち18台は売却することにし、整備工場では担当者がロゴや黄色の塗料を剥がす作業をしていました。

会社では秋の観光シーズンが始まる来月以降も需要の伸びを期待するのは難しいとして募集する日帰りや宿泊などのツアーの数を3分の1に減らしたということです。

「はとバス」の石川祐成広報室長は「少しでも状況がよくなる兆しがほしい。そうすれば社員のやる気とかも出てきて、頑張っていけるかなと思うがいまは全く先が見えない、不安な状態が続いている」と話していました。

稼働しないバス 乗務員は

東京 大田区の「はとバス」の駐車場には、日中にもかかわらず観光バスおよそ110台がツアーの運行がなく所狭しと止まっています。

8月後半の19日、バスは1日に3台程度しか稼働してなく、中には長期間動いていないため、「はとバス」でおなじみの明るい黄色の車体に、雨だれによる黒い汚れが目立つ車両の姿もあります。

およそ130人いる観光バスの運転手も、現在は1日に5人程度しか出勤せず、ほとんどの人が休業で自宅待機をしています。

駐車場には都内の周遊ツアーに出発するバスの準備作業が進められていて、運転手がタイヤの状況などを確認するとともに、バスガイドは座席をアルコール消毒液を浸したタオルで丁寧に消毒していました。

15日ぶりに出社した乗務歴9年の運転手、太田昌良さん(39)は「コロナの影響でお盆も含めて仕事がほとんどない状態が続いている。こんなことは初めてです。収入も半分程度になっていてとても厳しい。一日も早く元に戻ってほしい」と話していました。

この日、10日ぶりの乗務となった入社2年目のバスガイド、伊澤志音さん(19)は「利用者が大幅に減っていて私自身も驚いています。予防対策をしっかりと行い、1人でも多くの人に乗車してもらい楽しんでもらいたいです」と話していました。

貸し切りバス業界 収入激減続く

新型コロナウイルスの影響を調べるため、国土交通省がことし3月から行っている調査によりますと、貸し切りバス業界では運送収入は3月はおよそ8割減少し、4月から先月までは毎月およそ9割の減少が続いています。

この5か月間の業界全体の運送収入について国土交通省はおよそ2100億円減少したと推計しています。

また、今月の運送収入についてもほとんどの会社が7割以上減少する見込みと回答したということで、国土交通省は、今後も厳しい状況が続くとしています。

岐阜のバス会社 “効果実感できず”

観光需要の喚起策「Go Toトラベル」を活用しても効果を実感できないという貸し切りバス会社もあります。

岐阜県高山市にある貸し切りバスの運行会社「久々野観光」は、「Go Toトラベル」を活用し、料金を35%割り引いた商品を今月5日から販売しています。

しかし、これまでに販売できたのは来月も含めて7つのツアーだけだということです。

この会社は、観光客にあえて行き先を告げない「ミステリーツアー」を毎年9月に企画し、1日に100人を超える申し込みを集めてきましたが、ことしは多くても20人ほどだということです。

この春以降のバスの稼働率は前の年と比べておよそ9割落ち込んでいて、仕事を確保しようと墓掃除の代行サービスをこの夏に始めましたが、現時点で利用は5件にとどまっています。

鈴木隆浩常務は「私たちの地方では、『GoTo』の効果が実感できてないのが現状です。高山市では新型コロナウイルスの感染がこれまで確認されていないので、高山市から外へ向かうバス観光を控えようという意識が市民の間にあることも背景にあるのではないかと思います」と話しています。

鳥取のバス会社 ツアー募集踏み出せず

鳥取市に本社を置く「河原交通」は会社が所有する10台の貸し切りバスを使って、学校の遠足や企業の社員旅行といった団体旅行を手がけていますが、新型コロナウイルスの影響でキャンセルが相次ぎ、新規の予約もほとんど入らない状況が続いています。

会社では、車内の空気を除菌する装置を購入するなど安全性を高める対策を進めたうえ、「Go Toトラベル」を活用してあらかじめ割り引きを反映させたツアーの開発を進めていますが、各地の感染拡大で団体の旅行客を積極的に呼び込むのは難しいとして、今もツアーの募集や営業に踏み出せていません。

「河原交通」の鳥越宣孝社長は「旅行業の底上げにつながると思い、非常に期待感を持って『Go Toトラベル』に参加したが、近隣の県でも感染者は減っておらず、そこにお客様をお連れするのは難しい。『Go Toトラベル』は期限が決まっているが、期限内に10人や20人規模の団体旅行ができるのか、不安を感じている」と話しています。