米空母コロナ集団感染 乗組員を沖縄と神奈川で隔離案 一時検討

米空母コロナ集団感染 乗組員を沖縄と神奈川で隔離案 一時検討
ことし3月にアメリカ海軍の原子力空母で新型コロナウイルスの集団感染が発生した際、乗組員を沖縄県と神奈川県のアメリカ軍基地で隔離する案が海軍と海兵隊の間で一時、検討されていたことが軍の報告書で分かりました。
アメリカ海軍の原子力空母「セオドア・ルーズベルト」ではことし3月、太平洋を航行中に1200人以上の乗組員が新型コロナウイルスに集団感染し、このうち1人が死亡しました。

海軍の報告書によりますと、当時、感染の拡大を防ぐため乗組員を下船させての隔離が検討されましたが、次の目的地だったグアムでは必要な部屋数を確保できなかったということです。

このため、空母を指揮する第7艦隊司令部が沖縄に駐留する第3海兵遠征軍と協議したところ、普天間基地などにおよそ3000室、神奈川県の厚木基地でも400から600室確保できるなどとした見通しが示されたとしています。

これを受けて、乗組員らを空路で沖縄に移送するための計画づくりが進められましたが、移送の間に感染が広がる可能性や、日本政府との関係がこじれるおそれを考慮して最終的に計画は見送られたとしていて、日本側への打診は行われなかったとみられます。

報告書は、空母で感染が拡大した経緯や軍内部の連携について検証し、ことし6月に公表されたもので、空母の艦長が適切な措置をとらなかったことが感染の拡大を招いたなどと結論づけています。