大阪府 増える高齢者の感染 対策徹底呼びかけ 新型コロナ

大阪府 増える高齢者の感染 対策徹底呼びかけ 新型コロナ
大阪府は、新型コロナウイルスの対策本部会議を開き、高齢者にも感染が拡大し重症患者が急増していることから21日から今月31日までの期間、高齢者と日常的に接する家族、それに高齢者施設の職員などに対し、感染防止策の徹底や早めに検査を受診するよう、集中的に呼びかけることを決めました。
大阪府の対策本部会議では、感染が再び拡大した6月中旬以降の傾向として、若者から高齢者にも感染が広がってきていて、18日までの107人の重症患者のうち、60代以上が82人に上ること、重症患者の7割が感染経路が分からないことなどが報告されました。

また、専門家の意見として、府内では、これから数週間、重症患者が1週間当たり100人近く発生し、死亡する人も1週間当たりで60人に上る可能性も視野に入れて対策を行うことが求められるという指摘が報告されました。

そして、さらなる感染拡大を防ぐため、21日から今月31日までの期間、高齢者と、日常的に接する家族、それに高齢者施設や医療機関などの職員に対し、感染リスクの高い環境を避け、少しでも症状がある場合は早めに検査を受診するよう集中的に呼びかけることを決めました。

また、施設に関係する業務に携わる人や入所者、入院患者、外部からの訪問者に対しても、感染防止策の徹底を要請するとしています。

一方、今月6日から行っている、ミナミの一部のエリアの飲食店などに対する休業や営業時間短縮の要請については、当初の方針どおり、20日に解除することを決めました。

ただ、5人以上の飲み会、宴会の自粛や、3密で唾液が飛び交う環境を避けること、業種別のガイドラインを順守していない、接待を伴う飲食店などの利用自粛の呼びかけは、継続することにしています。

重症患者受け入れ病院「病床数はかなりひっ迫」

大阪府内で重症患者の治療に当たっている14の医療機関の現状はどうなっているのか。

このうちの一つ、大阪 東大阪市にある府立中河内救命救急センターは、7人を受け入れることができますが、すでに5床(19日現在)が重症患者で埋まっています。

現在の状況について、山村仁所長は「ほかの重症患者の対応をしている医療機関とも連絡を取っているが、重症の病床数はかなりひっ迫している状況だ」と話しています。

そのうえで「コロナの重症患者に加え、それ以外の救急患者も診療していて、今は、重症の熱中症の患者が増えている。医師や看護師への負担はかなり強くかかっている状態だ。今空いている2床は、同時に患者が来なければ受け入れ可能だが、コロナの患者には、防護服を着る必要があるので、今後、さらに増えていくと、救急現場としては身体的、精神的負担がかなりかかってくる」と話していました。

今後、求められる対策について、山村所長は「重症化を防ぐためには高齢者が多い施設へのコロナウイルスの持ち込みを防ぐことが重要だ。残念ながら高齢者の入所施設や医療機関でクラスターが発生しているという情報があり、今後、高齢者への感染をなんとか防ぐような施策が必要だと思う」と話していました。

増える重症患者 60代以上が9割

新型コロナウイルスに感染した人について、大阪府は「重症者」の基準を定めています。それによりますと、気管挿管の処置を含む人工呼吸器や、「ECMO」と呼ばれる人工心肺装置を装着している場合、それに集中治療室で治療を受けている場合のいずれかに当てはまるケースです。

府の担当者によりますと、気管挿管の処置を行った場合は、ほぼすべてのケースで人工呼吸器を装着するということで、国が定めている基準と事実上同じだということです。

この基準に当てはまる大阪府の重症患者は、
▽1か月前の先月19日は5人、
▽今月1日は20人でしたが、
▽16日はこれまでで最も多い72人、
▽17日は70人、
▽18日は65人とこのところ大きく増えています。

大阪府では重症患者を受け入れる病床として188床を確保していますが、先月19日は2.7%でしたが、3日前は38.3%まで上昇しています。

年齢別でみると特に目立つのが高齢者で、18日までの1週間に発表された重症患者38人では、
▽50代がおよそ1割、
▽60代がおよそ2割、
▽70代がおよそ4割、
▽80代がおよそ3割で60代以上が9割を占めていました。

また、今月に入って新型コロナウイルスに感染して死亡した人の数も大きく増えています。

18日までにすでに27人の死亡が確認されていて、先月1か月に死亡が確認された4人を大きく上回っています。

吉村知事「高齢者や家族などはリスク避けて」

大阪府の吉村知事は、府の対策本部会議のあと、記者会見を開き、「高齢者の皆さんや、日常的に接している家族、医療施設や高齢者施設で働く皆さんは、感染リスクの高いエリアでの行動を避けてほしい。そして、もし症状があれば、できるだけ早く検査を受けてほしい」と呼びかけました。

また、吉村知事は、ミナミの一部のエリアの飲食店などに対する休業や、営業時間短縮の要請を20日に解除することについて、「ミナミの事業者の皆さんに休業などの要請をお願いしたが陽性者が半分以上減ったのは大きな効果だ。協力していただいた皆さんに心から感謝したい。ほかのエリアでも夜の街関連の陽性者が減ってきている。ただ、油断すると広がってしまうので、感染防止の対策を引き続きお願いしたい。5人以上の飲み会や宴会は避けてほしい」と述べました。

西村経済再生担当相「専門家と意見交換」

西村経済再生担当大臣は記者会見で「大阪で高齢者の重症者の数が多いが、1世帯あたりの人数が東京や北海道より多いことも影響しているのではないかと専門家と意見交換している。また、院内感染や高齢者施設での感染があるとその分増えるので、できるだけ防いでいく」と述べました。