たかが日焼け?~甘く見ないで対策を

たかが日焼け?~甘く見ないで対策を
連日の猛暑で熱中症への警戒が続いていますが、SNS上では、別の気になる投稿が増えています。
「日焼けによるやけどでまともに歩けない」
皮膚が“やけど”のような状態になった人の投稿が相次いでいるのです。
そもそも日焼けはやけどだと指摘する皮膚科クリニックによる投稿も。
ふだんの生活に支障が出るほどのやけどをしたという人もいます。
「日焼けなんて気にしたことない」
そんなふうに日焼けを甘く見ている人、特に中高年の男性に多いということですが、注意が必要です。
(ネットワーク報道部記者 鮎合真介 秋元宏美)

SNSには悲痛な声

SNS上では、日焼けした人たちの悲痛な声があふれています。
「この前の登山で手の甲が派手に日焼けしすぎて火傷状態になってしまった。人生初めて日焼け止め塗らなきゃなーって思った」

「日差しがキツすぎて襟足辺りが日焼け通り越して火傷みたいになってる。服が擦れるだけでもつらいのに汗かくとヒリヒリやばいよー」
なかには日焼けしすぎて体調を崩したという人も。
「日焼けしようと思って焼いたんですよ。そしたら思ってた以上に焼けてしまってほぼ火傷レベルです。おかげで高熱出てます。寒いです。皮膚痛すぎです。しんどいです」

痛みで眠れない…

日焼けで日常生活に支障が出るほどのやけどをする人もいます。
真っ赤に焼けた背中が痛々しいこちらの写真。
川崎市に住む会社員の男性(47)が自分の背中を撮影したものです。
この男性は、今月2日、横須賀市で行われた海釣りイベントに参加しました。
ふだんは日焼け対策をしているそうですが、この日は気軽に参加できるイベントということもあり、朝からタンクトップのシャツで海に出ました。
男性
「釣りをしている最中は気にならなかったのですが、夕方に帰宅してシャワーを浴びると、日焼けの痛みで『これはやばい』と思いました。特に翌日以降が大変で1週間くらいは痛みがひどく、寝ていても15分ごとに目が覚めました。また、シャツや肌着だけでなく車のシートベルトもすれて痛かったです」
男性が驚いたのは、日ざしの強さでした。
男性
「去年よりも強く、暴力的ともいえる日ざしを感じました。持って行った3~4リットルの水もすべて飲みきったほどです」
痛みがなくなるまでに2週間もかかり、いまも日焼けの跡が痛々しく残っています。
男性
「今週末も釣りに出ようと思っていますが、今度は日焼け止め効果がある服を着るなどして、きちんと対策をしたいと思います」

まともに歩けない…

釣りでひどい日焼けをした人は、ほかにもいます。
都内に住む40代の自営業の男性が自分の足を撮影した写真です。
今月11日、神奈川県でひとりで釣りをした際の日焼けで、翌日から水ぶくれや痛みがひどくなったということです。
40代の男性
「お盆の時期に重なって病院が開いていませんでした。5日間くらい氷で冷やしていましたが痛すぎてまともに歩けず、家の中をはいつくばって移動していました」
病院で処方された薬で痛みは和らいだそうですが、いまもかゆみと痛みに悩まされているといいます。
40代の男性
「日焼けでこんなにひどくなるとは思っていませんでした。これまで日焼け止めを塗ったことはありませんが、ことしの夏は特に日ざしが強いと感じるので、今後は対策をしたいです」

“とにかく日焼け避けて”

SNS上には、連日の暑さで日焼けによるやけどの診察が増えているという医療関係者の投稿も見られます。
日焼けでひどいやけどをしてしまった場合、どうすればいいのか。
皮膚科が専門で京都大学医学部の特定准教授を務める大塚篤司さんに話を聞きました。
大塚篤司さん
「やけどした場合と同じで、まずは冷やしてください。ただ、水ぶくれができた場合は、そのままにせず、医師に診てもらってください。水ぶくれが破れると、そこが傷になってばい菌が感染して全身に広がる可能性があるからです」
また大塚さんは、長年、日焼けのダメージが積み重なると思わぬ影響が出ると指摘します。
大塚篤司さん
「いちばん心配なのは、皮膚がんです。日焼けによって皮膚がんの発症のリスクは高くなります。若いときに日焼けしていた人が年をとると、顔や手の甲など、よく日が当たる部分に皮膚がんが発症し、手術が必要になることは珍しくありません。また男女にかかわらず、シミやできものができますし、しわも増えます。紫外線のダメージが大きいほど、皮膚が老化するんです」
さらに大塚さんは、日に当たることは健康によいというイメージは「だいぶ古い話」だと指摘します。
大塚篤司さん
「ビタミンDの合成に紫外線が必要というのは栄養状態が悪かった戦後すぐの話で、現在はわざわざ日に当たらなくても十分、食品からビタミンDはとれるので、むしろ日焼けはできるかぎり避けたほうがいいというのが、今の考え方です」
では、日焼けの対策はどうすればいいのでしょうか。
大塚篤司さん
「いちばんの方法は、直接、日が当たるところに行かないことです。次に大事なのは日焼け止めで、塗り方は、1回ではなく二重に塗ることが必要です。しかも3~4時間すれば汗などでクリームが流れてしまうため、また塗り直しが必要です。日傘は有効ですが、紫外線の一部を通すものもあるので、『UVカット』の機能が付いている日傘を選ぶといいです」

男子も日傘を 県がPR

日傘を男性にも積極的に使ってもらおうと旗を振っている県もあります。観測史上、国内で最も暑い41.1度を記録した熊谷市のある埼玉県です。
埼玉県で、おととし熱中症の疑いで搬送された人は6000人余りと全国で4番目に多く、このうち7割は男性だったということです。
危機感を持った県職員の有志が結成したのは「日傘男子広め隊」。日傘の貸し出しや体験会、百貨店とタイアップして父の日に日傘を贈るキャンペーンなど、取り組みを広げてきました。
さらに、大手繊維メーカーと組んで晴雨兼用の傘まで開発しました。
埼玉県によると、日傘を使うことで頭部の体感温度が4度から9度ほど下がるという研究もあるそうです。
埼玉県温暖化対策課の栗原諒至さんも3年前から通勤時に日傘を使っています。
栗原諒至さん
「特に男性はまだまだ抵抗のある方もいるかもしれませんが、一回使ってみるとそのよさに気付くと思います。日陰を持ち歩けるような感じでとても快適なので、男女問わず、夏の暑さ対策に日傘を取り入れてほしいです」

10年後、20年後を考えて

最後に、皮膚科専門医の大塚さんは日焼けに無頓着な人たちに向けて次のように警鐘を鳴らしてくれました。
大塚篤司さん
「若いときに日焼けをたくさんして、年配になって皮膚がんになったり、シミやしわがいっぱいできた人は、『日焼けしなければ、こうはならなかったなんて、知らなかった』と言って、皆さん後悔されています。かっこよく日焼けした肌になりたいという若い人たちの気持ちは私も分かりますが、10年後、20年後のことを考えて、若いうちから予防できるなら予防したほうがいいですね」