“コロナでストレス”の子どもが7割に どう接すればいいのか

“コロナでストレス”の子どもが7割に どう接すればいいのか
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で短くなった夏休みが終わり、新学期がスタートした地域もあります。新型コロナウイルスが子どもたちに及ぼす影響について専門家が調査したところ、ストレス反応を示している子どもが70%に上っていることが分かりました。子どもたちにどのように接すればいいのでしょうか。

ストレス反応示している子ども 72%に

国立成育医療研究センターは、7歳から17歳までの子どもや保護者を対象に、6月から先月26日までの間、感染拡大が及ぼす影響についてネット上でアンケートを行い、およそ6800人から回答を得ました。

このうち「コロナのことを考えると嫌な気持ちになる」「最近集中できない」などと、何らかのストレス反応を示している子どもは72%に上りました。

4月から5月にかけて行った最初の調査では75%だったことから、その後もほとんど改善がみられず、依然として精神的な負担を感じていることがうかがえます。

さらに、自分や家族が感染した場合について質問したところ、いずれも複数回答で
▽「秘密にしたい」と回答した子どもが32%、
▽「秘密にしたいと思う人が多いだろう」が47%と、
多くの子どもが感染を知られることに抵抗を感じていることが分かりました。

また、感染して治った子どもに対する意識については、複数回答で
▽「あまり一緒には遊びたくない」と答えた子どもが22%、
▽「遊びたくない人が多いだろう」が40%でした。

研究グループは、こうした意識は感染者への差別やいじめにつながりやすく、夏休み明けの子どもたちが強いストレスを感じているとして注意を促しています。

調査を行った医師「正しさ押しつけず寄り添って」

調査を行った半谷まゆみ医師は「今回の調査は、学校が一部で再開するなど『新しい日常』を迎える中で、子どもたちが新たなストレスを抱いていることが明らかになった」と指摘します。

そのうえで「差別や偏見は、経験したことのない恐怖に立ち向かう時、自分を守るために敵を作る人間の防御反応の1つだが、子どもたちに理性的に対応してもらうためには、正しさを押しつけたりせず、いま抱えている不安や不満を大人が丁寧に聞き取り、寄り添っていくことが大切だ」としています。

小学2年の娘持つ母親「コロナ怖がる 学校休みたいと言うときも」

さいたま市に住む、小学2年の娘を持つ母親は「娘はコロナを非常に怖がっていて、学校を休みたいと言うときもあります」と、不安を語りました。

先月、娘が通う小学校で児童が感染したということで「学校から『感染者が出たので臨時休校します』とメールが来たと娘に伝えると、娘は怖がって泣きそうになっていました」と話しました。

そして、娘の学校は先月下旬に再開しましたが「学校が再開する日も『行きたくない、2週間くらい休みたい』と言っていて、大きなストレスを感じていたようです」と話していました。

その後も、娘の不安感やストレスは続いているということで「娘はニュースで感染者数が出るだけで『チャンネルを変えて』とコロナの情報に触れることを嫌がっています。娘には『友達が感染しても差別しちゃいけないよ』と言ってはいますが、周りの友達の雰囲気に流されてしまうかもしれないし、親として、どう教えたらいいのか、いつも迷いますし、不安です」と話していました。

「#学校ムリでもここあるよ」 ネット上のキャンペーン開始

いつもより短い夏休みが終わり、学校に行くのがつらいと感じる子どもたちのため、身近にある居場所をネット上で知らせるキャンペーン「#学校ムリでもここあるよ」が始まっています。

このキャンペーンは、学校が再開する中で、不安を抱える子どもたちに役立ててもらおうと、不登校の子どもの支援などに取り組むNPOなど4つの団体が行っています。

「#学校ムリでもここあるよ」と題したサイトを開設し、各地のフリースクールや遊び場、子ども食堂、それに相談を受け付ける施設など、およそ140か所が紹介され、期間中、ほとんどが無料で利用できます。
居場所を提供している団体の一つ、川崎市高津区にある、子どもの遊び場「子ども夢パーク」には、小学生から中学生の子どもたち、およそ30人が集まり、ボールを蹴ったり手作りのスライダーで遊んだりして過ごしていました。

「川崎市子ども夢パーク」の所長、西野博之さんは「学校だけが学びの場ではなく、遊びの中で身につく力は多いです。ここでのんびりしたり、楽しく過ごしたりしてほしいし、そういう場所が地域に広がっていけばいいと思います」と話していました。

NPO「安心できる居場所 用意してあげること大切」

家族や友人などに悩みを相談できないという子どもを支援するため、各地の相談機関と子どもたちをつなぐ「Mex(ミークス)」という検索サイトがあります。

NPO「3keys」が運営するこのサイトは、10代の子どもたちのために作られたもので、住んでいる地域や悩みの内容を子どもたちが自分で書き込んで検索すると、その悩みに応じて相談できる団体を表示します。

NPOによりますと、昨年度は延べおよそ100万人の利用があったということです。

新型コロナウイルスの影響で一斉休校になった3月以降、親から暴力を受けるなどの家庭内のトラブルや、望まない妊娠といった相談が目立ち、学校が再開した6月以降は、いじめや友人関係の悩みが増えているということです。

NPO「3keys」の代表理事、森山誉恵さんは「夏休みが終わって学校が再開するこの時期、大人はプレッシャーを与えるのではなく、安心できる居場所を用意してあげることが大切だと思います」と話しています。