「暑さで休校にならないの?」調べてみた

「暑さで休校にならないの?」調べてみた
短い夏休みを終え、マスクをつけて学校に戻っていく子どもたち。危険な暑さの真っただ中の授業再開に、こんな声も上がっています。
「暑さで休校にならないの?」
調べてみました。
(ネットワーク報道部記者 國仲真一郎 井手上洋子)

“学校で熱中症”投稿相次ぐ

猛暑の時期に学校が再開する異例の夏。
SNS上では、学校で熱中症とみられる症状が出た子どもの家族から、投稿が相次いでいます。
(ツイッターより)
「娘。真夏に学校が始まり、昨日、熱中症の症状で頭痛。冷房をかけながら換気をしている教室の暑さらしい。猛暑日は外気が勝るかな」

「昨日は40度近くなる暑さ。今日も然り。子どもが友だちと軽度の熱中症になったと学校から連絡」

「『長女が熱中症になった』って学校から電話来たよ…。迎えに行ったら、保健室に体調不良の子でいっぱいだったよ…」
ことしは、新型コロナウイルスの影響で、休校した期間の学習の遅れを取り戻そうと、各地で夏休みが短縮されています。
厳しい暑さが続く中での授業について、中には、こんな声もあります。
(ツイッターより)
「授業が遅れている事はもちろん承知だけど」

「取り敢えず35度以上の予想気温の時は休校にするとか出来ないものかな?」

「暑さ休校」異例の対策も

「暑さ」が予想されたら学校を休校にする、異例の対策をとるところも出てきました。
その一つ、三重県津市は、17日、小中学校の2学期再開に合わせて、次の通知を出しました。
「暑さ指数」が
▽翌日午前の予測が33以上の場合は臨時休校に、
▽翌日午後の予測が33以上の場合は
 授業は午前のみで、給食後に下校するというものです。
暑さ指数って?
気温に加えて湿度や日射などの影響が反映され、熱中症の搬送者数との関連性が高いとされる

暑さ指数の危険度は
28以上で「厳重警戒」、31以上で「危険」とされる
関東甲信ではことし7月から、33以上と熱中症の危険性が極めて高くなる場合に、新たな高温注意情報が発表されている
暑さによる休校を決めた理由は、新型コロナウイルスだったといいます。
津市教育委員会
「感染拡大防止のため、児童・生徒たちは登下校中も含めてマスクを着けるため、どうしても熱がこもりやすくなってしまいます。それに室内の換気をしなければならず、エアコンをつけていても外からの熱い空気が流れ込んできてしまいます」
保護者からは「もっと暑くなくても休校にすべきではないか」という声はあるものの、対策そのものに反対する意見は寄せられていないということです。
でも、ただでさえ授業時間が足りないのに、暑さで休校になったらさらに厳しくなってしまうのではないでしょうか?
津市教育委員会
「基準が『暑さ指数33以上』と、そう頻繁にあるものではないので何日も続けて休校になることはなく、授業時間が足りなくなることは考えにくいと思っています。この夏、命に関わる危険もある中で、子どもたちの安心や安全を最優先に考えると、このような対応が必要だったと考えています」
兵庫県明石市もこの夏、暑さ指数33以上の場合は臨時休校にするなどの基準を導入しました。
「休校にするかどうかは最終的には学校長の判断です(市教育委員会担当者)」としていますが、夏休み明け初日の17日には、この基準をもとに、各学校が早めの下校や部活動の中止といった対策をとったということです。

「暑さ休校」続ける自治体も

一足早く、暑さによる休校を導入したのが埼玉県加須市です。
最高気温35度以上、最低気温28度以上の暑さが予想される場合、幼稚園と小中学校を臨時休校にするとしています。
おととし、近くの埼玉県熊谷市で、国内で最も高い41.1度を観測し、記録的な猛暑が続いたことから、エアコンが整備されるまでの緊急的な対策として導入されました。
去年にはすべての学校にエアコンが設置されましたが、特に登下校中の熱中症対策としてこの対策を続けているということです。

暑さ休校の基準は「可能」

文部科学省は、各学校や教育委員会が、暑さによる休校の基準を設けることは可能だとしています。
根拠は学校教育法施行規則63条の「非常変災その他急迫の事情があるときは、校長は、臨時に授業を行わないことができる」としている規定です。
この規定は、大雨や台風、地震などの災害が主に想定されていて、この中に熱中症事故防止も含まれるとしています。
一方、各学校などに対し、暑さをもとにした休校の基準を設けたり、休校そのものを求めたりすることは行っていないということです。
文部科学省が日本スポーツ振興センターの調査として公表している統計によりますと、学校で熱中症になった人は昨年度は5075人(速報値)、各地で記録的な猛暑となったおととしは7000人を超えています。
ただこれは、病院で治療を受けて医療費の支給を受けた人だけを集計しているため、実際に学校で熱中症になった人はもっと多いとみられるということです。
今シーズンの統計はまだ出ていませんが、7月30日には愛媛県の中学校で生徒5人が、8月7日には東京 足立区の小学校で児童7人が、いずれも体育の授業中に熱中症とみられる症状を訴えて病院に搬送されています。

“安全に過ごすための中長期の対策を”

「暑さ」による休校について、熱中症に詳しい帝京大学医学部附属病院高度救命救急センターの三宅康史センター長に話を聞きました。
三宅康史センター長
「この時期、新型コロナウイルス対策と熱中症予防として学校に行かずに家の中にいるのはもちろん安全です。けれど、家庭によっては休校になると大変なところもありますし、子どもたちは友達と遊びたいでしょうし、簡単にはいかないと思います。そして、来年の夏もきっと厳しい暑さになると思うので子どもの命を守るために、どう安全に過ごせるかを中長期的に対策をたてるべきだと思います」
そのうえで、いま大人ができることについて教えてもらいました。
三宅康史センター長
「ことしは新型コロナウイルスの感染防止対策のため、プールや外で思いっきり遊ぶことが制限されてしまったため、これまでの夏と違って子どもたちの体が暑さに慣れていません。子どもは症状をはっきり伝えにくかったり、体力にも差があったりするので、学校側も異変を見逃さないことが大切です。汗をかきすぎていないか、ふらついていないかや、受け答えがはっきりしているかを確認してほしい。授業中でも水分を多めにとらせたり休憩の時間をとったり、『大丈夫かな』というのをいつも以上に気をつけてみてほしい。また、家庭でも、食事の内容や睡眠時間、寝室の温度管理など規則正しい生活を心がけることが大事です。さらに、登下校の時には帽子をかぶらせたり、日傘を持たせたりして、直射日光をさけるようにして、子どもの命を守ってほしい」