奈良の伝統行事「鹿の角きり」中止へ 観光客の密集避けられず

奈良の伝統行事「鹿の角きり」中止へ 観光客の密集避けられず
毎年、秋に行われる奈良の伝統行事「鹿の角きり」が、ことしは新型コロナウイルスの影響で中止されることになりました。中止されるのは戦後に再開されて以降、初めてです。
「鹿の角きり」は、奈良公園の鹿が人にけがをさせたり、鹿どうしで傷つけ合ったりしないよう、毎年10月に春日大社の境内にある施設で行われる行事で、大勢の観光客でにぎわいます。

しかし、角きりを行っている保護団体「奈良の鹿愛護会」は、施設が手狭で観光客の密集が避けられないことや、逃げ回る鹿を数人がかりで追いかけて押さえ込んで角を切る「勢子」と呼ばれる人たちの飛まつ対策も難しいことなどから、ことし10月10日と、11日に予定していた角きりを中止することを決めました。

奈良の鹿愛護会は「楽しみにしていただいている方や関係者の皆様には、ご迷惑をおかけいたしますが、ご理解をいただきますようお願いいたします」とコメントしています。

「鹿の角きり」が中止されるのは、戦後の昭和28年に再開して以降、初めてだということです。

一方、観光客向けの「鹿の角きり」とは別に、愛護会が保護活動の一環で行っている角の切り落としは例年通り行われます。