コロナで受診控えの患者に セカンドオピニオンをオンラインで

コロナで受診控えの患者に セカンドオピニオンをオンラインで
新型コロナウイルスの影響で医療機関の受診を控える患者が相次ぐなか、主治医以外の意見を求めるセカンドオピニオンを希望する患者が減少していることから国立成育医療研究センターは、オンラインでセカンドオピニオンを受けられる制度を始めました。
東京・世田谷区の国立成育医療研究センターでは新型コロナウイルスの感染拡大にともなってセカンドオピニオンの件数が減少し、ことし3月から先月までの5か月間で62件と、前の年の同じ時期(114件)のおよそ半数にとどまっています。

センターでは患者やその家族が治療の選択に迷ったり、治療そのものが遅れたりするおそれもあることから患者がオンラインを使ってセカンドオピニオンを受けられる制度を始めました。

患者の側はまず、電話で予約したうえで専用のアプリを使って必要なデータを入力します。

その後、スマートフォンやタブレット端末などを通して医師と直接話すことができ、治療法などの意見を求めることができます。

この病院ではこれまでに東北地方の小児がんの患者など6件のセカンドオピニオンを受け付けたということです。

小児がんセンターの松本公一センター長は「コロナの影響で治療が遅れている患者もいると聞いている。オンラインなら長距離の移動の負担もなくなるので、これまでよりも気軽にセカンドオピニオンを受けられるようにしたい」と話しています。

相談の多くは小児がんなどの患者や家族

国立成育医療研究センターでは小児がんや小児の肝移植、それに、アレルギーなどの病気でセカンドオピニオンを希望する患者や家族が多いということです。

去年は年間で243件のセカンドオピニオンを受け付け、このうち最も多い97件が小児がんの相談だったということです。

ことし3月から先月までの5か月間で受け付けた62件のうち4割以上にあたる27件が小児がんの患者や家族からの相談だったということです。

患者の家族「治療選択肢の確保を」

小児がんの患者や家族で作る「小児脳腫瘍の会」の馬上祐子代表は「小児がんなど患者数が少ない疾患では専門医の数が少なく、最善の治療法を聞くためにセカンドオピニオンを求めようと遠方の医療機関まで行くケースが多い。しかし、子どもの感染リスクを考えるとためらう親もいると思う」と指摘しました。

そのうえで、「オンラインで相談ができるのは患者家族にとっては安心できるし、大きな助けになる。コロナ禍でも治療の選択肢が狭められることのないよう、こうした取り組みが広がってほしい」と話していました。