米民主党の副大統領候補に黒人女性のカマラ・ハリス上院議員

米民主党の副大統領候補に黒人女性のカマラ・ハリス上院議員
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ことし秋のアメリカ大統領選挙で政権奪還を目指す野党・民主党のバイデン前副大統領は、副大統領候補に女性で黒人のカマラ・ハリス上院議員を選んだと発表しました。バイデン氏が大統領選挙で勝利すれば、ハリス氏がアメリカ史上初めての女性の副大統領になります。
11月のアメリカ大統領選挙で政権奪還を目指す野党・民主党のバイデン前副大統領は11日、副大統領候補に西部カリフォルニア州選出で黒人のカマラ・ハリス上院議員を選んだと発表しました。

ハリス氏は55歳。父親はジャマイカ出身、母親はインド出身で移民の2世として生まれ育ちました。

民主党の大統領候補に名乗りを上げ、一時は支持率を大きく上げましたが資金不足などにより、予備選挙が本格化するのを前に撤退しました。
バイデン氏はことし3月、副大統領候補に女性を選ぶと表明し、その後、黒人男性の死亡事件を受けた人種差別への抗議の高まりを受け、白人以外の候補を選ぶのではないかとみられていました。

またバイデン氏が77歳と高齢なことから、大統領に就任しても1期4年になる可能性があるとして、今回の副大統領候補は民主党の次世代の有力な指導者になるという見方からも大きな関心を集めていました。

バイデン氏とハリス氏は今月17日から開かれる民主党の全国党大会で正副大統領候補に正式に指名され、11月の本選挙でトランプ大統領とペンス副大統領に挑むことになります。

ハリス上院議員とは

カマラ・ハリス氏はカリフォルニア大学のロースクールを卒業後、検察官となり、2011年からの6年間は女性として初めて、カリフォルニア州の司法長官を務めました。

ハリス氏はみずからを「革新的な検察官」と呼び、薬物犯罪で逮捕された若者を収監せず職業訓練などで更生させる施策に取り組んだほか、警察官にボディカメラの着用を義務づける警察改革などを進めてきました。

2016年にカリフォルニア州の上院議員に選出され、現在は1期目ながら民主党若手議員として評価されています。

トランプ政権の強硬な移民政策を批判し、政権が廃止を求めている不法移民の子どもに対する救済制度を維持するべきだと訴えています。

大統領選挙では去年1月に民主党の予備選挙に立候補し、討論会でバイデン氏の人種問題をめぐる過去の発言や政策を厳しく批判して一時、支持率を上げました。

ハリス氏は検察官や司法長官としての経歴を評価される一方、抜本的な警察改革は実現できていないという批判もあり、その後の予備選挙では伸び悩んで撤退を決め、バイデン氏支持を打ち出していました。

ハリス氏 「光栄に思う」

バイデン氏から副大統領候補に指名されたことを受け、ハリス氏はみずからのツイッターに「バイデン氏はアメリカ国民を団結させることができる。なぜなら、彼は私たちのために戦ってきたからだ。大統領として、彼は私たちが理想とするアメリカを築くだろう」と書き込み、バイデン氏こそが分断されたアメリカ社会を1つにできるとたたえました。

そのうえで「副大統領候補として彼に加わることを光栄に思う。彼を私たちの最高司令官にするために全力を尽くす」と投稿し、バイデン氏とともに11月の大統領選挙で政権奪還を目指す考えを強調しました。

バイデン前副大統領 「国を率いていく上で最適の人物」

バイデン前副大統領は副大統領候補にハリス上院議員を選んだ理由について、支持者にあてた電子メールで「トランプ大統領とペンス副大統領と戦い、来年から国を率いていく上で最適の人物だからだ」と説明しています。

その理由として、「ハリス氏は、新型コロナウイルスによる人々の痛みを理解し、国を1つにまとめることができ、副大統領に就任すれば、直ちに職務に取り組める」として、その人格や能力をたたえています。

また、みずからがオバマ前大統領の副大統領を務めた経験を生かし、「政治的な配慮ではなく、統治するための決断だった」と強調しました。

さらに人選の背景には、ハリス氏と知り合いだった亡くなった長男のボー・バイデン氏が生前高く評価していたことが大きかったことも明かしました。

副大統領候補選定の経緯

副大統領候補の選定が本格化したのはことし4月。大統領候補の指名を確実にしたバイデン氏は陣営の幹部やみずからに近い議員からなる選考委員会を立ち上げ、候補者との面接などを進めてきました。

バイデン氏はこれに先立ち3月に「私が大統領になったら政権はアメリカを映し出すものにし、副大統領に女性を選ぶことを誓う」と述べ、女性を選ぶことを明言しました。

その後、5月の黒人男性の死亡事件を受けて、人種差別への抗議デモが広がり警察改革を求める声が高まると、バイデン氏が候補を白人以外から選ぶのではないかという観測が強まりました。

具体的には、カリフォルニア州の司法長官を務めた経験があるハリス上院議員、連邦議会の黒人議員連盟の会長で警察改革を訴えるバス下院議員、フロリダ州の都市の警察トップを務めたデミングス下院議員、バイデン氏とともにオバマ政権を支えたライス元大統領補佐官らが有力視されました。またイラク戦争で両足を失った退役軍人で子育てをしながら議員活動を続け、女性の人気も高いアジア系のダックワース上院議員や左派のウォーレン上院議員の名前もあがりました。

副大統領候補は英語で「伴走者」とも呼ばれ、残り3か月の選挙をバイデン氏とともに戦い、大統領選挙の行方にも一定の影響を与えます。

バイデン氏は繰り返しみずからの政権を「アメリカを映し出すものになる」と表現していて、バイデン氏としては副大統領候補の選定を通してアメリカの多様性を尊重し、アメリカを融和に導く大統領候補だと印象づけたいねらいもあると見られます。

当選すれば初の女性副大統領 民主党次世代のリーダーの可能性も

今回の副大統領候補者選びはバイデン氏が当選すれば初めての女性副大統領になることに加え、民主党の次世代のリーダーになる可能性もあるとして注目されていました。

その理由の一つがバイデン氏の年齢です。バイデン氏は現在77歳、大統領に当選した場合、就任時には78歳と、アメリカ史上、最も高齢の大統領となります。

バイデン氏には健康問題への不安を指摘する声もあり、次の大統領選挙のころには81歳となるため、大統領になっても1期4年で次の世代に引き継ぐのではないかという見方があります。

バイデン氏自身、ことし3月、民主党の若手の有力議員らを前にみずからを次世代のリーダーとの「懸け橋だ」と表現しています。

また副大統領は大統領が職務を遂行できなくなった場合、その任を引き継ぐ継承順位の1位となるうえ、女性としては史上初めてとなるため、ハリス氏は次の大統領選挙で女性初の大統領の誕生に向けた道を開く有力候補になる可能性があります。

それだけに今回の副大統領候補選びは今後のアメリカ政治を占う選択としても注目されていました。

トランプ大統領 「アメリカにふさわしくない」2人を激しく攻撃

バイデン前副大統領が副大統領候補にカマラ・ハリス上院議員を選んだことを受けて、トランプ大統領は早速ツイッターにバイデン氏とハリス氏を批判する映像を投稿しました。

この中では、「民主党の予備選で有権者はハリス氏を見限った。しかし、バイデンは違った。頭がよくないからだ。『のろまなジョー』と『にせものカマラ』は完全なペアだ。アメリカにふさわしくない」として2人を激しく攻撃しています。

また、トランプ陣営も声明を発表し、「バイデン氏は穏健派ではない。増税したうえで、警察の予算をカットし、国境を開くことを約束して過激な暴徒に国を委ねようとしている。投票でアメリカ人はバイデン・ハリスよりもアメリカ第1とするトランプ大統領とペンス副大統領をはっきりと選ぶだろう」として早速、非難の度合いを強めています。