香港 “報道の自由 失われる” 市民に危機感広がる

香港 “報道の自由 失われる” 市民に危機感広がる
中国に批判的な論調で知られる香港の新聞の創業者など10人が、反政府的な動きを取り締まる香港国家安全維持法に違反したなどとして、10日、逮捕されたことを受けて、香港市民の間では一国二制度のもと保障されてきた「報道の自由」が失われるという危機感が広がっています。
香港の警察は10日、香港国家安全維持法に違反した疑いなどで、中国に批判的な論調で知られる「リンゴ日報」の創業者、黎智英氏や、民主活動家の周庭氏など10人を逮捕しました。

ことし6月末に施行された香港国家安全維持法のもと、報道機関の関係者が逮捕されるのは初めてで、香港では一国二制度のもと保障されてきた「報道の自由」が失われるという危機感が広がっています。

「リンゴ日報」は、中国の影響力が浸透する香港メディアの中で数少ない民主派寄りの新聞で、今回の逮捕について、11日の朝刊1面で報道の自由を侵害するものだと厳しく非難したうえで「『リンゴ』は必ずふんばってみせる」という大きな見出しとともに、圧力が強まるなかでも新聞を発行し続けていくことを表明しました。

こうした中、市民の間では支援の動きが広がっていて、香港中心部の売店では朝早くから「リンゴ日報」を買い求める人が次々と訪れていました。

11日、初めて「リンゴ日報」を買ったという男性は「とても怒っています。香港はこんな街ではなかったはずです。きのうの逮捕は、ほかのメディアに対しても政府の批判をするなという脅しだと思います」と話していました。

香港では、10日夜からSNS上で新聞を買って支援しようという呼びかけが広がり、夜明け前から売り切れる販売店が出ていて「リンゴ日報」は11日の発行部数を、ふだんの8倍近い55万部に増刷したということです。

黄之鋒氏「今が香港の緊急事態」

逮捕された周庭氏とともに活動してきた民主活動家の黄之鋒氏は、周氏が逮捕されたことを受けて、自身のフェイスブックに動画を投稿し「周庭氏は、法律が制定される前に民主派団体を脱退し、ツイッターもやめていたにもかかわらず、逮捕された。これは、この法律が過去にさかのぼって適用されることを証明している」と述べました。

そのうえで「今が香港にとって緊急事態です。この映像が、私が逮捕される前の最後のものとならないことを願っています。何が起こったとしても私は香港を愛していて、明るい将来が見えるまで民主化運動への取り組みを続けます」と述べています。

創業者逮捕のメディア企業の株価 急騰

香港の株式市場では、香港国家安全維持法に違反した疑いで創業者が逮捕された新聞を発行するメディア企業の株価が、10日から大幅に上昇しています。

この企業の株価は10日創業者の逮捕が伝えられて以降急激に上昇し、10日の終値は先週末のほぼ3倍となりました。

11日も取り引き開始直後から買い注文が相次ぎ、午後の取り引きでは一時、前日の終値のおよそ7倍まで上昇し、終値は前日に比べて4.2倍、逮捕前の先週末に比べるとおよそ12倍に達しました。

香港メディアなどによりますと、創業者の逮捕が伝えられたあと、民主派の活動家らが投資家らに対してSNS上で株式の購入を呼びかけていて、こうした運動が株価の急騰につながったとみられます。