島での感染拡大防止へ「おがさわら丸」乗船客にPCR検査

島での感染拡大防止へ「おがさわら丸」乗船客にPCR検査
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東京からおよそ1000キロ離れた東京 小笠原村で新型コロナウイルスの感染が広がるのを防ごうと、定期船の客を対象にだ液を使ったPCR検査が11日から始まりました。
検査は、東京都や小笠原村、それに民間の検査会社などが、島への唯一の交通手段である「おがさわら丸」の乗船客を対象に、11日から試験的に始めました。

小笠原村には、父島と母島に診療所がそれぞれ1つしかなく、新型コロナウイルスの患者を診る医療体制が整っていないため、検査によってウイルスの持ち込みを水際で防ぐのがねらいです。

検査はだ液を使って行われることになっていて、東京 港区の竹芝客船ターミナルでは、検査キットを受け取った客が自分でだ液を採取して提出していました。

検査の結果は出航後、島に着くまでの24時間以内に出て、仮に陽性だった場合、到着するまでは船内で隔離され、到着後は自衛隊の航空機で本土に移送されるほか、保健所が濃厚接触者と判断した人は島の施設に数日間とどまって健康観察を行うということです。

都や村などでは、検査の手順などを検証し、ほかの島での水際対策に活用できるかどうか検討したいとしています。

観光で訪れる60代の女性は「島の医療にも限界があると思うので、検査結果が分かったほうが、自分も島の人たちも安心できると思います」と話していました。

定員も半分に制限

「おがさわら丸」は、毎年、夏の観光シーズンになると、およそ900人の定員が予約でいっぱいになりますが、現在は、船内で客どうしの間隔を空けるため半分の450人程度まで制限しています。

特に、複数の人が滞在するタイプの広間は通常の3割程度の利用にとどめ、多くの人が密集しない対策をとっているということです。

また、11日から始まったPCR検査に加え、乗船前に検温を行っているほか、事前にメールアドレスを登録してもらい船内で感染が確認された場合に発生情報を知らせる取り組みを行っています。

このほか、船内ではレストランの座席を少なくしたり、消毒液を設置したりして感染防止対策に努めているということです。