島根県 高校サッカー部でクラスター 消毒とPCR検査進める

島根県 高校サッカー部でクラスター 消毒とPCR検査進める
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松江市にある私立高校のサッカー部の部員など91人が新型コロナウイルスに感染していたことが、9日確認されたことを受けて、松江市はサッカー部が利用していた市の競技場を消毒するとともに、高校の全校生徒などを対象にPCR検査を順次行って感染拡大を防ぐ対策を進めています。
松江市にある立正大淞南高校のサッカー部では9日、学生寮で生活する男子部員を中心に教員などを含む91人が新型コロナウイルスに感染していることが確認され、感染者の集団、クラスターが発生したと発表されました。

サッカー部は、今月7日に松江市の競技場を利用して練習していたということで、松江市は、10日朝、競技場を消毒するとともに、10日、1日立ち入りを禁止しました。

松江市は、すでに検査をしたサッカー部の部員以外の全校生徒と教職員などおよそ200人を対象にPCR検査を順次行っていて、感染の拡大を防ぐ対策を進めています。

高校によりますと、サッカー部は先月23日から25日に大阪府、今月3日と4日に鳥取県、今月4日から7日に香川県にチームごとに遠征し、複数の高校が集まって練習試合を行っていました。

先月下旬にはサッカー部に入部を希望する全国の中学3年生を集めて来年度の新入部員を選ぶ「セレクション」を松江市の競技場で4日間にわたり開いていたということです。

松江市は感染経路の特定についても引き続き調査を進めています。

サッカー部員 大半が寮生活

立正大淞南高校によりますと、サッカー部員138人のうち、大半はサッカー部専用の寮で生活しています。

寮では部員2人が広さ8畳の部屋で一緒に暮らしています。食事は食堂に部員が集まって取り、入浴は寮にある大浴場を利用していました。

新型コロナウイルスの感染対策として手洗いやうがい、それに換気を徹底したうえで、食事の際は部員全員が一度に集まるのを避けるため部員ごとに時間を分けて食事を取っていたほか、テーブルに向かい合って座らないようにすることを徹底していたということです。

一方、市のこれまでの調査で、8日、最初に感染が確認された部員は今月5日に38度台の発熱が確認され、翌6日には別の部員19人も症状を訴えたことがわかっていますが、高校は症状が出た部員と一緒の部屋で生活する部員を寮内で空室となっている別の部屋に移し、感染を広げないための対策をとっていたということです。

高校はホームページ上にコメントを載せ「県民や市民の皆様、なにより大切な生徒諸君と保護者の皆様に多大なるご心配ご迷惑をおかけし、心より深くおわび申し上げます。感染拡大防止と感染者の一日でも早い回復のために全力で取り組んでまいります」としています。

島根県 丸山知事「検証と改善をしていかねば」

島根県の丸山知事は10日の会見で、高校でクラスターが発生したことについて、「学校、しかも寮で、大規模感染があったことは重く受け止めねばならない。今回のケースについては、症状が出た生徒が今月6日に19人いたことが分かっているが、背景にもし、若干の発熱があっても、監督などに言いにくい雰囲気があったのであれば、よくない。検証と改善をしていかねばならない」と述べました。

専門家「新型コロナ感染の特徴表れた事例」

松江市内の高校で大規模なクラスターが発生したことについて、感染症対策に詳しい東北医科薬科大学の賀来満夫特任教授は、「今回の事例はまさに新型コロナウイルスの特徴を表していると考えられる。『3密』の状態になるのは、家庭や職場、飲食店などでも同じで、『3密』をいかに避けることができるかが感染対策のポイントだが、完全に避けることは難しい。そのような空間で過ごす際には手洗いやマスクの着用、換気の徹底、それに食事の際に一堂に集まらないような工夫などの対策が重要だ」と指摘しました。

そのうえで「身近なところで感染者が出た場合には、濃厚接触者、あるいは接触したと思われる人をしっかり検査することで、次の感染を早く見つけ出すなど感染の広がりを防ぐことが可能になる。新型コロナウイルスは人口密度の高い大都市での感染が多いが、今回のようなクラスターはどこでも誰にも起こりうる。感染した人を責めるのではなく感染した人たちもしていない人たちも互いに守り合うことが大切だ」と話しています。

香川県の4校と試合や練習

香川県によりますと、松江市が9日クラスター=感染者の集団の発生を確認した立正大淞南高校サッカー部は、今月2日から7日にかけて、香川県の坂出商業高校、高松商業高校、高松東高校、志度高校の4校のサッカー部と松江市のほか、香川県のさぬき市や高松市で交流試合や合同練習をしていたということです。

香川県内の参加者のうち、少なくとも2人が発熱などの症状を訴えていて、香川県は参加した部員や教員など合わせて155人に当面、自宅で待機してもらい、順次、PCR検査を進めることにしています。

また、9日感染が確認された20代の男子学生は今月8日に岡山県から高松市の実家に帰省していたということです。

先月20日までの4日間は友人2人と共に大阪へ旅行し、複数の飲食店を訪れたあと、先月22日以降発熱や嗅覚の異常といった症状があったということです。

香川県の浜田知事は「2週間以内に症状があったり3密になるような食事などをした場合は帰省の時期をずらすことも考えてほしい」と呼びかけています。