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地銀 コロナ禍の中小企業支援で新たな融資枠組みも

新型コロナウイルスの影響で売り上げが落ち込み、財務基盤が悪化する懸念のある中小企業が増えています。地方銀行の間では、こうした企業に対しても新たな融資の枠組みを通じて、資金繰りを支えようという動きが広がっています。
このうち、横浜銀行が用意したのは、「劣後ローン」と呼ばれる融資です。金利は年1%程度と、通常よりも高く設定されていますが、最長15年にわたって元本を返済する必要がなく、企業にとっては財務基盤の改善にもつながるのが特徴です。

新型コロナウイルスの影響で売り上げが落ち込んでいる横浜市の自動車部品メーカーも、劣後ローンで2億円を調達しました。
「フォルム」の問谷正利社長は、「元本の返済までは金利だけ払えばよいので負担は小さい。財務基盤も安定する」と話していました。

横浜銀行によりますと、すでに10社程度がこの融資を申し込んでいるということで、萬代昭彦執行役員は、「従来の融資では足りないという取引先もある。一歩進んだ支援を、企業の立場に立って行いたい」と話していました。

このほか、岐阜県の十六銀行や山口県の山口銀行なども同様の取り組みを進めていて、地方銀行の間で、実質無利子・無担保融資に加え、新たな融資の枠組みも整えることで、資金繰りを支えようという動きが広がっています。

「劣後ローン」借り入れた企業は

横浜市港北区の中小企業、「フォルム」は、創業70年の自動車部品メーカーで、従業員はおよそ300人です。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けた需要の冷え込みで受注が大幅に減少し、ことし6月期の決算は最終損益が赤字になりました。

このため、会社は、決算の期末に合わせて、横浜銀行から劣後ローンで2億円を借り入れました。元本を短期間で返済する必要がないため、問谷正利社長は、業績の回復に専念できると言います。

また、劣後ローンは財務基盤の改善にもつながるため、会社の信用力を高める効果も期待しているということです。

問谷社長は、「4月と5月は売り上げが前の年の半分に減った。来月(9月)以降も計画に比べて3割程度減ると見ている。将来の見通しが立たない中で、今回の融資は大変助かる」と話しています。

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