政府分科会 感染状況判断する「指標と具体的な数値」を示す

政府分科会 感染状況判断する「指標と具体的な数値」を示す
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新型コロナウイルス対策を検討する政府の分科会は、これまでに感染状況について、感染が散発的に起きている段階から、爆発的に拡大している段階まで、4つのステージに分ける考え方を示していて、7日、開かれた会合では、どのステージにあるか、判断するための指標を具体的な数値とともに示しました。
それによりますと、ステージを判断する指標として、
▽「病床のひっ迫具合」
▽「療養者数」
▽「PCR検査の陽性率」
▽「新規感染者数」
▽「直近1週間と前の週の感染者数の比較」
▽「感染経路が不明な人の割合」の6つの項目を挙げています。

現在は、多くの地域で感染が漸増、だんだん増えている「ステージ2」にあるとされていますが、分科会は、感染が急増している「ステージ3」に入ったと判断するための指標の数値を示しています。

具体的に、
▽「病床のひっ迫具合」は、患者向けの全体の病床数か、重症者用の病床数について最大確保できる5分の1以上が埋まっているかその時点で確保している4分の1以上が埋まっていること
▽「入院患者と宿泊施設や自宅で療養している人の数」が10万人当たり15人以上
▽「PCR検査の陽性率」が10%
▽「新規感染者数」は1週間で10万人当たり15人以上
▽直近1週間の感染者数が前の週よりも多いこと
▽「感染経路が不明な人の割合」が50%としています。

さらに、感染が爆発的に拡大している「ステージ4」に入ったと判断するための指標の数値として
▽「病床のひっ迫具合」は、全体の患者向けの病床数か、重症者用の病床数について、最大確保できる半分以上以上が埋まっていること
▽「入院患者と宿泊施設や自宅で療養している人の数」が10万人当たり25人以上
▽「PCR検査の陽性率」が10%
▽「新規感染者数」は1週間で10万人当たり25人以上
▽直近1週間の感染者数がその前の週よりも多いこと
▽「感染経路が不明な人の割合」が50%としています。

また、大都市圏については、これ以外にも
▽受け入れ先が見つけにくいなど救急搬送が困難だった件数や
▽発症から診断までに掛かった日数なども参考に確認するとしています。

さらに、病床のひっ迫具合に関する指標については、示した数値に満たない段階でも早めの対策を行うことが望ましいとしています。

分科会の尾身茂会長は「指標の数値は目安で機械的に判断するためのものではないことを強調したい。爆発的な感染拡大に至らず、今の段階のステージ2か、悪くてもステージ3で止められるよう、国や都道府県は早めに総合的に判断して対策をとってもらいたい」と話しています。

尾身会長「地域の実情に合わせ柔軟な対応を」

分科会の後の記者会見で尾身茂会長は「感染症対策においては、各都道府県の知事の責任と役割が大きい。今回、具体的な指標を示したが地域によって異なる実情に合わせて柔軟に対応してもらいたい」と述べました。

また、具体的な数値について「今回示したどの指標も感染状況全体のごく一部を見ているにすぎない。複雑に絡み合う状況を総合的に見ることが感染状況の把握に近づく道で、数値がひとり歩きしないようにしてもらいたい」と訴えました。

西村経済再生相「先手先手の対応必要」

西村経済再生担当大臣は、記者会見で、「医療提供体制の確保が何よりも大事だ。指標はあくまでも目安であり、機械的に作業するのではなく、総合的に判断して、機動的、積極的に、先手先手で対応していく必要がある。国としても、数値を見ながら、各都道府県とこれまで以上に緊密に連携をとっていく」と述べました。

鳥取県 平井知事「法的措置や財政的裏付け必要」

分科会のメンバーの鳥取県の平井知事は、記者会見で、現在の感染状況について「3月や4月に比べ、数字的にも広がりという意味でも、実は大きいのではないかというのが現場を預かる者の感覚だ」と述べ、危機感を持って対応する必要があるという認識を示しました。

そのうえで「徒手空拳では戦えない。休業要請や、入院への協力を得ることなど、いろいろやらなければならないことはあるが、残念ながら実効性は確保できない。法的措置や制度的な保証、それに財政的な裏付けが必要で、政府は現場が追い込まれていることに留意し、迅速に対応してほしい」と述べました。