米 ツイッター社 トランプ大統領陣営の投稿に閲覧制限

米 ツイッター社 トランプ大統領陣営の投稿に閲覧制限
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アメリカのツイッター社は5日、トランプ大統領の選挙対策本部が投稿した、新型コロナウイルスに関する動画に誤った情報が含まれているなどとして閲覧できなくする措置をとりました。
ツイッター社が閲覧できなくしたのは、トランプ大統領がアメリカメディアのインタビューに応じた際の動画で、複数のメディアは、大統領が、子どもたちには新型コロナウイルスに対する実質的な免疫があると述べたと伝えています。

措置をとった理由について、ツイッター社は、新型コロナウイルスに関する誤った情報が広がることを防ぐための会社の規定に反したためだとしています。

また、アカウントの管理者が問題の投稿を削除するまで、新たなツイートを認めないことを決めました。

トランプ大統領の選挙対策本部のアカウントには、現在は新たなツイートが表示されていて、問題となった動画を管理者が削除したものとみられます。

一方、フェイスブックも5日、「誤った主張が含まれている」として、同じ動画を削除したことを明らかにしました。

新型コロナウイルスの感染拡大によってアメリカ各地で外出制限が続く中、トランプ大統領にとってソーシャルメディアは、11月の大統領選挙に向け有権者に主張を直接届けるための重要な手段となっていて、大統領が今回の両社の対応に強く反発することも予想されます。

内容誤り 誤解招く投稿 約3700件

トランプ大統領のツイッター上の投稿をめぐってはこれまでも情報の正確性などに疑問を呈されるケースが相次いでいました。

トランプ大統領の投稿を検証している、有力紙「ワシントン・ポスト」のホームページによりますと、大統領に就任してから先月9日までの3年半の間に、内容に誤りがあったり誤解を招いたりする投稿は、およそ3700件に上るということです。

このうち、大統領に就任した直後の2017年3月には、「オバマ前大統領が選挙期間中、私の電話を盗聴していた」と、具体的な証拠を示さず非難して、オバマ氏の報道担当者から「主張は間違っている」と批判されました。

また、おととし6月には、難民の受け入れ政策をめぐって、ドイツ政府内で対立が激しくなっていたことについて、「移民がドイツの政権を揺さぶっている。ドイツでは犯罪が増えている」と書き込みましたが、当時、ドイツの犯罪統計では、犯罪の件数が過去25年で最も少なくなっていました。

このほかにも、新型コロナウイルスをめぐっても先月、「ウイルスには治療法がある」などと主張する投稿をリツイートしたところ、ツイッター社から「投稿には誤りが含まれており、投稿に関する会社の規約に反している」として、リツイート元の投稿が削除されました。

トランプ大統領のSNS投稿 各社対応

トランプ大統領によるSNSへの投稿をめぐって、ツイッター社とフェイスブックで対応が分かれていました。

このうちツイッター社は、内容に問題がある場合には指摘する必要があるとする立場をとってきました。

ことし11月の大統領選挙で、西部カリフォルニア州が郵送での投票を認めたことについて、トランプ大統領は5月、ツイッターに「郵送で投票を行えば郵便ポストは奪い去られ、投票用紙は偽造される」などと批判的な投稿をしました。

これに対して、ツイッター社は投稿に誤解を招きかねない内容が含まれているとして、利用者に注意を呼びかける青色のラベルを表示しました。

また、中西部ミネソタ州で、黒人男性が白人の警察官に押さえつけられて死亡し、抗議デモが広がったことについてトランプ大統領は5月、ツイッターに「略奪が始まれば銃撃を始める」などと投稿しました。

これに対してツイッター社は、暴力をたたえる内容が含まれているとして、投稿の内容が自動的には表示されない措置をとりました。

一方、フェイスブックのザッカーバーグCEOは「政治的な発言は民主主義において最も慎重に扱うべきもののひとつだ」として、政治家の投稿のファクトチェックに消極的な姿勢を示していて、こうしたトランプ大統領の投稿についても制限していませんでした。

しかし、人種差別への抗議デモに対する暴力的な投稿を制限しなかったことで、フェイスブック社内からも強い批判の声があがり、現在は、誤った内容などが含まれる投稿は削除するといった対応をとっています。

大統領選 多額のSNS広告費

アメリカの大統領選挙で、SNS戦略はいまや勝敗を左右すると言っても過言ではないほど重要なものとなっています。

アメリカの調査機関ピュー・リサーチセンターが去年行った調査によりますと、アメリカの成人の18%、およそ5人に1人が政治に関わるニュースを「ソーシャルメディアから得る」と回答しています。

今回の大統領選挙でも、トランプ大統領と民主党のバイデン前副大統領の陣営はともに、支持を得るためSNSの広告費用に多くの資金を投入しています。

このうちフェイスブックに支払った広告費が公開されている「アドライブラリー」によりますと、ことし1月から今月3日までに
▽トランプ大統領はおよそ3500万ドル、
▽バイデン氏はおよそ2600万ドルと、巨額の資金を投入しています。

アメリカ現代政治が専門の上智大学の前嶋和弘教授によりますと、アメリカでは選挙資金が誰からの献金かを明らかにする決まりはあるものの、日本のようにインターネットを使った選挙運動に関する法規制はほとんどないということです。

ただ、トランプ氏が当選した前回2016年の大統領選挙ではロシアがソーシャルメディアを通じて選挙に干渉したとされ、SNS各社が責任を持って投稿の内容をチェックするべきだという世論が高まりました。

こうした声を受けてSNS各社は、外国からの組織的な干渉の疑いがあるアカウントを閉鎖したり、本物と見分けがつきにくい「ディープフェイク」と呼ばれる偽の映像を削除する方針を打ち出すなど、対策の強化に乗り出しています。