原爆投下から75年 きょう広島で「原爆の日」追悼の祈りに

原爆投下から75年 きょう広島で「原爆の日」追悼の祈りに
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広島は、原爆が投下されて75年となる「原爆の日」を迎えました。新型コロナウイルスの影響で、例年どおりの追悼が難しい状況となるなか、被爆地・広島の街は6日一日、犠牲者を追悼する祈りに包まれるとともに、核兵器のない世界の実現に向けた訴えを、国内外に発信することにしています。
広島市の平和公園には夜明け前から被爆者や遺族などが訪れ、追悼の祈りをささげています。

孫と一緒に原爆慰霊碑を訪れた91歳の被爆者の女性は、「結婚して70年ほど、毎年、原爆で両親と弟を亡くした夫と慰霊に訪れていましたが、ことし5月に夫が亡くなりきょうは写真を持ってきました。被爆したときはひどい爆風で吹き飛ばされるようでした。戦争は悲惨で二度とあってはいけない」と話していました。

また、原爆ドームを訪れた被爆3世の44歳の男性は「祖母からも原爆の話は聞きましたし、自分が介護の仕事をしていて日頃から原爆の悲惨さの話を聞いています。75年がたって、若い世代の中にはあの日、この場所で何が起きたのか知らない人もたくさんいるので、戦争を知らない世代には広島を訪れて、平和の尊さをかみしめてほしい」と話していました。

原爆が投下されて75年の節目となる6日、広島市では午前8時から平和記念式典が開かれ、被爆者や遺族の代表をはじめ、安倍総理大臣のほか、およそ80の国の代表などが参列します。ただ、ことしの式典は、新型コロナウイルスの感染を防ぐため会場の平和公園への入場が規制され、一般の参列者席をなくすため、参列者は例年の1割に満たないおよそ800人の見通しです。

式典ではこの1年に亡くなった人や新たに死亡が確認された人、あわせて4943人の名前が書き加えられた32万4129人の原爆死没者名簿が原爆慰霊碑に納められます。そして原爆が投下された午前8時15分に参列者全員で黙とうをささげます。

世界の核軍縮を巡っては、核保有国が核兵器の近代化を進め、非核保有国との対立が深まるなど、核兵器廃絶に向けた動向が不透明となるなか、3年前、国連で採択された核兵器禁止条約は、現在の批准国が40か国で、発効に必要な50か国に達していません。

広島市の松井一実市長は6日の平和宣言のなかで、日本政府に対し核兵器禁止条約への署名と批准を求める被爆者の思いを誠実に受け止めて条約に参加するよう求めることにしています。また、新型コロナウイルスについても触れ、市民社会が連帯して立ち向かうことを促すなど、「連帯」ということばを使って核兵器廃絶や世界の恒久平和の実現などを求めることにしています。

被爆者の平均年齢はことし、83歳を超え、被爆者団体の解散が相次いでいて、原爆の悲惨さをどう語り継いでいくのかが課題となっています。

一方、ことし、NHKが行ったアンケート調査では、アメリカの若い世代のおよそ7割が、「核兵器は必要ない」と答え、被爆者から今後の認識の変化に期待する声も出ています。

被爆地・広島は、6日一日、犠牲者を追悼する祈りに包まれるとともに、「核抑止力による平和」ではなく「核兵器のない平和な世界」の実現を願う被爆者の声に向き合い、その訴えを国内外に発信することにしています。