東京都 新型コロナの感染状況を詳しく 陽性率は?感染経路は?

東京都 新型コロナの感染状況を詳しく 陽性率は?感染経路は?
新型コロナウイルスは先月、全国で一気に感染が広がりました。中でも、全国で最も感染確認が多い東京都の状況を見てみると、緊急事態宣言が出された4月と比べて特に状況が変化しています。

新規陽性者数

新型コロナウイルスの「新規陽性者数」を月別で見ると
▽これまで最も多かった、4月の3748人に対し
▽7月は6466人となり、およそ1.7倍に増加しました。

1日当たりの平均人数にすると、
▽4月が124.9人なのに対し
▽7月は200人を超えて208.6人となっています。

一方、感染経路がわからない人を比較すると、今月3日の時点で
▽4月は「新規陽性者数」の64.8%にあたる2427人
▽7月は52.8%にあたる3415人となり
全体に占める割合は下がったものの、人数は1.4倍増えました。

1日当たりの平均人数で、4月が80.9人なのに対し、7月は、100人を超えて110.2人となっています。

さらに、7月はその日までの1週間の平均人数をその前の週の平均と比べると、すべての日で前の週を上回り、感染経路がわからない人の増加傾向が続いていることがわかります。

感染確認増加の理由

都は新たな感染の確認が増えた理由の1つに、検査数の増加をあげています。

月別に比較すると1日当たりの平均で
▽4月は1007件
▽5月は1150件
▽6月は1802件だったのに対し
▽7月は4166件で
毎月、検査数が増えていき、7月は6月のおよそ2.3倍でした。

医療機関で検査が受けられる専用外来が増えたことや、都が検査機器の導入を支援していることなど加えて、夜の繁華街で働く人たちに検査を受けるよう呼びかけが行われたのが主な要因で、7月中旬以降は、1日に5000件や6000件を超える日も出てきています。

都は、できるだけ早く陽性者を見つけることで治療や療養を促し、患者の重症化を防ぐとともに感染拡大の防止も図りたい考えです。

今後は、大学などの研究機関の活用などで1日に最大1万件の処理能力の確保を目指すとしていて、積極的な検査の実施によって感染の確認は今後も一定程度、増えるとみられています。

陽性率は上昇傾向

東京都内で日々の新たな感染の確認が増える一方で、都の幹部や専門家が注目しているのは検査を受けた人のうち陽性になる人の割合である「陽性率」です。

東京都は、その日までの1週間に陽性と判明した人の平均を、その日までの1週間に検査した人の平均で割った数字を「陽性率」として公表しています。

検査件数が今より大幅に少なかった4月は半数以上の日で20%から30%台でした。その後、新たな感染の確認が大幅に減った5月中旬以降の1か月余りは、検査数が増える中でも1%前後から2%台が続き、緊急事態宣言が解除された5月25日は1.0%でした。

ところが、6月中旬から上昇をはじめ、6月25日に3%ちょうどに達しました。

7月に入っても上昇傾向は変わらず、
▽7月2日には4%
▽7日には5%
▽11日に6%をそれぞれ超えて
▽31日には6.6%まで上昇しました。

都は、陽性率が上昇していることについて「検査体制の拡充で、濃厚接触者とされていない人や、症状が出ていない人などを幅広く検査して感染が確認されていることも要因だ」としています。

その一方で「陽性率が上昇するということは、感染拡大を抑えられていないことも示していて警戒が必要だ」としています。

入院患者急増

医療提供体制に直接的な影響を与える「入院患者」は、感染が確認される人の増減に合わせて変動しています。

都が入院患者の正確な人数を把握、公表するようになった5月12日以降は、12日の1413人をピークに1か月余りは減少傾向が続き、6月20日は最も少ない204人まで減っていました。

しかし、その後、入院患者は増加傾向となり、感染が広がった7月に入ると急激に増えていきます。7月11には500人を超えて529人、7月24日には1000人を超えて1040人となりました。

そして、7月31日には、1197人にのぼり、7月1日の280人と比べるとおよそ4.3倍に増加しました。

都は、増加する入院患者に対応するため、都内ですでに2400床を確保していて、さらに増やしていくとしています。

都の専門家からは「受け入れの体制を整えることは大変な作業だ。医療現場は本当にひっ迫し、疲弊している」という指摘が出ていて、入院患者が増え続けることへの危機感が高まっています。

重症患者が増加

東京都の幹部や専門家が医療提供体制の状況を分析するうえで、特に注目しているのが「重症患者」の数です。

人工呼吸器や集中治療室で対応する重症の患者が増えると、新型コロナウイルスだけでなく、ほかの病気の患者にも適切な医療を提供できなくなるおそれが高まるからです。

都は重症患者の数をことし4月27日から公表していて、最も多くなったのは4月28日と29日の105人でした。

その後は減少傾向が続き、7月2日には10人を下回って9人に、7月10日には、これまでで最も少ない5人となりました。

ただ、その後は再び増加に転じ、7月17日に10人を超え、7月30日には22人でしたが翌31日には16人でした。

4月や5月に比べるとまだ低い水準ですが、都の専門家は、重症患者の増加は、「新規陽性者数」の増加からしばらく遅れて生じると指摘しています。

都は、重症患者を受け入れる病床をこれまでに100床確保していて、今後の状況によっては、体制の強化を検討する考えです。

感染経路と年代に広がり

7月は、新たに感染が確認された人の感染経路や年代に広がりが見られています。

このうち、夜の繁華街での接待を伴う飲食店の従業員や客は、7月の1か月間で1225人と、全体の18.9%を占めています。

新宿区や豊島区が積極的に検査を呼びかけるなど、都と連携した対策に力を入れていて、7月10日には、接待を伴う飲食店の関係者だけで110人の感染が確認され、全体の割合も45.3%にのぼりました。

ただ、中旬から下旬にかけて全体に占める割合は徐々に低くなっていて、10%を下回る日も出ています。

これに対し、ふだん身近に接する人からの感染は増加傾向にあります。

7月の1か月では、
▽家庭内での感染が582人
▽職場内での感染が379人
▽会食での感染が349人
▽学校や医療機関などの施設内での感染が258人でした。

それぞれ1日当たりの平均では、
▽家庭内が18.8人
▽職場内が12.2人
▽会食が11.3人
▽施設内が8.3人です。

一方、感染が確認された人の年代別では、20代、30代の若い世代が中心となっているものの、中高年にも感染が広がっています。

7月の「新規陽性者数」は、6月と比較して、
▽50代が7.1倍の487人
▽60代が5.7倍の247人
▽70代が4.3倍の163人
▽80代以上が4.1倍の118人に、それぞれ増えています。

死者60代以上9割超

都内では、7月末までに新型コロナウイルスの感染が確認され亡くなった人が333人にのぼっています。

死亡した日を月別で見ると、
▽2月が1人
▽3月が17人
▽4月が181人
▽5月が107人で、およそ93%にあたる306人は、5月末までに亡くなっています。

このなかには、クラスターが発生した複数の医療機関の入院患者のほか、コメディアンの志村けんさんや俳優の岡江久美子さんも含まれています。

その後、
▽6月は21人
▽7月は6人と減少しています。

亡くなった人の年代別では、
▽20代が1人
▽30代が1人
▽40代が5人
▽50代が18人
▽60代が32人
▽70代が95人
▽80代が115人
▽90代が63人
▽100歳以上が3人です。

10歳未満と10代は確認されていません。

60代以上だと全体のおよそ93%、70代以上だとおよそ83%で高齢の人の割合が高くなっています。