レバノン ベイルートで大規模爆発 73人死亡 3700人けが

レバノン ベイルートで大規模爆発 73人死亡 3700人けが
中東・レバノンの首都ベイルートで4日、大規模な爆発があり、これまでに73人が死亡し、日本人1人を含む3700人がけがをしました。レバノン政府は、爆発があった倉庫には爆薬の原料にもなる硝酸アンモニウムがおよそ2750トン保管されていたことを明らかにし原因の究明を進めることにしています。
レバノンの首都ベイルートにある港で4日、大規模な爆発があり、町の広い範囲で建物や車が壊れるなどの大きな被害が出ました。

現地のメディアはレバノンの公衆衛生相の話としてこれまでに73人が死亡し、3700人がけがをしたと伝えています。

現地の日本大使館によりますと、ベイルート在住の日本人1人が割れたガラスで手足を切り、病院で手当てを受けましたが、けがの程度は軽いということです。
レバノン政府はテレビを通じて発表を行い、爆発があった倉庫には、爆薬の原料にもなる硝酸アンモニウムおよそ2750トンが2014年から保管されていたことを明らかにしました。

ただ、なぜ爆発が起きたのかはわかっておらず、今後、調査委員会を立ち上げて原因や責任の所在を調べたうえで、48時間以内に結果を公表するとしています。

硝酸アンモニウムとは

硝酸アンモニウムは、工業用に製造されている化学物質で常温では結晶の状態です。農業では化学肥料として広く使われていて、日本でも大手化学メーカーなどが製造しています。

その一方、可燃物と混合させると強い爆発力を生み出すことから火薬の原料として、ロケットの推進剤や自動車のエアバッグを膨らませる材料として一部で用いられてきました。

ただ、適切に保管されないと大きな爆発事故につながることから日本では、消防法で「危険物」として規制の対象となっています。

警察庁も、テロ防止の観点から、硝酸アンモニウムを含む商品を取り扱うドラッグストアなどの事業者に対し、販売する際、購入する人の氏名や住所、購入の目的について確認するよう求めています。
これに先立ちディアブ首相は演説で、国民に対して団結を呼びかけたうえで、友好国などに支援を求めました。

レバノンは、長引く経済危機で政府の資金繰りが悪化し、反政府感情が高まっていて、今回の被害の社会への影響が懸念されます。
現地からの映像では港から数キロ離れたベイルート中心部でも建物の窓が割れ、道路上にガラスが散乱している様子が確認できます。

ベイルートに住むアリ・ガーデルさんは、NHKの取材に対し、「人生で初めて、こんな状況を目撃した。被害は甚大で、けがをした人たちが血を流しながら道路を走っていて、恐ろしい光景だった」と話しています。

爆発現場近くにゴーン容疑者住宅も

今回爆発が起きた港は、レバノンの首都ベイルートの中心地に位置し、近くには高級ホテルやショッピングモールなどが建ち並んでいます。

現場からおよそ2キロ離れた地区は官庁街でレバノン首相府や日本大使館などがあります。

また、およそ1キロ余り離れたところには、日産自動車の元会長カルロス・ゴーン容疑者が逃亡直後、住んでいたとされる住宅があります。

現地 和食店経営者「爆弾落ちたような衝撃」

爆発があった地点から南に800メートルほどの地区で和食店などを経営するオーナーシェフ、荒井弥輝さん(47)は、NHKの取材に対し「ランチ営業のあとの休憩時間で店近くの自宅にいたが、爆弾が落ちたような衝撃だった。爆風でガラスが割れて従業員4人が切り傷を負った」と話していました。

荒井さんが経営する店舗の店内を撮影した写真からは床にガラスや食器が散乱し、建物の外の壁が壊れているのがわかります。

荒井さんは「現地はがれきの山になっていて、車で逃げようとする人たちで道路は渋滞して、救急車もなかなか進めない状況だった」と周辺の様子を話していました。

荒井さんによりますと、レバノンでは新型コロナウイルスの影響で外出制限が続いていましたが、4日と5日の2日間は、店の営業が認められていて、多くの人が飲食をしていたということです。

荒井さんは「電気も止まり、店の再開はすぐにはできない。新型コロナウイルスの感染拡大以前からレバノンの経済状況は悪く保険金も出るか分からない。これから身の振り方を考えていきたい」と話していました。

外務省「安全確保を」

外務省は、大規模な爆発が起きた中東・レバノンの首都ベイルートに滞在している人などを対象に「スポット情報」を出し、現地の日本大使館やレバノン政府からの最新情報に注意し、爆発が起きた現場付近に近づかないなど安全を確保するよう呼びかけています。

菅官房長官「在留邦人1人が軽傷」

菅官房長官は、午前の記者会見で「政府として、お亡くなりになられた方々とご家族に心から哀悼の意を表すとともに、負傷者の方々にお見舞いを申し上げる。現時点までに、在留邦人1人が軽傷を負ったことが確認されているが、人定については本人や家族の同意が得られておらず差し控えたい。そのほかの邦人に被害があったという情報には接していない。レバノン政府当局が対応しており、引き続き、情報収集に努める」と述べました。

カタール「緊急支援行う準備ある」

中東の産油国、カタールのタミム首長はレバノンでの爆発に関連してアウン大統領と電話で会談したことを4日、ツイッターで明らかにし「緊急支援を行う準備がある」と伝えたということです。

カタールは、テロ組織を支援していると主張するサウジアラビアやUAE=アラブ首長国連邦、それにエジプトなどと3年余りにわたって断交し外交的に孤立していることから、レバノンへいち早く支援を申し出ることで存在感を示すねらいがあるものとみられます。

これに対しサウジアラビアやUAEはレバノンの現政権と一定の距離を置いています。