東京都 新型コロナ感染者の情報管理システム 運用開始

東京都 新型コロナ感染者の情報管理システム 運用開始
k10012548681_202008031835_202008031847.mp4
東京都は、厚生労働省が導入している新型コロナウイルスに感染した人の情報を一元的に管理するシステムの運用を、3日から始めました。
このシステムは、感染した人の情報を一元的に管理する「HER-SYS」と呼ばれるものです。

厚生労働省が保健所の負担を減らすために、ことし5月から導入していて、都は3日から、このシステムの運用をはじめました。

システムでは、患者の基本情報のほか、症状や感染した場所や経路、それに、入院中かどうかや、日々の健康状態などを医療機関や保健所が入力し、都や国などで共有することができます。

また、患者本人が健康状態をスマートフォンなどから入力することができるため、保健所が患者に電話をして聞き取る手間を省くことができます。

これまで都は、感染した人の情報について、医療機関が作成する「発生届」を保健所経由でファックスなどでやり取りしていました。

このため都によりますと、報告漏れや重複して計上するミスが相次ぎ、これまでに2回、123人分を訂正していて、都はシステムを導入すればミスを防ぐことにつながるとしています。

運用開始も負担増加の懸念

東京都によりますと、現在、医療機関が作成している「発生届」は入力する項目がおよそ20だったのに対して「HER-SYS」は279項目あります。

厚生労働省は、279項目すべてを入力するよう求めていないとしていますが、都はそもそも、都内では感染の確認が全国の中でも圧倒的に多く、入力の対象となる人が桁違いであるうえ、項目が多いと入力するかどうか判断するために、医療機関や保健所の手間がかかるのではないかと懸念しています。

厚生労働省は、「項目が多いという意見は届いている。『必須』と示している項目以外はそれぞれの自治体の判断で任意で入力してもらってかまわない。その点は、より分かりやすく伝えていかなければならない」としています。

また、このシステムは、医療機関や保健所などのすべての機関が利用して情報の共有を図りますが、都は都内に31ある保健所から導入を進めています。

都は、医療機関でいきなり導入すると使い方をめぐって保健所に問い合わせが殺到し、本来の目的である保健所の負担軽減につながらず、逆に負担が増えるのではないかと懸念しているからです。

都は、保健所で習熟度を高めたあと、できるだけ早く医療機関に導入したいとしています。

都の担当者は、「ファックスでのやり取りよりは、データが管理できるのでミスが起きづらくなると考えられる。ただ、感染者が全国で最も多い東京都で、本当に負担軽減につながるか運用しながら課題を見つけていきたい」と話しています。