6月の有効求人倍率1.11倍 コロナで失業し職探しの動き

6月の有効求人倍率1.11倍 コロナで失業し職探しの動き
仕事を求めている人1人に対して企業から何人の求人があるかを示す有効求人倍率は、6月は1.11倍で、前の月を0.09ポイント下回りました。厚生労働省は「緊急事態宣言が明けて、ウイルスの影響で職を失った人などの仕事探しの動きが出始めている」と分析しています。
厚生労働省によりますと、6月の有効求人倍率は、季節による変動要因を除いて1.11倍となり、前の月から0.09ポイント低下し、6か月連続で前の月を下回りました。

6月は緊急事態宣言が全国で解除され、経済活動が本格的に再開されましたが、企業からの新規の求人は6か月連続で前の年の同じ月より減って、18.3%の減少となりました。

産業別で見ますと、生活関連サービス業・娯楽業や製造業、宿泊業・飲食サービス業で減少幅が大きくなっています。

一方、新規で仕事を求める人は6か月ぶりに前の年の同じ月より増えて、16.5%増加しました。

都道府県別にみますと、最も高かったのは福井県で1.53倍、次いで、岡山県が1.5倍、広島県が1.43倍などとなっています。
一方、最も低かったのは沖縄県で0.68倍、次いで、滋賀県が0.83倍、神奈川県が0.85倍などとなっていて、合わせて11の道と県で1倍を切っています。

厚生労働省は「緊急事態宣言が明けて、ウイルスの影響で職を失った人などの仕事探しの動きが出始めている。新型コロナウイルスの影響に引き続き注視する必要がある」としています。

事業主の都合で離職せざるをえない人が急増

新たに仕事を探している人、新規求職者の数は、外出の自粛が要請されたことし4月と5月は去年の同じ月と比べて大幅に落ち込みましたが、6月は一転して増加しました。

このうち事業主の都合で離職した人は、9万8000人で、去年の同じ月を81.7%上回りました。

これはリーマンショック後の平成21年7月以来、10年11か月ぶりの大幅な増加となっています。

厚生労働省は「新型コロナウイルスの影響で事業主の都合で離職せざるをえない人が急増している。今後も経済の動向は不透明なため引き続き注視する必要がある」としています。

飲食店からは不安の声

東京都が飲み会や宴会を控えるよう呼びかける中、今後も営業を継続し、雇用を守ることができるのか、飲食店からは不安の声が上がっています。

東京 調布市にある創業65年の老舗そば店では5月の連休前後のおよそ1か月間、休業せざるを得ず、売り上げが大幅に減少しました。

休業の間はふだんは行わない店の大掃除をするなど仕事を作って従業員の雇用を守ってきました。

その後、店内の座席の配置を変えて換気をよくするなど感染対策をしたうえで、6月から営業を再開しましたが、再び感染が拡大する中、客足は期待どおりには戻らず、従業員と話し合った結果、10人のパートのうち5人が退職することになったということです。

東京都が飲み会や宴会を控えるよう呼びかける中、再び休業を求められれば雇用を維持していくことは難しいと考えています。

「そばごちそう門前」の浅田修平社長は「雇用を守る上で大事なのは営業を続けられるかどうかで、第2波が心配される状況で従業員を雇い続けることができるのか非常に不安を感じています」と話しています。