「日ごとの感染者数 一喜一憂せず 1週間平均で把握を」専門家

「日ごとの感染者数 一喜一憂せず 1週間平均で把握を」専門家
新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、各自治体が発表する感染者数が注目されていますが、専門家は大きく上下する日ごとの人数には一喜一憂せず、全体的な傾向を正確に把握できる指標として、直近1週間の平均の感染者数を参考にすべきだとしています。

日ごとの感染者数 東京では100人単位で上下も

新型コロナウイルスへの感染が確認された人は、今月23日に東京都で366人、29日は大阪府で221人、愛知県で167人とこれまでで最も多くなるなど、日ごとの感染者数が注目されています。

しかし、自治体が発表する感染者数は報告の遅れや検査の状況などの影響を受けて、東京などでは日によって100人単位で上下しています。

“1週間平均”で全体傾向 正確に把握を

このため、専門家はこうした日ごとのデータで一喜一憂せず、全体的な傾向を正確に把握するため、直近1週間の平均の感染者数を参考にすべきだと指摘しています。

たとえば、東京の場合、今月20日以降の10日間で、発表される感染者数が最も多かった23日と、その4日後の27日では235人の差がありましたが、直近1週間の平均の感染者数でみると、20日には219人、23日には254.3人、27日には252.3人と、日々発表される感染者数の増減に大きくは影響されず、全体として徐々に増える傾向が分かります。

また、全国でも、きのうまでのデータでは日によって発表される感染者数は最大でおよそ2.3倍、560人余りの差がありましたが、直近1週間の平均では、急激な増加傾向にはあるものの、最大でおよそ1.6倍、人数の差は310.9人でした。

本来、感染状況を正確に把握するためには、患者の発症した日ごとの人数を示したデータが必要ですが発症日を調べる調査などに時間がかかり、データがまとまるまでに1週間近くかかるため、専門家は、直近1週間の平均は代替の指標として有用だとしています。

「日ごとの数字に振り回されず 『3密』避けて生活を」

日本感染症学会の理事長で、東邦大学の舘田一博教授は「発表される感染者数は曜日によってどうしてもばらつきが出てしまうので、一喜一憂するのは危険だ。直近1週間の感染者数の平均を見ると、もう少しばらつきのない推移を評価できると思う。簡単な方法で速やかに評価することも大事だ」と話しています。

そのうえで、「東京や大阪などは依然として増加傾向で推移していて、感染がさらに広がらないか懸念している。今後も日ごとの数字に振り回されることなく、なるべく人混みを避けたり『3つの密』を避けるなど、十分に注意して生活してほしい」と注意を促しています。

一方で、厚生労働省によりますと、国内で入院中や自宅やホテルで療養している人などは28日の時点で6828人、重症者は76人と増加傾向にあり舘田教授は「感染者数に加えて病床のひっ迫の度合いや、感染者の中に占める高齢者の割合、感染経路が分からないケースがどれだけ増えているかなども評価しながら対応について判断する必要がある」と話しています。