三菱自動車 岐阜の子会社工場閉鎖へ 4~6月期は1761億円の赤字

三菱自動車 岐阜の子会社工場閉鎖へ 4~6月期は1761億円の赤字
業績が低迷している三菱自動車工業は、岐阜県にある子会社「パジェロ製造」の工場での生産を来年9月末までに停止し、その後、閉鎖することを決めました。
三菱自動車は27日、2022年度までの中期経営計画を発表し、この中で、コストの削減を図るため、岐阜県坂祝町にある子会社「パジェロ製造」の工場での生産を来年9月末までに停止し、その後、閉鎖することを盛り込みました。

この工場は輸出向けの「パジェロ」などを生産し、国内生産のおよそ1割を占めていますが、最近は稼働率が下がっていました。

およそ1000人の従業員は、原則、配置転換などで雇用を維持したい考えです。

三菱自動車は今後、成長が見込める東南アジア市場に経営資源を集中し、販売が伸び悩むヨーロッパ市場では新型車の投入を凍結することも決めました。

オンラインでの記者会見で、加藤隆雄CEOは、「全方位の拡大戦略を進めた反省をもとに不退転の決意で構造改革を実行する」と述べました。

合わせて発表した先月までの3か月間の決算は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で売り上げが前の年の同じ時期と比べて57%少ない2295億円となったほか、最終的な損益は、構造改革の費用を計上したことなどで前の年の黒字から一転して1761億円の赤字となりました。

来年3月までの年間の業績も3600億円の最終赤字を見込んでいて、厳しい見通しとなっています。

「パジェロ製造」とは

三菱自動車工業の子会社の「パジェロ製造」は、社名にもなっている四輪駆動車のパジェロを累計で320万台以上、生産してきました。

会社は岐阜県坂祝町にあり、もとはトヨタやホンダなどの自動車メーカーから受注された車を生産する工場で、1982年から三菱自動車のパジェロの生産を始めました。

パジェロは、アウトドアで休暇を楽しむためのRV車として当時の四輪駆動車ブームをけん引し、ピーク時の1992年度には国内でおよそ8万4000台が販売されました。

この人気を追い風に1995年に社名を「パジェロ製造」とし、その後、2003年に三菱自動車の完全子会社となりました。

しかし、販売台数の減少で去年8月には国内向けの生産を終え、昨年度は主に輸出向けのパジェロとミニバン、合わせておよそ6万3000台の生産にとどまっていました。

また、最近は新型コロナウイルスの感染拡大による販売の落ち込みも影響し、今月はほとんどの日で生産を停止するなど、稼働が低下していました。

「パジェロ製造」の地元では

岐阜県坂祝町は、「パジェロの町」を全国にPRするなど「パジェロ」は町民の自慢でもありました。

三菱自動車はおよそ1000人の従業員は、原則として配置転換などで雇用を維持したい考えですが、町の人たちからは生産の停止や工場の閉鎖について驚きや残念だという声が聞かれました。

70代の女性は「驚きました。坂祝といえばパジェロというほど有名な工場で残念です」、70代の男性も「従業員も多く住んでいるので税収など町への影響も心配です」と話していました。

昨年度の「パジェロ製造」からの税収は町の税収のおよそ16%を占めていて、今後の町の施策にも影響が心配されます。

柴山佳也町長は27日夕方、坂祝町役場で急きょ記者会見を開き、「“パジェロの町、坂祝”を県内外でPRしていた。行政にとっても存在は大きく、今後に不安も残る」と話していました。