国連“発展途上国でベーシックインカムを”新型コロナ感染拡大

国連“発展途上国でベーシックインカムを”新型コロナ感染拡大
国連は、新型コロナウイルスの感染拡大が続く発展途上国のうち132か国で、貧困層などの生活を維持するため、最低限必要な現金を給付するベーシックインカムを一定期間、導入することを提案しました。
これはUNDP=国連開発計画が23日発表した報告書で明らかにしました。

報告書ではまず、発展途上国では新型コロナウイルスの感染が拡大する中でも、多くの人が在宅では収入を得られず、仕事をするために外出していると説明しています。

そのうえで、発展途上国のうち132か国で貧困ラインの前後に位置する27億8000万人を対象に、生活を維持するために最低限必要な現金を給付するベーシックインカムを一定期間、導入することを提案しています。

これによって貧困層の人々の生活を下支えし、外出を抑制できるため、感染拡大のペースを遅らせることができると主張しています。

報告書は、南米のコロンビアや南大平洋の島国ツバルなどで実例があるとしたうえで、費用の総額は1か月当たり2000億ドル(日本円で21兆4000億円)と見積もっています。

UNDPのシュタイナー総裁は、記者会見で「発展途上国と新興国が先進国などに返済する債務は、ことし3兆1000億ドルに上る。支払いの停止や調整があれば十分に可能だ」と述べ、先進国などの債権国が返済停止や減額に応じれば実現は可能だと強調しました。