コロナ重症患者のために「エクモカー」全国20か所に配備を

コロナ重症患者のために「エクモカー」全国20か所に配備を
新型コロナウイルスの重症患者の命をつなぐ、最後の砦とも言われる人工心肺装置「ECMO」。このECMOを装着した患者を搬送する大型の救急搬送車が不足しているとして、日本集中治療医学会は全国20か所に配備するよう国に要望しました。
人工心肺装置「ECMO」は、患者の体内から血液を取り出し、直接酸素を送り込む装置で、新型コロナウイルスの重症患者に使われ、命をつなぐ最後の砦とも言われています。

日本集中治療医学会によりますと、ECMOは全国で2000台以上ありますが、専門知識を持つ医師や看護師が必要で、すべてを同時に稼働できるわけではありません。

第一波のときには、近隣の病院にECMOの空きがなく、遠くの病院まで患者を運ぶケースが相次いだといいます。

このECMOが必要な患者を運ぶ際に使用されたのが「エクモカー」などと呼ばれる大型の救急搬送車で、ECMOを装着したまま患者を搬送することができます。

しかし全国に数台しかなく、日本集中治療医学会は、感染が再拡大して重症患者が増えた場合、搬送できない患者が出てくるおそれもあるとして、全国20か所に1台ずつ配備するよう国に要望しました。

藤田医科大学の教授で、日本集中治療医学会の西田修理事長は、「ECMOは数に限りがあるため、遠くの病院まで長時間かけて搬送しなければならない場合もあり、エクモカーは不可欠だ。感染が再拡大するなか、再び広域搬送が増えるおそれもあり、今のうちに配備を進めておくべきだ」と話しています。

「エクモカー」とは

「エクモカー」などと呼ばれる大型の救急搬送車は一般の救急車よりも車内が広く、ECMOを装着したまま患者を運ぶことができます。

医師や看護師、それに臨床工学技士などが乗り込み、搬送中にフィルターが詰まるなどのトラブルが起きても即座に対応することができます。

ECMOは大量の電気を消費するため、予備のバッテリーも備わっています。

日本集中治療医学会によりますと、エクモカーは全国に数台しかないということで、第一波の時には愛知県から東京都まで患者を搬送したこともあったということです。

「エクモカー」で救われた男性は

このエクモカー、実際どのように活用されているのか。ことし2月にエクモカーで搬送された71歳の男性がNHKの取材に応じました。

男性は集団感染が起きたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」に夫婦で乗船し、新型コロナウイルスに感染。2月中旬に船を下りたあと、長野県内の病院に搬送されましたが、症状が悪化し、人工心肺装置「ECMO」が必要となりました。

しかし、入院した病院には「ECMO」がなく、主治医は隣の群馬県にある前橋赤十字病院に受け入れを要請しました。

前橋赤十字病院はエクモカーを派遣。男性にECMOをつけ、医師や看護師が乗り込んで長野から200キロ以上、およそ3時間かけて搬送しました。

男性は転院後症状が改善。その後、PCR検査で陰性となり、4月にはリハビリをする病院に転院しました。

男性は、「ここまで回復できたのも、エクモカーで搬送してもらったおかげで、命が救われたと思っている」と話しています。

前橋赤十字病院高度救命救急センターの鈴木裕之医師は、「男性の症状は悪化していたのでエクモカーがなければ搬送が難しかったと思う。今後、特定の地域でECMOが足りなくなるおそれは十分にあり、その際にはエクモカーが不可欠だ」と話しています。