Go Toトラベル開始 「予約増えた」「客少ない」 各地の様子は

Go Toトラベル開始 「予約増えた」「客少ない」 各地の様子は
「Go Toトラベル」が22日から始まり、各地の観光地では観光客が訪れている一方、感染拡大への不安の声も聞かれました。

静岡 熱海 首都圏や関西などから観光客

22日から「Go Toトラベル」が始まり、首都圏からの観光客が8割を占める静岡県熱海市のJR熱海駅では、リュックサックやスーツケースを持った、首都圏や関西などからの観光客の姿が見られました。

大阪から観光に訪れた33歳の男性は「せっかくの機会なので、Go Toトラベルを利用して旅行に訪れました。熱海の海を楽しみます」と話していました。

また、愛知県の73歳の男性は「Go Toトラベルの利用は、当初は考えていなかったのですが、ホテルの人に相談してみて、きょうの宿泊でも使えるならぜひ使いたい」と話していました。

一方、JR熱海駅近くの商店街では、観光客の増加に期待を寄せる反面、感染拡大への不安の声が聞かれました。

ことしで創業50年目という干物店を経営する51歳の男性は「観光地に客を誘致してもらえるのはありがたいですが、感染が広がらないか複雑な気持ちです。しばらくは店内に客を呼び込まず、店頭で対応することにしています」と話していました。

大分 別府 ホテル 県内外から宿泊予約増加

「Go Toトラベル」が始まる中、大分県別府市のホテルでは、県内外から宿泊予約が増えています。

全国有数の温泉地である別府市の「ホテル白菊」は、新型コロナウイルスの影響で先月中旬までおよそ2か月間休業し、その後も最近まで営業を週末に限っていたため、再開後の宿泊客数が去年の同じ時期の3割ほどに落ち込んでいます。

しかし「Go Toトラベル」の開始に合わせるような形でこのホテルでは、県内外からの宿泊予約が増えるようになっています。

ホテルによりますと、23日からの4連休については、予約が去年の同じ時期の5割ほどまで回復する見通しだということです。

一方、東京都内に住む人の旅行が割り引きの対象から外された影響で予約の一部にキャンセルが出ているほか、キャンペーンの利用にどのような手続きが必要かなどについて問い合わせが相次いでいるということです。

ホテル白菊の安部洋二郎副支配人は「お盆休みに向けてGo Toキャンペーンをきっかけに宿泊者数が増え、にぎわいのあった別府に戻ってほしい」と話していました。

長崎「大浦天主堂」 観光客は少なく県外に期待

長崎市の観光名所、大浦天主堂では、22日も観光客の姿は少なく、県外からの観光客に期待する声が聞かれました。

世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産の1つで、国宝にも指定されている大浦天主堂では、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、券売所でマスクを配ったり、密集を避けるため順路を一方通行にしたりする対策がとられています。

また天主堂の中でも、換気を徹底したり、消毒を小まめに行ったりする対策がとられていますが、22日も観光客の姿はあまり見られませんでした。

去年7月の1か月間に天主堂を訪れた観光客はおよそ2万6000人でしたが、ことしは7月19日まででおよそ2600人にとどまっているということです。

施設の管理を行っている西岡克浩さんは、「感染症対策をしっかり行っているので多くの人に訪れてほしい」と話していました。

また天主堂に続く土産物店も22日は閑散としていて、県外からの観光客に期待する声が聞かれました。

20年以上、オルゴール館を営む森一久さんは、「4月から2か月間ほど休業していたため、経営も苦しい状態です。新型コロナの感染が広がるのは怖いですが、早く大勢の観光客に来てほしい」と話していました。

熊本 芦北町 老舗旅館 営業再開見通し立たず

「Go Toトラベル」が22日から始まりましたが、今回の豪雨で大きな被害を受けた熊本県芦北町の老舗旅館の経営者は「キャンペーンに参加できず残念です」と話しています。

芦北町は八代海に面した美しい砂浜と、「海の貴婦人」とも呼ばれる白い帆掛け船を使った観光うたせ船で知られています。

しかし、町の中心部にある創業140年を超える老舗旅館は新型コロナウイルスの影響で売り上げが大幅に落ち込んでいたところに、今回の豪雨で1階部分が1メートル以上浸水する被害を受け休業を余儀なくされていて、営業再開の見通しは立っていません。

浸水した部分には床や壁にいまも泥が残っていて、22日も朝から従業員や取引先の人たちが泥をかき出したり壁をはがしたりする作業が続けられています。

野坂屋旅館の田中正一社長は、「被災地にいると自分の周りしか見ることができない大変な状況になっています。キャンペーンに参加できず残念です」と話しています。

そのうえで「全国の宿泊業や観光業界にとっては助けになると思います。キャンペーン期間中にもし旅館の再開が間に合えば参加したいです」と話しています。

北海道 新千歳空港 「サーモグラフィー」で対策強化

「Go Toトラベル」が22日から始まったのに合わせて、北海道の新千歳空港では、日本航空の保安検査場に体温を自動で測ることができる「サーモグラフィー」が設置され新型コロナウイルスへの対策を強化しています。

「Go Toトラベル」の開始で新千歳空港では、23日からの連休で利用客が増えると見込まれています。

このため日本航空は、22日国内線の保安検査場の入り口に体温を自動で測ることができる「サーモグラフィー」を設置し、新型コロナウイルスへの対策を強化しています。

サーモグラフィーのモニターでは、体温が37度5分以上ある人を色で識別できるようになっていて発熱している人には、搭乗を自粛するよう呼びかけるチラシを手渡すことにしています。

日本航空千歳空港支店の小山潤総務グループ長は、「搭乗する人に安心と安全を提供したい。発熱している人は、利用を自粛してほしい」と話していました。

新千歳空港は、来月中にすべての国内線の利用客を検温できる体制を整えることにしています。