東京五輪 開幕まで23日で1年 新型コロナ対策が最大の課題

東京五輪 開幕まで23日で1年 新型コロナ対策が最大の課題
来年に延期された東京オリンピックは、23日で開幕まであと1年となります。
開催への最大の課題は新型コロナウイルス対策で、簡素な大会とするなか、どうすれば安全・安心を確保できるかが開催の鍵となります。
1年延期された東京オリンピックは、ことしと同じ会場と競技日程で、来年の7月23日から8月8日までの17日間で行われ、史上最多の33競技339種目に1万人を超える選手が参加する予定です。

大会運営を担う組織委員会は、森会長が「世界の人たちが日本に来て、安全で安心な大会を開けることに確信を得られるかが、最大の問題だ」と述べるなど、世界で感染拡大が続く新型コロナウイルスへの対策が最大の課題です。

必要な対策は、海外からの選手や関係者の出入国での検疫措置や、ワクチンや治療薬、PCR検査など医療体制の確立、それに、練習環境や宿泊、輸送、競技運営など、多岐にわたります。

組織委員会は、政府と東京都との三者による対策会議を政府が主導する形で9月からはじめ、主要な対策を年内をめどにまとめたい考えです。

一方、大会の簡素化は、数千億円とも見込まれる追加経費の削減のため、検討する項目は、参加する関係者の削減や、サービス水準の引き下げ、それに観客を減らすことなど200を超えており、このうち重要度の高い50項目程度を中心に検討を進め、追加経費の全体像を秋にも示す方針です。

史上初めての延期で大会を簡素化するなか、どうすれば新型コロナウイルスからの安全・安心を確保できるかが、開催の鍵となります。

大会組織委 森会長は

東京オリンピックの開幕まで1年になるのを前に、大会組織委員会の森会長がNHKのインタビューに応じました。

森会長は、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ、大会を開催する判断についてはIOC=国際オリンピック委員会に権限があるとしたうえで、今の状態が続けば開催できないが、あと1年続くとは思えないとして、ワクチンや治療薬の開発状況が判断の重要な要素になるという認識を示しました。

新型コロナウイルスの新たな感染者は、21日、都内で237人が確認されたほか、世界全体では1日に20万人を超えることもあるなど感染が広がっています。

こうした状況の中、組織委員会の森会長は、「仮に今のような状況が続いても開催は可能か」との質問に対し、「今のような状態が続いたらできない」と答えました。

そのうえで、「決める権限はIOCだ。そういう仮定の質問にわれわれが答えていたら大変なことになるし、こんな状態があと1年続くとは思えない」と述べました。


また、判断する重要な要素としては、「コロナが収束していくことだろう。具体的に言えば、ワクチンや薬が開発されてきたとかいうことが第1のポイントではないか」と述べました。

そして、来年開催できなかった場合については、「2022年は冬の北京大会、2024年はパリ大会など2028年まで決まっている。パリが譲るのはおそらく不可能だろう」と述べ、再び延期するのは難しいという考えをにじませました。

また大会の簡素化や感染症対策として観客の数を減らすことの実現性については、「削減は『言うにやすし』で機械的にできない。やる場合には、例えば観客を日本人だけにするとか、『なるほどな』という理屈をつけるしかないだろう」と述べ、慎重に検討を進める考えを示しました。

さらに、無観客については、現状では検討していないとの認識を示したうえで、「『それしかできない』ということならば、考えなければならないことだ。そうなった場合、中止の話が出てくるかもしれない」と述べました。

そのうえで森会長は、「オリンピックができるかできないかは、『コロナに人類が勝てるかどうか』ということだ」と述べ、開催の意義を強調したうえで、政府や東京都などと連携して対策の検討を進める考えを示しました。

菅官房長官「全力で準備を進める」

菅官房長官は午前の記者会見で、「6月10日のIOC=国際オリンピック委員会の理事会で安全安心、費用節減、さらに簡素化という、開催に向けた基本的な原則が確認され、今月17日のIOC総会を経て会場と競技日程が決定されたところだ。新型コロナウイルス対策は、秋以降に状況を踏まえた検討が行われるものと承知しており、IOCや組織委員会、東京都との緊密な連携のもとに、大会に向けて全力で取り組み、準備を進めていきたい」と述べました。

公明 山口代表「開催の在り方は柔軟に対応できる選択肢を」

公明党の山口代表は、日本記者クラブで会見し、「新型コロナウイルスの感染がどういう状況になるかにかかっている。延期はやむを得なかったが、1年後に収束している保証もない。開催国として、できるかぎりの準備と努力をしなければならない。開催の在り方については柔軟に対応できる選択肢を検討し、国際社会の合意のもと、開催できるようにしていくべきだ」と述べました。