東京都民 旅行はOK?自粛するべき?

東京都民 旅行はOK?自粛するべき?
海で遊んで、温泉入って、実家でゆっくりと。そんな夏休みの計画を新型コロナウイルスが揺さぶっています。「旅行はまだ早すぎる」「旅行までは否定されていない」などと分かれる対応。ことしの夏休み、いったいどうしたらいいの?
(ネットワーク報道部記者 管野彰彦・高橋大地)

東京除外でGo To断念

新型コロナウイルスの感染が続くなか、東京を割り引きの対象から外して始まる「Go Toトラベル」。SNS上では、旅行をキャンセルとしたというツイートが多数、投稿されています。
「都民なので3月から予約していた沖縄旅行を泣く泣くキャンセルした」
「家族で都内の高級ホテルに泊まる予定があったんだけどキャンセルしました。今年の夏は諦めてノープランで過ごします」
東京在住の人だけでなく、東京へ旅行しようと考えていた人にまで影響は広がっているようです。

このうち、「キャンセル代3万はかかるし都民はなるべく都外出るなとか言われるし、Go Toは外されるし。なんか心が折れかける…」とツイートしていた40代の男性に話を聞くことができました。

男性は「Go Toトラベル」を利用した旅行ではなく、夏休みに実家に帰省するために飛行機の予約をしていました。

しかし、実家がある地域で感染者が出ておらず、自分たちが感染源になったり、移動で感染したりする心配もあることなどから帰省を断念したということです。
実は、都内に住む記者も予約していた長野県内のコテージをキャンセルした一人です。

予約をしたのは6月下旬。「ほかの人と接する機会も少ないところなら」と思い、家族で泊まることができる場所を選びました。

当時、都内の1日の感染者数は50人を大きく上回ることはない状態が続いていました。

しかし、感染者数が100人を上回る日が続き、「これはもうだめかな」と思うようになっていたところ「Go Toトラベル」の東京除外が決まり、キャンセルすることにしました。

コテージには「子どもも楽しみにしていましたし、また必ず行きます」と言って電話を切りました。

「旅行する!」という人も

一方、キャンペーンの対象から外れても「旅行はする」という人の意見も投稿されています。
「東京が対象外になろうが旅行に行くぞ」
「私は東京都民ですが、地方に旅行行きます。もう予定も支払いも終わっています。キャンペーンは関係ないです」
「僕は都民で常識の範囲内で対策をして堂々と旅行に行きます」
実際に旅行を計画しているという都内の会社員(30代)の男性に話を聞きました。男性は毎年、夏休みに家族で沖縄などへ旅行しているといいます。

「Go Toトラベル」で東京が除外されたことについて聞くと、「あまり気にしていません。確かに旅行費用が安くなるのは魅力的ですが、例年と同じ料金になるだけなので、東京が除外されてもされなくても旅行には行こうと思っていました」と話しています。

男性は今の感染状況を考慮して、8月は自家用車で行ける範囲の近場にして、9月に遠出の旅行をする予定に変えたそうです。

一方、感染への不安については「ないとは言えませんが、親も子どももずっと自粛を続けてきたので、旅行でストレスを発散して観光地にお金を落とすことも大切じゃないかと思います」としたうえで、「移動中はマスクをして、旅先では3密を避けるなど、現地での指示にしたがってきちんと対策したいと思っています」と話していました。

都民の旅行 観光庁は

都民の旅行について観光庁に聞いてみました。

担当者は「旅行自体は感染対策を取ったうえでしていただく分には否定はしていません」と回答。

ただ、東京をキャンペーンの対象外にしたということは、旅行をするべきではないと言ってるようにも聞こえ、なんだかモヤモヤが残ります。

その疑問をぶつけると、「そうですよね…」と少し間を置いて、回答してくれました。
観光庁の担当者
「旅行自体は否定していないのですが、東京の感染状況や政府の検討会の見解も踏まえて、東京からの人の移動を活性化させるところまでは見送るという判断になりました」
どこで線引きをするのか、判断の難しさがあったことをにじませる回答。

要は、都民の旅行を積極的に推奨はできないけれど、需要の落ち込んだ観光産業を活性化させるうえでも個々の判断で旅行することまでは制限しないということなのだそうです。

ただ、担当者は旅行をする場合でも感染予防の対策は徹底してほしいと呼びかけています。
一方、東京都は都民に無症状であっても不要不急の外出を控えることなどを呼びかけています。

行っていいの? お客も悩む

一方、観光客を受け入れる旅館やホテルなどは今回の事態についてどのように捉えているのでしょうか。
都内からの宿泊客が多い神奈川県箱根町の温泉旅館「和心亭豊月」の杉山慎吾専務取締役に伺いました。

この旅館では東京がキャンペーンから外れて以降、都内からの宿泊客のキャンセルが続いたということです。

ただリピーターを中心に県内の利用者の予約が増えていることから、「近場から行ってみようというお客様が多いのではないか」とみています。

そうしたなか、杉山さんが心配しているのが東京からの利用客の問い合わせです。
温泉旅館「和心亭豊月」 杉山慎吾専務取締役
「いちばん心苦しいのは『Go Toにかかわらず行きたいのですが、行っても大丈夫ですか』という連絡です。旅行自体の制限がかかっているわけではないので『ご都合がよろしければぜひ』とお伝えしています。ただ、旅は本来“楽しきもの”です。もし、『今いったら楽しめないな』と思われるようでしたら、無理をなさらず、また時期が来たときにいらしてほしいです。いつでも来てもらえるよう、感染対策などの準備を進めていきます」

大切なのは“体調管理”と“3密回避”

旅行する場合の注意点などについて、感染症に詳しいグローバルヘルスケアクリニックの水野泰孝医師に聞きました。

まずは移動の際のリスクについては「マスクを着用し、大声で会話をしないといった対策を取っていれば、移動による感染のリスクはかなり低いと言えます。飛行機や新幹線では換気もできていますし、故意にマスクをつけずにせきをするような人がいないかぎりは、感染が広がることは考えづらいと思います」と指摘します。

そのうえで、新幹線や飛行機のトイレなど共用部分に触れるなどした場合には、使用後に手洗いを徹底することが大切だといいます。

次に旅行先での注意点について聞きました。
水野泰孝医師
「3密を避けることが重要です。接待を伴うような夜のお店に行ったり、飲食店で大きな声で騒いだりすることはやめるべきです。また大浴場などを利用する場合、更衣室では密になりがちなので会話を控えることが必要です」
最後に、旅行をする前の体調管理も大切だと指摘します。
水野泰孝医師
「せっかくの夏休みということで、体調が悪くても無理をして旅行をしようと考える人がいるかもしれませんが、少しでも体調が悪ければ自重するべきです。今回のキャンペーンで東京が除外されたのは感染をしないというより、感染を広げないというメッセージです。体調に問題がない人が家族旅行をする分には自粛する必要はあまりないと考えていますが、周りの人に感染させないことを第一に対策を徹底してほしい」