Go To“東京除外”でキャンセル対応に追われる旅行会社も

Go To“東京除外”でキャンセル対応に追われる旅行会社も
22日から始まる「Go Toトラベル」の旅行商品を企画していた東京の旅行会社では、ほぼすべてのバスツアーが割引の対象から外れる東京発着のため、キャンペーン直前のキャンセルの対応に追われています。
東京 千代田区にある旅行会社では先月、取りやめていたツアーを再開し、夏休みに向けて、ハイキングや神社仏閣をめぐる「Go Toトラベル」のバスツアーを新たに企画していました。

予約は一時、去年の同じ時期の7割程度まで戻っていましたが、このところの感染拡大で再び予約が減少していたということです。

さらに、「Go Toトラベル」で東京が対象から外れることが明らかになってから20日までだけで、ことし9月までの予約のうち、およそ1割がキャンセルになったということです。

この会社では、ほぼすべてのツアーが東京を発着するうえ、およそ6万5000人の会員のおよそ7割が都内在住だということで、キャンセルの問い合わせが相次いでいて対応に追われています。
旅行会社「四季の旅」の渡邉東雲さんは「『Go Toトラベル』はこれまで二転三転し、ようやくキャンセル料を国が補償することを表明したが、返金方法など具体的な説明はなく大変困っています。かき入れ時の夏に向けて期待していただけに非常に残念です」と話していました。

ホテル 立地で明暗分かれる

東京発着の旅行が「Go Toトラベル」の対象から外れたことで、今月から営業を再開した東京ディズニーリゾートの周辺にあるホテルでは、その立地によって明暗が分かれています。

千葉県浦安市にある東京ディズニーリゾートは、新型コロナウイルスの影響で2月末から休園していましたが、今月1日からおよそ4か月ぶりに営業を再開しました。

これに合わせて、周辺のホテルには観光客からの予約が徐々に入り始めていますが、東京発着の旅行が割り引きの対象から外れたことで、浦安市の隣にある東京 江戸川区のホテルでは予約のキャンセルが相次いでいます。

このうち、江戸川区東葛西にある「ホテルイルフィオーレ葛西」は、東京ディズニーリゾートまでシャトルバスでおよそ20分という立地が売りで、例年、この時期は多くの家族連れなどの予約でほぼ満室となります。

ことしは新型コロナウイルスの影響で、2か月間の休業を余儀なくされましたが、今月になって「Go Toトラベル」の割り引きを見込んだ客などから予約が入り始めていました。ところが、東京発着の旅行が対象から外れることが公表された直後から、キャンセルが10件以上相次いだということです。

一方、千葉県浦安市にある複数のホテルに取材したところ、公表後に予約や問い合わせが増えているというホテルもありました。
「ホテルイルフィオーレ葛西」では急きょ、宿泊料金を大幅に下げることで、数件の予約を新たに確保したということですが、経営が改善する見通しはたっていないということで、支配人の宮城盛章さんは「ホテル業界に30年近く携わっているが、このような事態はこれまで経験がない。このままでは観光客が千葉県内のホテルにますます流出する可能性があり、再び休業することも検討せざるをえない」と話していました。

浅草の人力車は困惑

「Go Toトラベル」で、東京が割り引きの対象から外れたことについて、浅草で人力車を運営する会社からは「売り上げ回復の起爆剤になると期待していたのに残念だ」という声が聞かれました。

都内有数の観光地 浅草を拠点に、周辺の浅草寺や東京スカイツリーなどの観光名所を、人力車で案内しているこの会社では、多い時には20台以上が稼働していました。

しかし、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、最近は多い日で3台しか稼働せず、今月の売り上げは、前の年の同じ月と比べておよそ95%減少しています。

会社では、夏の時期に人力車を利用する人の8割は、国内各地からの観光客のため、「Go Toトラベル」が売り上げの回復につながると期待していただけに、東京が割り引きの対象から外れたことに困惑しています。

人力車を運営する「時代屋」の藤原英則社長は「このところ東京の感染者が増えていたので、東京が除外されたままキャンペーンが始まるのも、やむをえないと思うが、5月からほとんど売り上げがないなかで、回復の起爆剤になると大きく期待していただけに残念です」と話しました。

そのうえで「感染が落ち着いて東京の観光もキャンペーンの対象になり、観光業界が回復するのを待ちたい。それまでは東京在住の方に利用してもらえるよう呼びかけていきたい」と話しています。