Go Toトラベル キャンセル料の補償表明 政府 東京除外で

Go Toトラベル キャンセル料の補償表明 政府 東京除外で
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22日から始まる観光需要の喚起策、「Go Toトラベル」で東京を割り引きの対象から外したことをめぐり、政府は、旅行者がキャンセル料を支払わずにすむようにするとともに、旅行会社に損害が生じた場合は政府として補償することになりました。
「Go Toトラベル」をめぐって政府は、新型コロナウイルスの感染者が増加していることからすでに予約された分を含めて東京都を目的地とする旅行と都内に住む人の旅行を割り引きの対象から外しました。

これに伴って旅行を予約した人がキャンセルした場合の対応について、当初の方針を転換し、旅行者がキャンセル料を支払わずにすむようにすることになりました。

対象となるのは、キャンペーンの開始日を公表した今月10日から東京を対象外とすることを表明した17日までの間に旅行を予約した人です。

旅行者がこれから予約を取り消す場合には、旅行会社などにキャンセル料を受け取らないよう周知するほか、旅行者がすでにキャンセル料を支払っている場合は、旅行会社などに店舗やオンラインなどで申請すれば、返金を受けられるようにします。

そのうえでキャンセルに伴って旅行会社などに損害が生じる場合には「Go Toトラベル」の事業費から補填し、政府として補償するとしています。

キャンセル料の対応をめぐっては政府は当初、「補償する考えはない」としていましたが、旅行を予約した人を含め各方面から批判が相次いだことから事業開始の前日に、方針を転換することになりました。

これについて赤羽国土交通大臣は、記者会見で「キャンセル料の扱いについて十分な周知がされていなかったと判断した」と述べました。

キャンセル料補償のやり方

旅行者がキャンセル料を支払わずにすむようにするのは、東京都を目的地とする旅行と都内に住む人の旅行のうち、キャンペーンの開始日を公表した今月10日から、東京を対象外とすることを表明した17日までの間に予約を行った人です。

旅行者がこれから予約を取り消す場合は、キャンセル料を支払わなくてもすむよう、旅行会社や宿泊施設などの事業者にキャンセル料を受け取らないよう周知します。

旅行者がすでにキャンセル料を支払っている場合は、事業者に対し店舗の窓口のほか、オンラインや郵送でキャンセル料の返金を求める申請を行えば、返金を受けられるようにします。

申請の受け付けは早ければ来月上旬にも開始する予定で、必要な申請書類は、キャンペーンの事務局のホームページから入手できるようにします。

キャンセル料の申請の期限は、まだ決まっていないということです。

こうしたキャンセルに伴って事業者に損害が生じる場合には「Go Toトラベル」の事業費から補填(ほてん)します。

その際は実際に生じた損害に相当する額を補償することにしていて、例えば宿泊施設では仕入れた食材にかかった費用、旅行会社であれば、航空チケットを手配にかかる手数料などが、それに当たることになります。

一方、不正な請求を防止するため、キャンペーンの事務局はキャンセルの申請を受け付ける事業所に対し、キャンセルをした人の住所や予約日、宿泊する予定だった日が記載されている書類のほか、キャンセル料の規定などの提出を求めるということです。

不正が確認された場合は事業への参加を取り消すほか、さらに悪質な場合は、観光庁が法律に基づいて立ち入り検査を実施するとしています。

「修学旅行は控えるべき旅行に該当せず」

「Go Toトラベル」では、若者や高齢者の団体旅行、大人数の宴会を伴う旅行は割り引きの対象外とはしていませんが、新型コロナウイルスの感染を防ぐため控えることが望ましいとしています。

これについて、赤羽国土交通大臣は、21日の記者会見で「重症化しやすい高齢者の団体旅行や大人数の宴会を伴う旅行、そして、若者の団体旅行は控えることが望ましいということであって、それらを一律に対象外とするという趣旨ではない」と述べました。

そのうえで赤羽大臣は「修学旅行や教育旅行のように、指導、引率の先生がいるなど、一定の規律にもとづいて、適切に感染予防が実施されることが想定される旅行については、基本的には控えるべき旅行には該当しない」と述べ、団体でも修学旅行などは東京を目的地とした旅行などを除けば「Go Toトラベル」で割り引きの対象となることを改めて示しました。

首相「不利益ないよう対応」

安倍総理大臣は、自民党の役員会で「夏休みシーズンに観光客の足が遠のくことは観光産業にとって死活問題になりかねない。キャンペーンは予定どおり実施することとしたうえで、やむをえず東京発着の旅行については除外とした。これに伴うキャンセル料は、旅行者の不利益が発生しないよう政府としてしっかり対応していきたい」と述べました。

官房長官「利用者や業者に丁寧に説明」

菅官房長官は、閣議のあとの記者会見で「キャンセル料については、国土交通省で実態を見て取らないように業者に要請しているが、実損が出れば、補填する取り扱いとした。あすからスタートするが、政府として、引き続き、利用者や業者の皆さんに内容を丁寧に説明し、感染防止対策を行いながら、うまくキャンペーンを活用してもらいたい」と述べました。

そのうえで、「感染拡大防止と社会経済活動の段階的再開が基本的な方針だ。専門家の分科会での提言でも、東京都以外のGo Toトラベルは、実施しても差し支えないとされており、今後も専門家のご意見を伺いながら適切に運用していきたい」と述べました。

一方、菅官房長官は、都民がほかの県へ旅行することへの見解を問われたのに対し、「体調が悪い方などには、県をまたいだ移動を含め外出を控えていただくとともに、外出する際にも、3密を避けるなど感染防止対策を徹底していただきたい」と述べました。

また、記者団が、神奈川県や千葉県など東京都の近隣県に宿泊して都内を観光する場合は、補助の対象となるのかと質問したのに対し、「東京都以外で宿泊する場合には原則として補助対象となるが、その場合でも旅行商品で都内観光が組み込まれている場合は、補助対象外だと聞いている」と述べました。

東京都旅行業協会「国が負担するのは当然」

政府が「Go Toトラベル」で東京を割り引きの対象から外したことに伴うキャンセル料の補償を表明したことについて、都内の旅行会社でつくる「東京都旅行業協会」の村山吉三郎会長は「国の都合で発生したキャンセル料なので国が負担することは当然だ」と話しています。

村山会長が経営する東京 杉並区の旅行会社「飛鳥旅行」には「Go Toトラベル」の割り引きをあてこんだ予約が6件ありましたが、東京が対象から外されたことを受けて、このうち5件の予約がキャンセルされたということです。

政府がキャンセル料を補償すると表明したことについては、「国が突然、東京を対象から除外したために発生したキャンセル料なので、国が負担することとは当然だ」と話しています。

そのうえで、村山会長は「そもそも説明が二転三転する国の対応に疑問を感じる。キャンペーンは東京だけ除外するのではなく、全国一律で延期するのがベストだったと思う。東京だけが除外されることで、当面、東京発着の旅行がしにくい雰囲気になってしまった」と話し、さらなる客離れにつながりかねないという危機感を募らせています。