感染確認が都内最多の新宿区保健所を支援 都が拠点設置

感染確認が都内最多の新宿区保健所を支援 都が拠点設置
東京都内で、新型コロナウイルスの感染の確認が最も多い新宿区の保健所を支援しようと、都は20日から保健所の業務の一部を行う新たな拠点を設けました。
新たな拠点は新宿区内にある都の施設に設けられ、いずれも都の職員の医師1人と保健師5人、それに事務職員5人が配置されました。新型コロナウイルスの感染の確認が都内で最も多く、業務が急増している新宿区の「新宿区保健所」を支援するため業務の一部を行います。

具体的には、新たに感染が確認された人と連絡をとり、容体などを聞き取ったうえで、入院が必要かどうかや自宅や宿泊施設での療養が適当かどうかなどを判断します。

また感染の広がりを抑えるため濃厚接触者がいるかどうかなど行動履歴を把握します。

さらに自宅療養を続けている人の健康観察なども行うということです。

都は、当面、新宿区保健所の支援を行いますが、今後、ほかの自治体にも支援を広げるかどうか検討するということです。

保健所の支援を担当している都福祉保健局の諸星岳仁担当課長は「業務量が増えている自治体と連携して、保健所の業務負担の軽減につなげたい」と話しています。

感染拡大防止の最前線 保健所の業務とは

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ最前線を担うのが各地の保健所です。その業務内容は多岐にわたります。

全国保健所長会によりますと、感染の疑いがあると感じた人などからの相談を電話で受け付けるほか、感染が疑われる人のPCR検査や、採取した検体を地方衛生研究所に運ぶこと、それに感染が判明した人が受診する医療機関や入院先を調整したり、行動歴を聞き出して感染経路や濃厚接触者を調べたりするといった業務があります。

また自宅などで療養している軽症や無症状の感染者と連絡をとり、入院などが必要な状態に悪化していないか、点検する役割もあるということです。

新宿区保健所 土日も平日並みの態勢

東京 新宿区に住む人で18日までに感染が確認された人は1423人で、都内全体のおよそ15%を占め、最も多くなっています。

背景には感染の確認が相次いでいるホストクラブの従業員が、6月以降、集団で検査を行っていることなどがあります。新宿区の感染の確認を1か月単位でみてみると、感染の確認が急増したことし4月はおよそ270人でしたが、7月はすでに18日までに2.6倍の712人です。

新宿区保健所によりますと、新型コロナウイルスなど感染症の対応には10人の保健師で対応していましたが、感染の確認が増えて業務が追いつかなくなったことから、ほかの部署などから応援をもらい現在はおよそ35人で対応しているということです。

ただ、土曜日や日曜日も病院から患者の確認の届け出が提出されるため、平日とほぼ同じ態勢で業務を行っているということです。保健所では子どもの健診や飲食店の営業許可など新型コロナウイルス以外の通常の業務も行わなければならず、慢性的に極めて忙しい状態が続いているということです。

新宿区保健所の担当者は「業務を見直すなど改善もしているが、忙しさが長期に及んでいるのが実態だ。先の見通しが立たないことが不安だ」と話しています。

いったん縮小した態勢を再拡大の保健所も

新型コロナウイルスの感染者が再び増加する中、東京 葛飾区の保健所では、緊急事態宣言の解除後にいったん縮小した態勢を再び拡大して業務にあたることにしています。

葛飾区では、新たに確認された感染者が6月7日までの1週間には1人にまで減りましたが、その後は増加傾向が続いていて、7月12日までの1週間では23人となっています。

葛飾区保健所によりますと、企業活動や学校が再開する中で、感染が確認された人の濃厚接触者にあたる人が増え、確認の時間が多くかかるようになったほか、乳幼児検診など通常の業務も再開したことで、人手不足の状況が強まっていて、今後の感染拡大に危機感を抱いているということです。

このため、区役所のほかの部署から応援の職員を集めて、いったん縮小していた態勢を改めて拡大して業務にあたることにしています。

葛飾区保健所地域保健課の橋口昌明課長は「自粛期間と同じように抑え込むのは難しいかもしれないが、一人一人が感染予防の意識を持ってできることに取り組んでほしい」と話しています。