「Go Toトラベル」 東京発着の旅行を除き 22日から実施

「Go Toトラベル」 東京発着の旅行を除き 22日から実施
政府は観光需要を喚起するための「Go Toトラベル」の事業を見直し、東京発着の旅行は、すでに予約されている分も含めて割引の対象から外して、今月22日から実施することになりました。
「Go Toトラベル」について政府は、東京で特に感染が拡大していることから、すでに予約されている分も含めて、東京都を目的地とする旅行と、都内に住む人の旅行を、割引の対象から外し、それ以外の旅行については今月22日から開始すると発表しました。

東京都が目的地の旅行とは

今回の事業では、東京都を目的地とする旅行は対象外となります。

東京都を目的地とする旅行とは、
▽都内の観光地や飲食店などが、行程の中に組み込まれているツアーや、
▽都内のホテルや旅館などに宿泊する旅行のことです。

観光庁によりますと、例えば、
▽福岡県に住む人が、飛行機で東京の羽田空港に着き、その後、神奈川県の観光地、箱根に移動し宿泊する場合、目的地は、箱根になるので割引の対象になるということです。
一方、
▼千葉県のホテルに宿泊して、都内の観光地をめぐるといったツアーは、観光のコースに都内が組み込まれていることから割引は適用されません。

▽千葉県のホテルに宿泊し、個人で都内を観光するようなケースは、割引の対象から除外できないとしています。

次に、例えば、
▽埼玉県や千葉県などに住む人が、新幹線や飛行機で東京から、ほかの道府県に向かう場合は、旅行の目的地は東京ではないので割引の対象になるということです。

居住地 どう確認する?

22日からのキャンペーンでは当面、東京が目的地ではない東京都以外に住む人の旅行が、割引の対象になります。

観光庁によりますと、東京に住んでいない人かどうかは、住民票がどこにあるかで判断します。

旅行会社の店舗でツアーを予約する際や、宿泊施設にチェックインする際に、事業者が顧客に対し、免許証や保険証など、居住地が分かる証明書の提示を求めることにしています。

一方、ネットを通じてツアーや宿泊の予約をする場合は、居住地を入力してもらうことを想定していて、その後、宿泊施設などで証明書を確認するとしています。

一方、人と対面することなく宿泊できる民泊の施設については、今後、具体的な確認方法を検討するとしています。

若者・高齢者の団体旅行は?

若者や高齢者の団体旅行、大人数の宴会を伴う旅行は、割引の対象外とはしていませんが、感染を防ぐため控えることが望ましいとしています。

これは、
▽無症状でも、感染を広げるおそれがあることや
▽高齢者は、重症化するリスクが高いことを踏まえたものです。

このため、こうした旅行で必要な感染防止策がとられていない場合は、割引を適用しないこともあるとしていて、赤羽国土交通大臣は、17日の会見で「感染リスクの高い旅行は控えることが望ましいというのが専門家からの指摘なので、参加事業者には、旅行者への周知徹底に、ご協力いただきたい」と述べました。

修学旅行は?

団体でも修学旅行は、東京を目的地とした旅行などを除けば、割引の対象です。

これについて赤羽大臣は「修学旅行は教育旅行であり、指導、引率する先生がいるので、これはしっかりと推進をしていただけたらと思っている」と述べました。

割引の内容は?

▽旅行代金を割り引く形や、
▽観光施設や土産物店、それに飲食店や交通機関などで使えるクーポンを発行する形で実施され、
今月22日から先行して、旅行代金の割引が始まります。

ただ、当面、
▽東京都が目的地となっている旅行や
▽東京都に居住する人の旅行は、対象外となっています。

▼割引額は、旅行代金の35%分で、
▽宿泊旅行の場合、1人1泊当たり1万4000円、
▽日帰りの場合は、1人当たり7000円が上限となります。

利用回数の制限はなく、自治体が独自に行うキャンペーンと合わせて利用することも可能です。

割引を反映させた価格でのツアーや宿泊の販売は、今月27日以降になります。

それ以前でも、22日以降の旅行であれば、割引の対象となりますが、領収書などをキャンペーンの事務局に送付して、別途、還付を受ける手続きが必要です。

▼クーポンについては、準備に時間がかかるため、9月中をめどに始めることになっています。

クーポンの額は、旅行代金の15%分で、上限は
▽宿泊旅行の場合、1人1泊当たり6000円、
▽日帰りの場合は、1人当たり3000円です。

旅行期間中に限って使用できます。

事業者の条件は?

政府は、割引の対象となる旅行商品を販売する旅行・宿泊事業者に対して、感染防止対策の徹底を参加登録の条件としています。

具体的には、
▽旅行者全員に対して、検温など体調チェックを行うこと。
▽浴場やレストランなど共用施設の利用については、人数や時間の制限をかけるなど、いわゆる「3密対策」を徹底すること。
▽共用スペースの消毒や換気などを求める。
としています。

また、事業者には、
▽重症化しやすい高齢者の団体旅行や、
▽大人数の宴会を伴う旅行などは、
控えることが望ましいことを、旅行者に周知するよう求めています。

キャンペーンに参加する事業者はホームページなどで、こうした対策を公表し、対策が不十分な場合には、参加登録を取り消すとしています。

キャンセル料 どうなる?

「Go Toトラベル」は、今月22日の旅行から割引の対象となりますが、キャンペーンに参加する旅行や宿泊事業者の登録申請の受け付けは、まだ始まっていません。

登録を受けた事業者が、割引の対象となる旅行商品の販売を本格的に始めるのは、早くても今月27日となります。

ただ、今回のキャンペーンでは、すでに予約済みの22日以降の旅行でも、旅行者が後日、手続きをすれば、割引分の還付を受けることができます。

このため、キャンペーンの開始を期待して、すでに東京発着の旅行を予約したという人も一定数いるとみられます。

こうした人が、東京が割引の対象から外れたことを受けて、仮に予約を取り消した場合でも、政府はキャンセル料の補償はしない方針です。

その理由について観光庁は、感染拡大を受けて旅行会社や宿泊事業者はこれまで、予約を取り消した場合でもキャンセル料を取らなかったり、行き先の変更に応じたりするケースが多く、今回も同様に、それぞれの対応にしたがってほしいとしています。

「Go Toトラベル」 相談窓口

観光庁は「Go Toトラベル」について、どのような旅行が割引の対象になるかや、事業への参加手続きなどの問い合わせに応じる相談窓口を設置しました。

電話番号
▽一般の利用者 03-3548-0520
▽旅行事業者や宿泊事業者 03-3548-0525

受け付け時間は、平日の午前9時半~午後5時までです。

日商 三村会頭 「政府の対応に理解」

政府が「Go Toトラベル」の事業を見直し、東京発着の旅行を対象外としたことについて、日本商工会議所の三村会頭は、記者会見で「感染の状況に応じて、修正することが大事だ」と述べ、政府の対応に理解を示しました。

この中で三村会頭は「新型コロナウイルスの感染の動向は、先が見通せない。事業を計画しても、感染の状況いかんでは勇気をもって修正、あるいは中止することが大事で、感染拡大防止の観点からこういう結論が出たのは評価できると思う」と述べ、政府の対応に理解を示しました。

そのうえで、三村会頭は「観光業界は、悲鳴にも似た状況が出ているんだと思う。東京発着の旅行は対象外となったが、各自治体が観光に補助金を出しているので、こうした取り組みを生かしながら、事業者にはなんとか気力や事業をつないでもらいたい」と述べました。

石油連盟会長「東京が対象外で効果は小さい」

石油連盟の杉森務会長は、記者会見で「キャンペーン自体は、人が動くということなので、エネルギー業界にとっては、人が動けば需要が増してプラスになる。ただ、東京発着の旅行が対象から外れることで期待していたより、効果は小さいという話になってくる」と述べました。