豪雨被災地 片付けの人手が足りない自治体も 新型コロナ影響

豪雨被災地 片付けの人手が足りない自治体も 新型コロナ影響
豪雨災害の被災地では、ボランティアの受け入れが進んでいますが、新型コロナウイルスの影響で人手が足りない自治体もあることがNHKの調査で分かりました。「片づけなどをボランティア任せにせず、自治体が業者に発注するなどの対応も重要だ」という指摘も出ています。
全国社会福祉協議会によりますと被災地では、住宅の泥のかき出しや、家具の搬出などを手伝うボランティアへのニーズが高まっていて、これまでに6つの県で18のボランティアセンターが開設されています。

NHKが各地のボランティアセンターに受け入れ状況を取材したところ、熊本県の人吉市、球磨村、相良村、福岡県大牟田市、大分県九重町の合わせて5つの自治体は、被災者からの要望に対して「人手が不足している」と回答しました。

背景には、新型コロナウイルスへの感染防止のため、ボランティアの対象を同じ県内や市町村に住む人に限定していることに加え、密を避けるために現場で作業する人数を減らしたことで、1日当たりの作業量が少なくなっていることなどがあります。

全国災害ボランティア支援団体ネットワークの明城徹也事務局長は「人手の確保が難しい中、ボランティアだけに土砂の撤去などを託すことはあってはならない。自治体が事業者に発注するなどの対応と組み合わせることが重要だ」と指摘しています。

「人手が足りない」自治体の現状

「人手が足りない」と答えた自治体の現状です。

熊本県人吉市と球磨村では、今月10日にボランティアセンターを開設し、熊本県内に住んでいる人に限って受け入れています。

〈人吉市〉
このうち、人吉市は、住宅の清掃や泥のかき出しなどのニーズが高まっていますが、被害が広い範囲に及んでいて、463件の要請に対し対応できたのは1割以下にとどまっています。
また、ノウハウのあるスタッフも不足していて、要請に応えたくても応えられない状態が続いているということです。

〈球磨村〉
一方、球磨村では被害が大きかった地域を中心にボランティアを派遣していますが、現地の状況を把握できていない地域も多く、今後さらに人手が必要となる見込みだということです。

〈相良村〉
熊本県相良村は、今月8日にボランティアセンターを開設し、熊本県内に住んでいる人に限って受け入れています。
ただ、ボランティアのほとんどが地元の高校生で、平日は人数が少ないうえに、今後、通常の授業が始まると、十分な人手が確保できない懸念があるということです。
ボランティアの支援を求める要請は50件以上あるということですが、対応を終えたのは1割に満たないということです。

〈大牟田市〉
福岡県大牟田市では今月9日にボランティアセンターを開設し、周辺の自治体に住む人に限って受け入れています。
感染対策のため、受け入れを1日50人程度に絞っていて、これまで200件余りの要請に対し、対応できたのは2割から3割程度にとどまっているということです。
感染対策上、むやみに人数を増やすこともできず、担当者は「もどかしい思いだ」と話していました。

〈九重町〉
大分県九重町は、今月10日にボランティアセンターを開設し、大分県内に住んでいる人に限って受け入れています。被災者のニーズに応えるには毎日100人ほどのボランティアが必要だということですが、集まっているのは50人から80人ほどで人手が不足している状態だということです。
また、道路が寸断されて近づけない住宅も残っているため、新たに対応が必要なケースが出てきている状態で、担当者は「終わりが見えない状態だ」と話していました。

感染に気をつける点は

新型コロナウイルスへの感染の懸念がある中で、ボランティア活動を行う際、どんなことに気をつければいいのか。
大分県日田市のボランティアセンターに支援に入っている山崎水紀夫さんは、感染対策を呼びかけるポスターをつくり、全国社会福祉協議会を通じて広めています。

〈現場活動は2班に分ける〉
ポスターでは、現場で密を避けることが特に注意すべき点だとしたうえで、同じグループでも2つの班に分け、15分交代で活動することを呼びかけています。
例えば、10人のボランティアが同じ現場で活動する場合は、5人ずつの2つの班に分け、15分ごとに作業時間と休憩時間を設けます。
自衛隊もこの方式を取り入れて活動することが多く、人と人の接触が少なくなって作業効率が上がるほか、熱中症対策にもなるということです。

〈体温チェック・マスク手袋着用の徹底〉
基本的な対策としては、活動を始める前に必ず体温を測って、37度5分以上の熱がある場合は活動しないこと。
活動する際にはマスクや手袋を着用し、マスクは鼻まで覆うことや場合によってフェイスシールドを活用することも勧めています。

〈帰宅後 感染判明の場合 速やかに連絡〉
そして、活動を終えて帰宅したあと、2週間以内に感染が判明した場合は、活動したボランティアセンターに速やかに連絡をすることなども呼びかけています。
山崎さんは「ボランティアは、役に立ちたいという思いが強く現場で頑張りすぎてしまうケースも多いのでボランティアどうし、互いにケアすることも大事だ」と話していました。

支援団体「制度の活用とボランティアの組み合わせが重要」

被災地の「災害ボランティア」の課題について、全国災害ボランティア支援団体ネットワークの明城徹也事務局長は「新型コロナウイルスの影響で、人手を確保したくても受け入れにくい状況があり、現場は難しい判断を迫られている。県内だけでどこまでできるか見極めが必要になるうえに、仮に県外から受け入れる場合には感染リスクにどう対応するか、感染者が出た時にどこが責任を持って対応するのか、今後、考えなければならないことが非常に多い」と指摘しています。

そのうえで、自治体が民間の宅地の土砂を撤去する際には、業者への委託費用の半分を補助する国土交通省の制度など既存の制度を積極的に活用することも重要だとしています。

明城事務局長は「自発的・自主性が基本の災害ボランティアに、被災した宅地内の土砂の撤去などの作業をすべて託してしまうことはあってはならない。被災地の困りごとに効果的に対応するには、制度の活用とボランティアの支援をうまく組み合わせることが重要だ」と指摘しました。