藤井七段 最年少でタイトル獲得 17歳11か月 30年ぶり記録更新

藤井七段 最年少でタイトル獲得 17歳11か月 30年ぶり記録更新
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将棋の藤井聡太七段が、八大タイトルの1つ「棋聖戦」の五番勝負で渡辺明三冠を相手に3勝し、自身初のタイトル獲得を果たしました。藤井七段は現在「17歳11か月」で、これまで「18歳6か月」だった将棋のタイトル獲得の最年少記録を30年ぶりに更新しました。
藤井聡太七段(17)は、史上最年少で挑む初めてのタイトル戦「棋聖戦」の五番勝負で、タイトルを持つ渡辺明三冠(36)を相手にここまで2勝1敗として、タイトル獲得に王手をかけていました。

第4局は、16日午前9時から大阪で行われ、中盤、攻め合いに持ち込んだ後手の藤井七段が、的確な寄せで優勢になり、最後は相手の攻めを受けきって、午後7時11分、110手までで渡辺三冠を投了に追い込みました。

藤井七段は3勝1敗で「棋聖」のタイトルを奪い、自身初のタイトル獲得を果たしました。

今月19日に18歳になる藤井七段は、「17歳11か月」でタイトルを手にし、平成2年に屋敷伸之九段(48)が打ち立てたタイトル獲得の最年少記録、「18歳6か月」を30年ぶりに更新しました。

対局のあと藤井七段と渡辺三冠

対局のあと藤井七段は「最後まで分からなかったですが、タイトルを獲得できたことは非常にうれしいです。今はまだ実感がないというのが正直なところです。最後まできわどいと思っていました」と心境を述べました。

そして、今後について聞かれると「やはり責任のある立場になりますので、より一層精進して、いい将棋をお見せできるよう頑張りたい」と話していました。

一方、敗れた渡辺三冠は藤井七段との対局について「中終盤の指し回しは、こっちが気付いていない手が多かったです。全体として競った将棋で負けているので、仕方がない結果です」と振り返ったうえで「すごい人が出てきたなという感じです」と話していました。

タイトル獲得の瞬間 師匠は…

会場にある関係者控え室では、師匠の杉本昌隆八段が勝負の行方を見守っていました。

最終盤、藤井七段の勝ちが確実となると、かばんから杉本八段の師匠で、藤井七段の大師匠にあたる故・板谷進九段の写真を取り出して、対局室内を映すモニター画面の前に起きました。

そして、渡辺三冠が投了を告げ、藤井七段が史上最年少でタイトルを獲得した瞬間が訪れると、居合わせた棋士から歓声が上がるなか、杉本八段は何も言わずモニターに映る藤井七段の様子を見つめていました。

その後、しばらくたったのちに「藤井七段がタイトルを取ることは、ずっと前から分かっていましたから、そういう意味での驚きはないんですけど、渡辺三冠を相手に3勝1敗で、きょう決めてくれたということ、本当に立派に戦ったと思います」と話し、偉業をたたえていました。

そのうえで、自身の師匠である板谷九段の写真を持参してきたことについては「私の師匠の夢であった『東海地方にタイトルを持ち帰る』という夢を、孫弟子にあたる藤井七段が実現してくれたということで、師匠の夢をやっとかなえることができたなという思いです」と胸の内を語りました。

そのうえで「ここまでには本人の努力がありましたし、ご家族をはじめ、周りの方の期待や応援もあったことと思います。いろいろな人の思いが、今回の藤井七段の結果につながったのだと思います。『おめでとう、ついにやったな』と、言ってあげたいですね」と、まな弟子への思いを語っていました。

これまでの最年少記録保持 屋敷九段「すばらしい偉業」

平成2年に18歳6か月で「棋聖」のタイトルを獲得し、30年間、最年少記録を保持していた屋敷伸之九段は「大変すばらしい偉業だと思います」と藤井聡太・新棋聖をたたえました。

対局を自宅で見ていた屋敷九段は、終盤、藤井七段が迷いなく相手陣に攻め込む様子を見て、「勝ち方のパターンとして、2から3とおりある中で、いちばん最短の手を選んで踏み込んでいる。普通の棋士なら怖くてできないが、これが藤井七段の強いところだと思います」と指摘していました。

そして午後7時すぎ、藤井七段が勝ってタイトルを奪うと、「藤井さんのような若くて強い棋士が出てきて、タイトル挑戦の記録を更新し、今回はタイトルを奪取した。大変すばらしい偉業だと思います」とたたえていました。

自身の記録が塗り替えられたことについては、「名誉なことでしたので、さみしいという気持ちはありません。今回、こうして世間の皆さんに、こういう記録があるということを知ってもらえたうえ、藤井さんのおかげで将棋界も盛り上がったのでよかったと思いますね」と笑顔で話していました。

そのうえで、「この勢いだと、どこまでタイトルを取っていくんだろうと。体力的にも技術的にも、もっともっと強くなるでしょうから、トップクラスの人たちと、いい将棋を作り上げることを実現していただきたいですし、私自身も勉強していきたい」と、今後の活躍に期待を寄せていました。

将棋界から祝福のコメント続々

将棋界からは祝福のコメントが寄せられています。

このうち、日本将棋連盟会長の佐藤康光九段は「史上最年少での初タイトル獲得、誠におめでとうございます。見事な内容でした。藤井新棋聖は、さまざまな記録を打ち立てていますが、これは破られることはないのではと感じます。ますますのご活躍を祈念いたします」とコメントしています。

また、屋敷九段に次ぐ「19歳3か月」の若さで、平成元年に「竜王」のタイトルを獲得している羽生善治九段は「藤井さんの最近の躍進ぶりを見ると、タイトル獲得は時間の問題と思っていました。内容もすばらしく、目を見張るものがあります。今後も、将棋界の新たな道を切り開く存在として活躍されることを期待しています」と、今後の活躍にエールを贈りました。

囲碁界からも祝福のコメント

囲碁界からも祝福のコメントが寄せられています。

囲碁界で2度の七冠独占を果たしてきた、トップ棋士の井山裕太三冠は「このたびの最年少記録の樹立、誠におめでとうございます。すばらしい記録ですが、藤井さんにとっては、通過点の1つなのではないかと思います。今後、藤井さんが創られていく世界を、楽しみにさせていただきます」とコメントしています。

また去年、囲碁界では史上最年少となる「19歳11か月」で「名人」のタイトルを獲得した、芝野虎丸三冠は「藤井さん、史上最年少タイトル獲得おめでとうございます。多くの方に注目される中でも安定した成績を出し続け、頂点まで駆け上がったのは、本当にすごいことだと思います。その結果の陰では、血がにじむような努力を続けてこられたのだろうと想像します。年齢が近いこともあり、藤井さんの活躍をニュースでみると、自分もさらに頑張ろうと、勇気をもらえます。この先も、藤井さんの更なる活躍を楽しみにしています」とコメントしています。