出張は「Go To」? 広がる波紋

出張は「Go To」? 広がる波紋
東京などで再び感染が拡大する中、都道府県をまたぐ出張や電車などでの出勤に対する不安が広がっています。国内旅行の代金が割り引かれる政府の消費喚起策、「Go Toキャンペーン」も、中止や延期を求める声が上がり、東京を発着する旅行は対象外にして実施することになりました。企業などで働く私たちは今、どう行動すべきなのでしょうか?(ネットワーク報道部記者 郡義之 井手上洋子)

ネット上では不安の声

16日、東京都内で確認された新型コロナウイルスの感染者は、これまでで最多の286人でした。ネット上では、「会社の出張は今やめてほしい」「早く在宅勤務再開しろよー。今の状況、緊急事態宣言時より色々悪化してるんじゃないの?」「電車が満員すぎて心配。でも通勤を求められている」といった不安の声が広がっています。

在宅勤務再開・出張中止の会社も

企業の中には、在宅勤務を再開したり、出張を取りやめたりする動きが出ています。
東京都内でコミュニケーションアプリの開発や動画制作などを手がける、従業員12人の「Meetscom」は、16日から、在宅勤務を再開しました。この会社では、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、ことし3月下旬から、代表取締役以下、全員が在宅勤務に切り替えましたが、事態が落ち着いてきたこともあり、今月1日から通常勤務に戻していました。

しかし、再び感染者が増加し、15日、東京で警戒レベルが引き上げられたことを伝える記者会見を見て、急きょ対応を話し合い、在宅勤務の再開に踏み切ったということです。代表取締役CEOの八尾憲輔さんは、近く、名古屋に出張する予定も入っていましたが、先方の理解を得て、それも取りやめたということです。
Meetscom代表取締役CEO 八尾憲輔さん
「また感染拡大が来るとは思っていましたが、こんなに早く来るとは…。いろいろ文句を言ってもしかたのないことなので、従業員を守るためにできることをやっていくしかないです」

大手も在宅勤務を復活

大企業でも同様の動きが出ています。

空調機器大手のダイキン工業も今月14日から、在宅勤務を復活。「効率と生産性を落とさない業務内容」(同社)について、所属長の判断で再び在宅勤務を活用することにしました。

この会社では、出張については、所属長の判断で必要に応じて認めていますが、最近の感染状況を踏まえ、感染が拡大している地域への出張は、重要性や緊急性を改めて考慮するとしています。

ダイキン工業の広報担当者は「社員の安全を守るために在宅勤務を再開しました。全国で新型コロナウイルスの感染者が増えていることを受けての対応です」としています。

“出張は攻めの姿勢のアピールになる”

一方で、出張をめぐっては、こんな意見も。

札幌市内で人材紹介会社を経営する男性は、週に1回、茨城県に出張していますが、今のところ取りやめる予定はないといいます。

男性は「これだけ感染者が出ると確かに怖いです。オンラインでも仕事はできますが、あえて現地に行くことで相手に『攻めの姿勢』も見せられます。緊急事態宣言のようなものが再び出されれば出張はやめますが、現時点では出張は継続したいと思います」と話しています。

企業の対応 専門家は

企業はどのような対応をとればいいのでしょうか。
「本当に必要な業務は何かという優先順位をつけて、できることを着実にしていくことが求められているのではないでしょうか」こう指摘するのは、MS&ADインターリスク総研のリスクマネジメント第四部長、府川均さんです。府川さんは、業種や会社の規模によって状況が違うため、一概には言えないと前置きをしたうえで、次のように話しています。
MS&ADインターリスク総研 府川均さん
「企業は従業員の雇用も守らなければならないので、世の中の状況を注視しながら、出社率の見直しをしたり、オフィス内の環境を工夫したりして、感染リスクを抑えて業務を続けることが大事です。そのうえで、今しなくてはいけない業務は何なのかを改めて見直して、優先順位をつけて取り組むことが求められているのではないでしょうか」
また、日本総合研究所の理事、山田英司さんは、これまでの仕事の進め方を一つ一つ見直していくべきだと話しています。
日本総合研究所 山田英司さん
「出張は、何人かでまとまっていくのではなく、どうしても現地に行く必要がある場合は、代表者を決めて、あとはオンラインでつなぎながら業務をしたりしている企業も出てきています」
日常の業務では、テレワークと出勤の両方をうまく使い分けていくことが大事だといいます。
山田英司さん
「大手企業などではリモートワークを併用しながら業務をしていますが、全員が一律に集まるのではなく、部門・部署ごとに時間帯をずらして出勤するなど、見直しが必要です」
一方で、中小企業では、リモートワークに必要な通信環境の整備や、パソコン・人員の確保などが難しい場合あるため、公的な支援も必要になると指摘しています。
山田英司さん
「大事なのは社員と社員の家族、取引先などをどう守るかなので、企業にはよりいっそうの業務の見直しが求められていると思います」
感染拡大の状況は刻々と変化しています。私たちもそのつど、仕事のしかたを見直していく必要がありそうです。