東京都 新たに286人感染確認 感染者数1日で最多に 新型コロナ

東京都 新たに286人感染確認 感染者数1日で最多に 新型コロナ
東京都は16日、都内で新たに286人が新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。都内で1日に確認された数としては、今月10日の243人を上回り、これまでで最も多くなりました。
東京都は16日、都内で新たに10歳未満から90代の男女、合わせて286人が新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。

都内で1日に確認された数としては、今月10日の243人を上回り、これまでで最も多くなりました。
都によりますと286人のうち、20代と30代は合わせて196人で、全体の7割近くを占めた一方、40代以上は76人で全体の3割近くとなっています。
また、286人のうち149人は、これまでに感染が確認された人の濃厚接触者で、残りの137人は、これまでのところ感染経路が分かっていないということです。

都によりますと、286人のうちホストクラブやキャバクラ店など接待を伴う店の従業員と客が67人いるということです。このうち、地域別では新宿エリアが51人、池袋エリアが1人でした。

このほか、家庭での感染が25人、職場での感染が21人、新宿区の劇場で行われた舞台公演の客などが9人、介護施設や医療機関などの施設での感染が8人、会食が8人などとなっています。

これで、都内で感染が確認されたのは、合わせて8640人になりました。

一方、16日に都内で死亡が確認された人はいませんでした。

感染症の専門家「医療体制の圧迫 懸念」

東京都の小池知事が16日の発表が280人台になるという見通しを明らかにするなど、東京を中心に感染拡大が続いている状況について、感染症に詳しい愛知医科大学の三鴨廣繁教授は「検査数が増加したことで新たな感染者の数が増えてきているということは事実だと思う。しかし、感染者がこれだけのペースで増えれば入院患者や重症の患者も当然増えていき、次第に医療体制を圧迫するようになってしまう。医療者の立場としてはこの点を非常に懸念している」と話しました。

そのうえで今後の感染の広がりについて、「今は若い世代が中心だが、40代から50代の患者も増えてきている。この世代は高齢者との接触機会も多く、感染が重症化リスクが高い世代へと広がっていくことを警戒している。また、地域的にも東京やその近郊だけでなく、大阪や愛知など全国に広がりつつあるのが懸念される」と指摘しました。

また対策として、三鴨教授は「第1波の経験から、一人一人が3つの密を避け、手洗いや消毒を徹底することである程度リスクを下げられることが分かってきている。もう一度こうした基本的な感染対策の徹底に立ち返らなければならない。感染が広がってしまえばそれを止めることは難しい。今、速やかに対策を取ることが非常に重要だ」と話していました。

感染確認増加 要因は?

1 検査数が増加

小池知事が、都内の感染確認が増えている要因の1つに挙げているのが、検査数の増加です。

都によりますと、曜日によってばらつきはありますが、都内で行われたPCR検査と抗原検査は、14日までの1週間の平均で1日当たり3200件を超えています。

感染が拡大していたことし4月には、1か月の平均がおよそ1000件で、大幅に増えています。

都は、増えた要因について、医療機関で検査が受けられる専用の外来を拡充させたり、検査機器の導入を支援していることに加えて、感染の確認が相次いでいる夜の繁華街で働く人たちに対し、地元の区などが積極的に検査を受けるよう呼びかけていることなどを挙げています。

都によりますと、15日午後8時時点のまとめでは、今週月曜日13日に行われた検査は4683件で、これまでで最も多くなりました。

都が保健所から報告を受けて感染を確認するのは、検査の実施からおおむね3日程度かかるということで、月曜日の検査数が多かったことが16日の感染の確認の増加につながったと都の幹部は見ています。

2 陽性率も増加

ただ、懸念されているのは、検査を受けた人のうち陽性になる人の割合、つまり「陽性率」も上昇を続けていることです。

都が発表している「陽性率」は、その日までの1週間に陽性と判明した人の平均を、その日までの1週間に検査した人の平均で割った数字です。

今月1日は3.9%だったのが、15日は6.2%となり、2.3ポイント増加しています。

緊急事態宣言が解除されたことし5月25日には1.0%で、その後、6月下旬まで1%台から2%台で推移していましたが、ここ最近は上昇傾向が続いています。

3 年代に広がりも

さらに、感染が確認される人が若い世代だけでなく、徐々に中高年に広がっていることも懸念されています。

今月に入って15日までの2週間余りで感染が確認された人を年代別にみると、50代が130人、60代が70人、70代が37人、80代以上が32人でした。

先月1か月と比べると、50代はすでに2倍近くに増えているほか、60代も1.5倍以上に増えています。

また、70代はすでに先月1か月の合計とほぼ同じ数になっているほか、80代以上では、先月1か月の合計をすでに3人上回っています。

「今が非常に重要な局面」

都の担当幹部は、NHKの取材に対して「若い人が比較的多く、軽症者が目立つこの段階で、感染の拡大を食い止めなければ、重症化しやすい高齢者に感染が広がり、医療体制のひっ迫につながりかねない」として、感染の拡大を止めるために、今が非常に重要な局面だという認識を示しています。

また、今後について「社会機能は、もう止めることができないなか、経済社会活動と感染拡大防止をどう両立させ、感染拡大を食い止めていくのかが、いちばんの課題だ。両立させるためには結局のところ、一人ひとりが手洗いや消毒などの感染防止策を徹底し、飲み会などでも感染しないような方法を考えてもらうしかない。こうした行動を促すよう、都としても地道に呼びかけていく」と話していました。