登山徐々に再開も 山岳ガイドの9割余経済的に切迫 新型コロナ

登山徐々に再開も 山岳ガイドの9割余経済的に切迫 新型コロナ
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新型コロナウイルスの影響で一時期、自粛が呼びかけられた全国各地の山では、徐々に登山が再開されていますが、登山客に同行し山の自然を紹介する「山岳ガイド」の9割余りが、今月以降も、例年に比べて仕事の見通しが立たず、経済的に追い詰められていることが、全国のガイドが所属する団体の調査で分かりました。
全国各地の山では感染拡大の影響で、一時期、登山の自粛が呼びかけられましたが、緊急事態宣言解除後の5月下旬以降、一部の山で登山が再開され、資格を持った山岳ガイドが登山客に同行し、山の自然を紹介するツアーも始まるなど、1年間で最も登山客が多い夏山シーズンを迎えています。

山岳ガイドが国内で最も多く所属する日本山岳ガイド協会では、感染拡大の影響を調べようと今月3日から山岳ガイドを対象に緊急でアンケートを行い、308人から回答を得ました。

その結果、山岳ガイドとしての先月の収入について、「ほとんど無かった」と回答した人が65%に上り、「昨年の半分以下に減った」は18%、「昨年と比べて減った」は4%で、収入が減った人は合わせて87%でした。

さらに、今月以降のガイドの仕事については、「予定がほどんどない」が39%、「例年の半分以下」が36%、「例年より減った」が17%と、合わせて92%が、登山が再開されたものの今月以降も仕事が回復せずに見通しが立たず、経済的に追い詰められていることが分かりました。

また、ガイド以外に副業をはじめたり、収入の柱をガイド以外に変えた人が合わせて25%に上っていました。

山岳ガイドによるツアーについては、受け入れ先の山小屋の営業が再開されていなかったり登山客の不安がぬぐえずに、以前に比べて人が集まらなかったりして再開できないケースが多いものとみられています。

調査を行った日本山岳ガイド協会の武川俊二理事長は「緊急事態宣言が解除され、期待感があったがそういう状況になっていない。このままではガイド事業の継続が極めて難しい状況になってきている」と話していました。

協会所属の山岳ガイドは全国に約2000人

山岳ガイドは、登山客の安全を確保しながら山を案内する経験豊富なプロの登山家で、国内最大規模の日本山岳ガイド協会に所属している山岳ガイドは全国でおよそ2000人です。

山岳ガイドは登山客1人から複数までを案内するツアーなどに同行し、山の自然や歴史などを紹介しています。

山岳ガイドの資格を得るには、各団体で学科や山での実技などの認定試験が行われていて、山中の危険な場所などを把握し、安全な登山をサポートするほか万が一、登山客がけがをしたり急病になったりした際に、初期対応にあたり登山客の安全を守る重要な役割も果たしてます。

多くの山岳ガイドは、登山シーズンなど以外は別の仕事を行っていますが、夏の時期はツアーが多く、山岳ガイドにとってこの時期の収入が多くを占めているということです。