米テキサス州 感染者急増「医療は危機的状況」 日本人医師訴え

米テキサス州 感染者急増「医療は危機的状況」 日本人医師訴え
k10012518081_202007160906_202007160908.mp4
新型コロナウイルスの感染が拡大しているアメリカで、特に感染者の急増が深刻な南部テキサス州の病院に勤務する日本人医師がNHKのインタビューに応じ、患者の増加で医療機関の能力が圧迫され、危機的な状況にあると訴えました。
ジョンズ・ホプキンス大学のまとめによりますと、アメリカで14日に報告された新たな感染者の数は6万7000人余りとこれまでで最も多くなりました。

中でもテキサス州では新たな感染者が1万人を超え急増が続いています。

テキサス州の大都市ヒューストンにあるベイラー医科大学セントルークス病院で患者の治療にあたる福田由梨子医師は、NHKのインタビューに対し「緊急性のない手術を延期するなどして新型ウイルスの患者を受け入れる態勢をとっているが、近隣の病院にはベッドに余裕がなくなっているところもある」としたうえで、「いわゆる『医療崩壊』はまだ起きていないが危機的な状況にある」と話しています。

また、感染者が急増した理由について「感染者が減少する前に経済活動を再開し、マスクなどの感染対策が徹底されないまま人の移動が増えたこと、それに感染者が増えているのに再開のペースを緩めなかったことが原因ではないか」と、分析しています。

そして、今後の見通しについて「知事がマスクの着用を義務化するなど、対策ははじまっているので、増加が緩やかになることを期待したい」と述べたうえで、「現実的には経済活動を止め続けるわけにもいかないので、どのくらいのリスクなら許容できるのかを考えながら、無理なく、柔軟に対応していくことが重要だ」と話しました。
テキサス州の病院にアメリカ陸軍の軍医らが派遣され、現地の医療従事者の支援に乗り出しています。

アメリカ陸軍は感染者の治療にあたる医療従事者を支援するため、軍医や看護師ら合わせて580人をテキサス州の病院に派遣したということです。

テキサス州最大都市の、ヒューストンの病院ではこれまで40人の新型コロナウイルスの感染者の治療にあたっていましたが、軍医らが到着したことでさらに50人の患者を受け入れることが可能になったと言うことです。

病院で働く医師の1人は、「ここの看護師たちは過重な労働のため疲れ果てています。軍医らの派遣は本当にありがたいことです」と話しています。