「現時点では遠慮して」Go Toキャンペーンに地方から懸念の声

「現時点では遠慮して」Go Toキャンペーンに地方から懸念の声
今月22日から始まる政府の消費喚起策「Go Toキャンペーン」について、地方自治体からも感染拡大を懸念する声が出ています。

岡山県知事「開始遅らせても 地域限定してもいい」

岡山県の伊原木知事は記者会見で「観光業を応援するためにも成功させたい事業だ」と述べました。
その一方で、東京を中心に新型コロナウイルスの感染者が増えていることを踏まえ、「最初の計画どおりに実行することが必ずしも成功ではない。感染拡大の防止と経済を戻すことを両立することが成功であり、開始時期を遅らせてもいいし地域を限定してもいいので、工夫をしながら実行してほしい」と述べました。

佐賀県知事「地域に予算任せ 独自政策できるように」

佐賀県の山口知事は定例会見で「本来は感染拡大の第1波が収まったあとに実施すべき施策で、全国規模のキャンペーンは、機動的でなくどうしてもタイムラグが生じる」と指摘しました。

そのうえで「都道府県で実情は異なるため、観光振興策の予算を地域で執行できるよう任せてもらえれば地域で独自の政策を組み立てていくことができる」と述べ、キャンペーンの趣旨には理解を示しながらも、全国一律政策の進め方に疑問を呈しました。

一方で、キャンペーンの実施に伴い首都圏などからの旅行客が増えることが予想されることについて「感染者の発生はあり得るが、それでも往来は致し方ない。全力で拡大防止策を取り、備えをしておくことに尽きる」として、医療関係者などとの連携を深めていく考えを示しました。

宮城 大崎市長「少し落ち着いてから来て」

宮城県大崎市の伊藤康志市長は記者団に、「首都圏を中心とした観光客については不安を抱く一面もありますが、安全対策をした中で感染が起きないよう注意して迎え入れたい」と述べ、市内の観光産業の経営を支えるためにも、感染防止策を十分に取ったうえで観光客を受け入れるべきだという考えを示しました。

ただ東京都内で感染者が急増する中でキャンペーンが始まることについて問われると「少し落ち着いてから来てほしいというのが本音です」と述べ、感染拡大の状況を見極めてからスタートさせるべきだという考えを示しました。

青森市長「全国一律のキャンペーンは反対」

東京都が新型コロナウイルスの警戒レベルを最も深刻な表現に引き上げたことについて、青森市の小野寺市長は15日の記者会見で、「市民には、関東方面への不要不急の移動を控えるとともに、市内に戻る方についても慎重に行動してほしい」と述べました。

そのうえで、今月22日から始まる政府の「Go Toキャンペーン」について、「全国一律にキャンペーンを行うのであれば反対という考えだ。国も議論を進めるようなので何らかの制限をかけてくれることを期待したい」と話していました。

青森 弘前市長「現時点では県外からの移動は遠慮を」

また青森県弘前市の桜田市長は記者会見で「首都圏での感染拡大について憂慮している」と述べました。

そのうえで「現時点では県外からの移動は遠慮していただきたい。旅行者には慎重な判断をお願いするとともに、受け入れ側でも感染防止対策を講じていく」と話していました。

旅行会社に不安の声「無意識にウイルスを運ぶかも」

東京 台東区の大手旅行会社「日本旅行」の店では「Go Toキャンペーン」がスタートするのを前に「旅行中に感染してしまわないか」など不安を訴える声がこのところ寄せられています。

このため旅行会社は、宿泊施設が取っている感染防止策を予約サイトに詳しく載せたり、車で移動でき「3密」を避けられるキャンプ旅行の商品を紹介したりするなど、慎重に対応しています。

日本旅行の広報担当の井村謡子さんは「自分が無意識にウイルスを運んでしまうのではないかという不安など、心配する声がたくさん寄せられている。旅によって感染が広がることになってはいけないので、宿泊施設の安全対策などをお伝えしながら、慎重に対応していきたい」と話しています。