東京都 4段階で最も深刻なレベルに引き上げ コロナ感染状況

東京都 4段階で最も深刻なレベルに引き上げ コロナ感染状況
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東京都は新型コロナウイルスの都内の感染状況などについて、専門家の分析をもとに評価する会議を開き、現在の感染状況について「感染が拡大していると思われる」として、4段階ある警戒のレベルのうち最も深刻な表現に引き上げました。
東京都は15日午後、都内の感染状況などを分析・評価する「モニタリング会議」を開き、小池知事のほか感染症の専門家などが出席しました。

会議では13日までの1週間の平均で、新たな感染の確認が前の週のおよそ1.5倍の168.4人となり、感染経路がわからない患者も77.3人で、前の週の2倍近くに増えていることなどが報告されました。

こうした状況を踏まえ、都内では「感染が拡大していると思われる」として、4段階あるレベルのうち最も深刻な表現に引き上げました。

ただ、ことし3月から、緊急事態宣言が解除された5月までのいわゆる「第1波」と比べて、若い人が多いことや重症の人が少ないなど、感染が確認される人の特徴が変わっているため、今後は、こうした点を踏まえて対策を行うことが必要だと指摘されました。

「医療提供体制」4段階のうち上から2番目と報告

一方、「医療提供体制」については、入院患者は前の週と比べて2倍に増えているものの、重症者の数は横ばいであることから、前回から変わらず4段階あるレベルのうち上から2番目の「体制強化が必要であると思われる」と報告されました。

会議のなかで、国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は「第2波かどうかはもう少し時間がかからないと正直わからないが、かなり近いのは間違いないだろうと思っている。第2波の定義の一つの医療を脅かす瀬戸際まできているかどうかという点では、それは違うだろう」と述べました。

レベル引き上げ なぜ?

4段階ある警戒のレベルのうち最も深刻な表現に引き上げられたのはなぜなのか。15日のモニタリング会議で専門家からは次のような理由が示されました。

感染状況

まず、「感染状況」を分析するモニタリング項目のうち、新たな感染の確認は13日までの1週間の平均で168.4人となり、前の週のおよそ1.5倍に増えました。

年齢別では20代が全体の40%を超える一方で、60代以上もおよそ1割を占め、10歳未満の増加もみられることなど、年齢の幅が広がっていると指摘されました。

さらに、感染経路は近い距離での接客を伴う飲食店だけでなく、介護施設や幼稚園、同居する家族や職場、それに会食など多岐にわたっていると説明されました。

また感染経路がわからない人は13日までの1週間の平均で77.3人と、前の週のおよそ2倍となっています。

専門家は週に2倍のペースで4週間増え続けると、感染経路が分からない人が今のおよそ16倍の1日当たり1200人となり、さらに4週間続くと現在のおよそ256倍になると指摘しています。

医療提供体制

次に、前回から変わらず4段階あるレベルのうち上から2番目の「体制強化が必要であると思われる」とされた「医療提供体制」です。

検査における陽性率が上昇しているほか、検査数も前の週より増加しています。

検査数が増えたにもかかわらず陽性率が上昇している背景については、新たに感染が確認される人が増えていることや、繁華街がある新宿区など特定の地域や近い距離での接客を伴う飲食店の従業員を対象に検査を積極的に促している影響だと指摘されました。

さらに13日時点の入院患者は651人で、前の週のおよそ1.6倍に増えていて、都として医療機関に病床の確保を依頼しているものの人員の確保も含めて使えるようになるまでは2週間程度かかるとして、体制が十分に整っていないことに懸念を示しています。

そのうえで、症状のない患者が多く、大規模な宿泊療養施設の確保が早急に必要だと指摘しています。

また、このまま感染が拡大すると通常の医療との両立が極めて難しくなるとしています。

一方、重症の患者の数は13日の時点で6人と横ばいが続いていますが、いわゆる「第1波」では入院患者の増加から1週間後に重症の患者が増加したことから、今後の推移に警戒が必要だと指摘しています。