米トランプ政権 留学生へのビザ発給規制を撤回

米トランプ政権 留学生へのビザ発給規制を撤回
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アメリカのトランプ政権は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、授業をすべてオンラインで行う大学や高校の留学生にはビザを発給しないとしていた規制を撤回しました。この規制をめぐっては、日本を含む世界各国からの留学生への影響が懸念されていたほか、全米の各州の政府が撤回を要求していました。
アメリカの移民税関捜査局は今月6日、留学生へのビザめぐる規制を発表し、9月から始まる新学期に、授業をすべてオンラインで行う大学や高校などへの留学生にはビザを発給しないほか、すでに留学している学生については、アメリカから出国するか、対面での授業を行う学校に転校するよう求めるとしていました。

これに対して、ハーバード大学とマサチューセッツ工科大学に加え、東部マサチューセッツ州など17の州の政府と首都ワシントンが、撤回を求めて連邦地方裁判所に訴えを起こしていました。

こうした中、マサチューセッツ州の連邦地方裁判所は14日、トランプ政権がこの規制を撤回したと発表しました。撤回の理由は明らかになっていませんが、規制の対象となったビザは、昨年度、およそ40万人に発給されていて、このうち日本人はおよそ1万5000人にのぼり、日本人を含む世界各国からの留学生への影響が懸念されていました。

経済や社会活動を早く再開させたいトランプ大統領は、全米の学校に対面での授業を再開するよう求める発言を繰り返していて、規制によって学校側に圧力をかけるねらいもあったと見られていますが、反発を受けて対応を変更した可能性があります。

日本人留学生に戸惑い

大学などでの対面授業を早期に再開するよう求めるトランプ大統領の方針のもと、留学生へのビザ発給をめぐり、アメリカ政府の対応が揺れていることに、日本人留学生の間では戸惑いが広がっています。

このうち、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の大学院博士課程でバイオロジーを学ぶ三輪宏海さん(26)は、NHKの取材に対し「5年かけてアメリカで研究して博士号を取り、アメリカで就職するという計画を立てていたので、留学生のビザ発給が規制されると聞いたときは正直ショックでした」と話しました。

そして今回、規制が一転して撤回されたことについては「二転三転はありましたが、オンラインの授業だけでもアメリカに滞在できることが明確になり、とりあえずは、よかったです」と、ほっとした様子でした。

その一方で、三輪さんは「新型コロナウイルスの感染拡大などの社会的な事象が起きたときに、政府側の理由でアメリカにいることができなくなってしまうリスクが、今回、顕在化したと考えています。今は、アメリカに残れたとしても、将来設計が不安定になってしまう可能性があるということが大きな懸念です」と話していました。