新宿の劇場 37人集団感染 濃厚接触者は約850人 新型コロナ

新宿の劇場 37人集団感染 濃厚接触者は約850人 新型コロナ
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東京 新宿区の劇場で行われた舞台公演で発生した新型コロナウイルスの集団感染について、主催者は、観客や出演者など合わせて37人が13日までに新型コロナウイルスに感染していることを確認したと明らかにしました。
保健所はすべての観客など、合わせておよそ850人が濃厚接触者にあたるとして、PCR検査を受けるよう呼びかけています。
集団感染がわかったのは、新宿区の劇場「新宿シアター モリエール」で先月30日から今月5日まで行われた「THE★JINROーイケメン人狼アイドルは誰だ!!ー」という舞台です。

主催者の「ライズコミュニケーション」は、出演者16人、スタッフ5人に加え、13日までに、観客16人の合わせて37人が感染していることを確認したとホームページを通じて明らかにしました。

主催者は観客に対して、すみやかに近くの保健所や帰国者・接触者相談センターに相談するよう呼びかけています。

また、保健所はすべての観客およそ800人と、出演者やスタッフおよそ50人の合わせておよそ850人が濃厚接触者にあたるとして、PCR検査を受けるよう呼びかけています。

保健所 “客全員に感染の可能性”

東京都によりますと、今回の集団感染で観客およそ800人全員が濃厚接触者と判断されたのは、実際に感染した客が複数出ていることで、同じ空間にいた客全員について感染する可能性があると保健所が判断したためだということです。

また、都によりますと、都内だけでなく、ほかの県に住んでいる人で公演に行った観客から「検査を受けたほうがいいか」などという問い合わせが保健所に寄せられているということです。

相模原市では観賞した女性2人の感染が確認されていたことがわかりました。相模原市によりますと、いずれも市内に住む20代と30代のアルバイトの女性2人は、今月5日と先月30日にそれぞれ舞台を観賞していたということです。

2人とも観賞したあと発熱などの症状が出て、20代の女性は観賞の4日後に、30代の女性は11日後に検査で感染が確認されたということです。

千葉県内の自治体にも観客として訪れた人などから「感染していないか心配だ」といった相談が寄せられているということです。

船橋市にはこの数日で数件の電話相談があったほか、柏市では市民が舞台を見にいったという情報があり、現在確認を進めているということです。

また千葉市では市内に住む舞台のスタッフが都からの依頼を受けてPCR検査を受けましたが、14日、陰性と確認されたということです。

埼玉県内の自治体にも舞台を見たという人から相談が寄せられているということです。

越谷市によりますと、いずれも舞台を見たという人から「症状は出てないが不安だ」という相談が5件寄せられているということです。川口市でも2件の相談があったということです。さいたま市にも相談が来ているということですが、詳しい内容や件数は分からないとしています。

埼玉県などによりますと、14日正午現在、舞台を見に行った人で感染が確認された人はいないということです。

東京都 主催者に聞き取り調査

都によりますと、公演は先月30日から今月5日までの合わせて6日間、1日2回行われたということです。

劇場は、観客は定員の半分にあたる90人余りで開催するよう主催者に要請していたということで、都は、1回の公演で観客が何人いたかなどについて主催者に聞き取り調査を進めています。

また、全国の劇場などの文化施設からなる「全国公立文化施設協会」が定めたガイドラインに沿って対策がとられていたかどうかの確認も進めています。

都によりますと主催者は、観客に対してマスクの着用を義務づけ、公演中に外す人はおらず、公演と公演の間に換気を行ったなどと説明しているということです。

このほか、公演で使う機材や小道具を消毒していたことや、物品の販売ブースでは客との間にシートを張り、トレーを使って金銭のやり取りをするなど感染防止策をとっていたと話しているということです。

都は、主催者が最前列の観客に渡していたフェイスシールドが実際に使われていたかどうかや、楽屋の換気の状況、それに出演者と観客との接触がなかったかどうかなどについて聞き取りを進めています。

そのうえで、都は、主催者と劇場に対して、再発防止策をすみやかに提出するよう要請したということです。

劇場の個別ガイドライン “間に合わず”

集団感染が発生した新宿の劇場が加盟する「小劇場協議会」では、感染対策のためのガイドラインを作成しています。

このなかでは、来場客に対しては、劇場の前などで列を作る場合、
▽2メートル以上間隔をあけること、
▽出入りする際のアルコール消毒、
▽検温の実施などを求めています。

劇場を利用する団体に対しては稽古開始の2週間前から公演が終了したあとの2週間まで公演の期間と考え、感染症対策を徹底するとともに、不要不急の外出や3密を避ける行動をとることを呼びかけています。

また公演が終わったあとの対策として、イベントや面会は可能なかぎり客との接触を避けるため中止し、物販などを行う場合には出演者ではなく感染症対策をとった受け付けスタッフで対応するとしています。

さらに感染者の発生に備えて来場者の名前や連絡先、来場日時がわかる名簿を作成し最低1か月以上保管することを求めています。

小劇場協議会には都内31の劇場が加盟していて、各劇場にも個別のガイドラインを作成するよう求めていますが、集団感染が発生した劇場では、個別のガイドラインの作成が舞台公演までに間に合わなかったと、ホームページ上で明らかにしています。