ベビーシッターなどから性的被害防止へチェックの仕組み整備を

ベビーシッターなどから性的被害防止へチェックの仕組み整備を
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ベビーシッターや教員から性的な被害を受けた子どもの母親などが記者会見を開き、被害を未然に防止するため、過去に同じような犯罪に関わったことがないか、就労前にチェックする仕組みの整備を求めました。
子どもに関する政策提言を行っているNPO法人が14日、都内で記者会見を開き、ベビーシッターや教員から性的な被害を受けた子どもの母親2人も参加しました。

このうち、ことしマッチングアプリで依頼したベビーシッターから5歳の娘が被害を受けたという母親は「被害の様子は娘のことばでしか知ることができず、心の傷はいかばかりかという不安がかなりあります。思春期になった時に、精神的な問題を抱えたらと思うと、恐ろしい気持ちでいっぱいです」と語りました。

ベビーシッターはその後、逮捕・起訴されていて、母親は「1人の犯罪者のために多くの子どもたちの未来が潰されることのないよう、犯罪歴を確認する仕組みを作ってほしい」と訴えました。

また、東京都内の小学校で娘が担任の教員から被害に遭ったという母親は「他の子もみんなされていたうえ、言ったら怒られるかなと思い、娘は親や周りの大人に被害を言えなかったといいます。子どもたちの幼さにつけ込む、あまりにも悪質で卑劣な行為です」と述べました。

この教員は懲戒免職の処分を受けましたが、現在のしくみでは3年以上過ぎれば、処分を隠して教師として復職することも可能だということです。

母親は「この教員が再び教壇に立ってほしくないし、教育や保育の現場にも関わってもらいたくありません。一度の小児わいせつ行為で二度と教壇に立てないようにしてほしいです」と訴えました。

会見を開いたNPO法人「フローレンス」によりますと、イギリスでは「DBS」と呼ばれる犯罪歴をチェックする仕組みが整備されていて、子どもと関わる仕事をする人は犯罪歴がないという証明書を就労の際に提出することが義務づけられているということです。

NPO法人は、日本国内の保育や教育の現場でも同様のしくみが必要だとして、関係する省庁に対し「日本版DBS」の整備を求めています。

教職員みずからがチェックする取り組み

一部の教育現場では被害を未然に防ぐため、教職員がみずからをチェックするという取り組みも始まっています。

長崎県教育委員会が昨年度から導入したのは、子どもに性的な行為をしてしまう危険性が自分にどれくらいあるのか気付いてもらうためのチェックシートです。

性犯罪の加害者の治療を行っている精神科医の監修で作成され、小学校など公立学校の教職員に配布されています。

たとえば「生徒に関する性的な想像や考えを持っていても少なくとも生徒を傷つけていないからそんなに悪いことではない」といった考えについて、どう思うかという質問。

「全くそう思わない」から「とてもそう思う」まで、4つの選択肢が用意され、1つを選びます。

さまざまな質問に答えた結果は自分で採点できるようになっていて学校などに提出する必要はなく、一定以上、危険性が高いとされた場合は指定の専門機関に自主的に相談するよう求められます。実際に受診につながった教職員もいるということです。

専門機関には精神科医や臨床心理士がいて、カウンセリングなどが受けられ、必要な場合は性的な衝動を抑えるためのホルモン治療も行われます。同様の取り組みは長野県などでも行われています。

シートの作成に携わった精神科医の福井裕輝さんは、「海外では研究が進んでいて、いわゆる『小児性愛』のしこう自体を調べる検査もあります。こうしたしこうを持つ人が子どもに関わる仕事に就くと行動に移す機会が増えてしまうので、しっかり検査することが必要です」と話していました。

性教育の授業を行う幼稚園は

幼い子どもは性被害にあっても被害だと認識できなかったり、加害者の大人に口止めされて保護者などに言えなかったりするケースがあり、明らかになっているのは氷山の一角とされています。そのため独自の教育を進めている幼稚園もあります。

世田谷区の私立和光幼稚園では年長組のクラスで年に2回程度、性教育の授業を行っています。
今月行われた授業では、男女の赤ちゃんの人形を用いて、園長先生が体の違いを説明し、
▽パンツで隠れている部分は「性器」という名前で、他の人が勝手に見たり触れたりしてはいけないということや、
▽裸を見られるのが恥ずかしいと思うのは大事な気持ちだということを教えていました。

子どもたちの関心も高く、次々に手をあげて質問していました。

子どもたちは3歳ぐらいになると男女の違いに気付き、興味を持ち始めるということで、この幼稚園では、自分の体が大切で、人に勝手に見られたり触られたりしてはいけないという感覚を早い時期から育む必要があるとしています。

そのためプールの授業でも3歳から着替えの場所を男女別に分けていて、1人で着替えたいという子どもには別の離れた場所を用意しているということです。
授業を行った北山ひと美園長は「自分の体が大事だと思えることができれば、嫌な感じで触られようとしたときに違和感を感じ、『やめて』と言える。大事な体を侵害するものは許さないという感覚を育てていくために、日頃の生活の中からの取り組みが大切です」と話していました。